何を見ても何かを思い出す

He who laughs last laughs best

あらまほしき先達

2018-06-17 13:25:37 | ひとりごと
「鳴かぬ蛍が、コツコツと」より

こう云ってはなんだが、「徒然草(吉田兼好)の石清水八幡宮の件」と聞いて、「あぁー」と共感のため息を漏らすのは、私のような粗忽者だと思う。

今回の京の都そぞろ歩きの大きな目的は、西芳寺(苔寺)でしとしと雨(←ここが肝心)に濡れた苔を堪能することにあったので、週末の雨は織り込み済みではあったが、京都駅に降り立つと、最近の気象庁のトレンド通り予報が大きく外れ、晴れていた。
そうなると、苔寺以外も見て回りたくなるというもの、急きょ思いついたのが、松尾大社や鈴虫寺であった。

松尾大社の鳥居には奇妙なものがぶら下がっている。
松尾大社はお酒の神様として有名なので、杉玉かと思い目を凝らしたが、どう見ても枯れた草にしか見えない。
あの日は、平成の御遷宮の奉幣祭が午前中あったため、謎の物体について何方にも質問できなかったが、今検索してみると、どうやら それは脇勧請(わきかんじょう)と呼ばれる榊の束で、榊の枯れ方により月々の農作物の出来具合を占うようだ。因みに、榊が完全に枯れると豊作で、一部が枯れ残ると不作なのだとか。

 

偶然立ち寄った松尾大社で行われていた平成の御遷宮の奉幣祭




奉幣祭をまえに、拝殿手前で規制線が張られるなど緊張感も漂っていたのだが、本殿へのお参りが禁じられる直前に、私達はお参りできたし、珍しい様子を拝見できたので、ラッキーだと思っていた。

だが、今いろいろ検索していると、松尾大社がパワースポットと云われる由縁の多くのものを私たちは見逃している。

松尾大神は亀に乗って松尾山に鎮座されたため、境内の至る所に神勅の亀が配置されているそうだが、私達が目にしたのは、手水舎のこの亀さんだけだ。
今更と云いながらも気になる恋愛成就の「相性の松 」も、延命長寿・蘇りの水(アンチエイジング効果が高い?)霊泉「亀の井」も、浄化のパワースポット「霊亀の滝」も、拝することはできなかった。

もちろん本殿に優るものはないはずなので、そこを奉幣祭の直前にお参りできたのは、貴重な経験で有難いことだが、他にパワースポットが幾つもあることも知らず、大満足してしまったことに気づき、冒頭の徒然草の石清水八幡宮の件を思い出したのだ。

幾つものパワースポットを見逃しているとも知らず、意気揚々と苔寺へ向かう道すがらに、松尾大社摂社「月読神社」がある。
説明書きによると、月読尊をお祀りする「月読」神社だが、月読尊は天照大御神の兄弟だとか。
数百メートルごとに、足を止めたくなる神社仏閣がある京の都は、やはりいい。
そう思わせてくれる京のそぞろ歩きは、まだまだつづく



参照、無粋ではあるが
徒然草第52段
仁和寺にある法師、年寄るまで、石淸水を拝まざりければ、心うく覚えて、ある時思ひ立ちて、たゞひとり、徒歩 かち よりまうでけり。極樂寺・高良などを拝みて、かばかりと心得て帰りにけり。さて、かたへの人にあひて、「年比思ひつること、果たし侍りぬ。聞きしにも過ぎて、尊くこそおはしけれ。そも、参りたる人ごとに山へ登りしは、何事かありけん、ゆかしかりしかど、神へ参るこそ本意なれと思ひて、山までは見ず」と言ひける。
すこしのことにも、先達はあらまほしき事なり。