何を見ても何かを思い出す

He who laughs last laughs best

しつこく、’’うんこ’’週間 

2017-05-15 23:55:55 | 
今週は、この国の行く末に影響を与える諸々が’’そもそも会議’’の決定を経るという、なんとも’’うんこ’’な一週間だというので、気分が憂鬱である。(「うんこ復活」

こうしていつの時代も国民は、知らされているようで何も知らされていない、というより寧ろ、自ら考えることをしないまま、「そんなこととは知らなかった」という事を何度でも繰り返すのだと思う。
かく云う私も、もう遠くの手の届かない処を想う気力も萎え、身近なところの幸いを心をこめてシッカリ祈りたいと思っている・・・・・明日は上司の手術の日。

そんな諦観と失望にかられている私の脳裏に思い出される本がある。
「小さいおうち」(中島京子)

本書は、タキさんというお婆さんが書き進めている自分史を、読者が同時進行で読むという手法をとっている。

昭和5年に尋常小学校を卒業した主人公タキさんが、山形から東京へ出てきて女中奉公をするところから始まる自分史は、うっかり読み進めていると、昭和初期の東京モダンに浮かれた中・上流階級の家族の日常と秘め事を記したものと勘違いさせられる。

だが、この自分史を時々盗み読みするタキさんの甥・健史が、タキさんが綴る日常に、教科書的「歴史」という視点を与えるおかげで、本書に深みと不気味さが生じるという上手い手法を作者はとっている。

その不気味さが何とも現在に似ている気がしてならない。
そして、その薄気味悪さを記しておかねばならないと思うのだが、’’うんこ’’週間である今週は、忙しいので一纏めに書き記すことは出来そうにない。
この続きは、明日以降につづく

追記
「うんこ復活Ⅱ 女神降臨」で、「研修医なな子」(森本梢子)の感想として、医師界の女性蔑視について書いたが、「研修医なな子」はそれを主題としたストーリーでは全くない。それよりは、やる気も知識も体力も男勝りな なな子が理不尽な仕打ちを跳ね返し成長する姿をコミカルに描くものであり、少なくとも なな子と同世代の男性医師は、旧態依然とした意識を(あまり)持たずに男女対等に仕事に励む姿が描かれている。
ともかく、明るく楽しい読後感であったと一言書いておかなかればならないと、チクと思ったものである。