視察の2日目(7月3日)の午前中は勝山市建設部都市政策課のFさんから勝山市歴史的まち並み景観創出事業についてお話を伺いました。F様お忙しいところ有難うございました。
勝山市では「外壁を漆喰、板張りなどの伝統的工法やこれに準じたもので景観に配慮したものや、門や塀、看板なども景観に配慮し創意工夫を行っていただいたものに補助金を交付」(市のパンフレット)しています。
既に県の制度として(詳細は後で述べますが)「ふくいの伝統的民家」の制度があり、その認定を受けた建築には改修時に補助金(市の助成の半分を県が裏負担)が出ます。勝山市の場合はそれに市独自の制度をうまく組み合わせて、3地域区分×3建築区分のマトリックスに対応したきめ細かいインセンティブの体系をつくりあげています。
勝山市には景観法に基づく景観計画に定める景観形成地区が二つあります。内一つが中心部の本町通り沿線です。ここには平入りの町家が軒を連ねます(下写真)。
この沿線の伝統的民家(ふくいの伝統的民家も含まれます)は修理費の2分の1を限度に300万の補助が出ます。そこまで行かない一般の建築物は200万が限度です。
この沿線以外の旧市街地エリアでは、上記の補助金がそれぞれ200万円と150万円となり、50万円のダウンです。
旧市街地やそれ以外の市街地では、ふくいの伝統的民家以外は補助が出ません(補助額200万円)。逆に言うと「ふくいの伝統的民家」であれば景観形成地区では300万円、それ以外はどこでも200万円補助されるということです。
補助は建築だけではなく門や塀、広告なども対象となります(下写真)。
行政が伝統的民家かどうか判定し、補助金対象としたりしなかったりすることや補助額に差をつけることはなかなか難しい要素も含んでいると思います。私が普通設計している「モダン建築」は1円ももらえず、漆喰や板張りを行った住宅は補助されるということですから。
しかし、「伝統」を守っていくということが住民のコンセンサスになっているならそれも良しです。実際には市長の強いリーダーシップが発揮されたようですが結果オーライ、私も大賛成です。ヨーロッパの建築家はずっとそういう状況の中で設計活動をしてきたわけですし、むしろ私たちの「モダニズム」の質が問われるということでしょう。
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