小学生攻略法

このブログも10年目。久しぶりに担任復帰です。

計画性がなさすぎるけど、感心な若者

2015-12-30 13:45:54 | 教師力UPの攻略法
終業式が2日後に迫っているというとき、本校のある若い先生が
「先生、ちょっといいですか?」
と声をかけてきました。
「授業でやってみたいことがあるんですけど」
と。
「先生が以前教えてくださった「遅延再生システム」を体育の授業で使おうと思って、やっとその準備ができたんです」
「あぁ、あれか。え?手に入ったの?すごいね」
この先生が言う
「遅延再生システム」
とは、動画撮影したものが、自動的に数秒遅れて画面に再生されるシステムのことです。
体育の授業の場合、子どもがカメラの前で動きを行い、動きが終わったその子はすぐに画面を見に行くと、たった今やった自分の動きを自分で見ることができるようになります。

確かに、1年以上前だけど、この先生とこれについて話をしたことがありました。
この先生はそれをずっと覚えていて、実践してみたいと思っていたのでしょう。
ついにその機会を作れたということで、私に声をかけてくれました。

「授業を見に来てくれませんか」
と、その授業の指導案まで渡してくれました。
「わざわざ作ったの?」
「はい」
そこまでしてくれたのに、断るわけにはいきません。
「いつやるの」
「この3時間目の授業で」
「今から!?」

ということで、さっそく体育館に向かいました。
マット運動の授業です。
マットの周りには、大型テレビやプロジェクター、それに先生持参のスマホやタブレットPC、そしてそれらをつなぐたくさんのケーブルがあり、ハイテクな授業が始まりそうな雰囲気ができあがっていました。

私も初めて実際に見ることができるシステムなので、興味津々です。
授業がはじまると、そのシステムも稼働し、マット運動をした子どもたちがすぐに画面で自分の動きをチェックすることのできるようになりました。
画面を見た子たちは
「あ、上手にできてる」
「もうちょっと手を前に伸ばした方がいいな」
と、自己評価をしたのち、また次の運動に移っていました。
これはかなり優れたシステムです。
普通、自分の動きに対するフィードバックは他者(先生か友達)がするしかないものですが、これを使えば自分で行えます。
この先生は、ついにこれを授業に取り入れることができたわけです。
私もしたことがないこのシステムを。

さすがに先生も子どもも不慣れな面はあり、授業のすべてがスムーズにいったわけではありませんでしたが、とてもおもしろく、十分に見ごたえのある授業でした。
「先生ありがとうね。すごくいいもの見させてもらったよ」
というお礼と、自分なりのアドバイスを少し加えて、若手先生に伝えました。

若手らしい未熟な点は
・終業式2日前にこんなバタバタとした実践をしている点
・私に声をかけるのが授業の直前という点
・授業そのものはまだまだ改善の余地にあふれている点

若手らしいほめるべき点は
・向上心、実践欲にあふれている点
・実践できる行動力
・指導案を作ってまで参観を依頼する謙虚さ

私には徐々になくなりつつあるこの
「若手らしさ」
を存分に見せてもらった気がして、うれしくなりました。

私も駆け出しのころはやってみたいことがいろいろとあって、計画性のない思いつきでいろんなことをやっていたことを思い出しました。
取り戻すべきものかなと思います。