何を見ても何かを思い出す

He who laughs last laughs best

祝 ’’うん’’がついてきた

2017-05-16 23:17:05 | ひとりごと
今朝の空は、抜けるように青く澄みわたり、清々しいものだった。
その空を見上げ、躊躇うことなく私がメールに記したのは、ロバート・ブラウニング「春の朝」の一節だった。

神、そらに知ろしめす
すべて世は事も無し

先月の胃癌の告知以来、周囲の動揺をよそに御自身は冷静に引き継ぎや指示を飛ばしてこられた、上司。
「本当のことを乗り越えさせる希望」
その強靭な精神力が、深くキリスト教に帰依しておられることに因るものなのかは分からないが、そのような上司が手術を目前にされている時、若輩者の私は届ける言葉が見つからないでいた。
だから、今朝爽やかな空を見上げた時に心に浮かんだ「春の朝」の一節に思いを託してメールした。

思えば私自身、何度この詩を口ずさみ、何度救われてきたことだろう。
「赤毛のアン」(M・モンゴメリ 訳・村岡花子)の最後にも記されている「春の朝」の一節は、子供の頃から何度も読んでいたはずなのだが、数年前まで心に留まることはなかった。
だが、数年前に上田敏による この詩の全文を知って以来、「春の朝」は私を支える宝となった。
自分自身が辛い時はもちろん、辛い誰かを心をこめて応援したい時も、いつも「神、そらに知ろしめす すべて世は事も無し」と念じてきた。
そして今日も、この一節に思いを託してメールをし 手術の行方を見守っていたが、先ほど「無事成功、術後の回復室から一般病棟へ戻られた」と連絡が入った。

今日ここに感謝をこめて全文を記しておきたい。

「春の朝」
(ロバート・ブラウニング 訳・上田敏「海潮音」より)

時は春、
日は朝、
朝は七時、
片岡に露みちて、
揚雲雀なのりいで、
蝸牛枝に這ひ、
神、そらに知ろしめす。
すべて世は事も無し。


God's in His heaven,
All's right with the world!




追記
村岡花子氏は、「神は天にあり、世はすべてよし」と訳し、「赤毛のアン」を終えている。