失恋のショック
私が失恋をしたのは、大学2年の冬のことです。相手は高校時代に知り合った同い年の男の子で、お互いが大学生になった年の夏、彼から告白されて、お付き合いが始まりました。
お互いに「いつか結婚したい」と思っていて、「最初の子は女の子がいいね」とか「どんな名前がいいかな」とか、話し合うこともありました。
彼は、もともと気持ちの浮き沈みが激しい人だったのですが、それがエスカレートしてきたのは、付き合い始めて1年くらいしてからです。彼はお酒をかなり飲むようになり、怒鳴り散らして私に暴力を振るうこともありました。それでも、私は、「この人は私がいないとダメなんだ」と思って耐えました。
そんな状態が続いたある日、彼から「他に好きな人ができた」と言われました。ショックでした。その人は社会人で、私より優しくて彼の話をきちんと聞いてくれるのだそうです。
自殺を思い立って……
結局、彼とは別れましたが、食事もノドを通らず、眠れない日が続きました。1カ月ほど経ったある日、「もう、死のう」と思った時、ふっと「死ぬ前にNさんに挨拶しなきゃ」と思い立ちました。Nさんは、私が幸福の科学でお世話になっていた優しい年配女性です。
私はNさんのご自宅に電話をしました。何をどう話したか、よく覚えていませんが、私が彼にフラれたことを話すと、Nさんは優しく笑って、こう言ってくれました。
「そうかい。それはよかったねぇ。Mちゃんは、いい経験をした。人は悲しいことをたくさん乗り越えて、優しくなっていくんだよ。Mちゃんは仏の子だ。大丈夫、大丈夫」
Nさんは、若い時にご主人を亡くされ、女手ひとつで育てた息子さんにも先立たれ、たくさんの苦しみ、悲しみを乗り越えてきた人です。その言葉には重みがありました。
温かい光が射してきた
Nさんの話を聞いているうちに、心を覆っていた何かがパリンと割れて、温かい光が射してきたように感じました。「そう。私は仏の子なんだから、大丈夫!」と、自殺を思い止まることができたのです。
「苦しみや悲しみと見えるもの、試練と見えるもののなかに、実は仏神との出会いがあるのです」と、『幸福の原点』に説かれています。
私にとってもまさにその通りで、この失恋をきっかけに、支部や学生部の活動に積極的に取り組むようになりました。2年前に帰天されたNさんには、今も感謝の気持ちでいっぱいです。
