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大石邦子「大きなテーブル」を読んで

2017-06-05 08:58:30 | 問題
風のあとさき、大石邦子さんは、プロ野球が始まると私の心は春になり、終わると冬に向かう。

子供頃から野球が好きで、交流戦6試合終わって10連敗しても巨人が大好きで、今も変わらない。が、サッカーを見ても必死さが胸に迫る。それでいてスポーツ小説を読んだことがないが、沢木耕太郎著「春に散る」を読んだ。

主人公は、世界チャンピオン戦に敗れ、再起を期して渡米、夢は叶わぬまま貧しさの中で働き、気が付けばホテル経営の広岡仁一が、40年ぶりに帰国、かっての同僚3人は、傷害事件で刑務所に、事業に失敗家族から見放され、妻に先立たれ居酒屋していても家賃が払えず追い出されようとしていた。

広岡は訳あり物件で借り手のない一軒家を借りて、「もし気が向いたら来ないか。住む家はある」最後の一人が刑務所から出て来て4人で住むことになった。

黒木翔吾と出会い、自分たちの果たせなかった夢を彼に託し、お互い自由に干渉はせず、料理するもの、畑で作物を作るもの、黒木の練習に付き合うもの、みつめるもの、生活費の大半は広岡が賄った。

広岡は心臓を病んでおり、死んでも望むなら彼らがここで暮らせればと思う。共通のスペース、リビングには大きなテーブルがあり、孤独の風はここで吹き払われていくように、みんなが少しずつ新たな老いを生き生きと生き始めている姿が、とても眩しかった。

シェアハウスの現代版のような物語である。



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