授業中,子どもたちがノートを書いています。
カリカリ…
カリカリ…
すると,黒板前にいた先生が,突然
「しょうたくん」
と呼びかけました。
しょうたくんは,一番後ろの列にいます。
はっとして顔を上げるしょうたくん。
「しょうたくん,そこに書いている『構成』の『構』の字,間違えてますよ。」
「え?」
ノートを見返すしょうたくん。
すると「あっ 本当だ」確かに間違えていました。
すぐに訂正するしょうたくんですが… ふと,思いました。
「先生,そこから見えるんですか!?」
先生としょうたくんの間には教室の端から端までの長い距離があります。
しょうたくんだけでなく,教室中のみんなが不思議に思っています。
得意気な表情の先生
「先生は,ここから何でも見えるんです」
子どもたちは「うそ~」「すげ~」「先生,どんだけ目いいの!」
先生はさらに加えて
「すごいでしょう。先生は先生のプロですからね。教室中のどこでもはっきり見えます。あなたの手元の小さい部分まで見えていますからね。」
ちょっと信じられないけど,確かに先生は一番後ろのしょうたくんのノートの字の間違えを見えていました。
子どもたちは,ごくっと,つばをのみます。
(こりゃ,へたなことはできないな… 先生には見えるんだから…)
全員がそう思いました。
先生としての威厳,授業中の緊張感が,これでちょっと増しました。
・・・・ネタ明かし
もうここまでお読みいただいて,お分かりの方もいるでしょうね。
当然,さすがに先生は一番後ろの子の字の間違えまでは見えません。
そんな視力があれば,相当なものです。(笑)
実は,さっき机間巡視した際に,しょうたくんの机の隣にも来ていて,そのとき字の間違いを見つけていたわけです。
そして,ちょっともったいぶって,その時にはそれを指摘しませんでした。
しばらくたって,黒板前に戻ってから言いました。
「字が間違えていますよ。」
先生は,何でも見えるんです。先生のプロだから(笑)