何を見ても何かを思い出す

He who laughs last laughs best

曲がり角の先にあるもの

2015-02-08 11:22:05 | 
子供の頃にもらった賞状などは押入れを探しても、もはや見つからない年月がたったが、夏休みに書いた読書感想文が表彰されて貰った盾は、今も書棚で、ブックスタンドとして活きている。

何かを考える時、人の意見や自分の経験を参考にする人は多いのだろうが、私の場合は圧倒的に「本」の世界に意見を求める傾向がある。

世の中には膨大な本があり、人が読書にあてがえる時間には限りがあるのだから、出版から10年たってなお評価されている本しか読まない、と言う友人もいる。
クリスマスには絵本をプレゼントし合うという友人もいるが、その一方で、大人が読む絵本ブームを、「所詮、絵本を読むほどにしか読解力がないのだ」と小ばかにしている友人もいる。

自分には、「何時、何を読むべきか」 につき講釈を垂れる才覚はないが、振り返ってみて「子供の頃に読んでおけば良かった」と思う本はある。

「赤毛のアン」(モンゴメリ作)

小学校高学年の頃、図書館から同級生が借りてくる「赤毛のアン」を「子供じみた本だな」と横目に見ながら、「車輪の下」(ヘルマン・ヘッセ)を読んでいたのだが、
あれは大いなる間違いだった。
「車輪の下」とあわせて、「赤毛のアン」も読んでおくべきだった。
どう手遅れだったかは古傷を舐めることになるので深く思い出すことは避けるが、「赤毛のアンを子供の頃に読んでおけば良かった、少しばかし手遅れだった」と今も後悔している。

そんな思いもあって、昨年の「花子とアン」を見ていた。

村岡氏の訳は、時に誤訳すれすれの意訳もあるというが、翻訳物は、意訳の妙とそこに垣間見える訳者の世界を楽しむものでもあるとすれば、村岡氏に英語力を授けた学校と先生方の影響は計り知れないのだと思う。

花ちゃんの大恩師ブラックバーン校長が卒業生へ贈る言葉

Life must improve as it takes its course.
人生は進歩です
Your youth you spend in preparation
若い時代は準備の時であり
because the best things are never in the past,
最上のものは過去にあるものではなく
but in the future.
将来にあります
I hope that you pursue life,and hold onto your hope and your dream until the very end of the journey.
旅路の最後まで、希望と理想を持ち続け進んでいくものでありますように


ドラマでこの言葉を聞いたとき、これが、アンの性格を描くうえで核となるものだとは気が付いたが、それがどのように活かされているかについてまでは確認していなかった。

それを教えてくれるニュースがあった。2月7日、産経ウィークリーより引用

皇太子さまは6日、東京都千代田区内で開かれた「青少年読書感想文全国コンクール」の表彰式に臨席された。あいさつでは小説「赤毛のアン」の一節を引用し、「学校生活を送る中で、あるいは学校を卒業後も、さまざまな曲がり角に出会うでしょう」「その先にあるものがよいものであるという希望を持って、未知の世界に羽ばたいていっていただきたいと思います」と語りかけられた。式後のパーティーでは受賞した小中高校生と懇談された。
小町恭士東宮大夫によると、雅子さまも臨席を希望していたものの、表彰式が1時間以上に及ぶことや、週に2度目の公務となることなど、ご体調への影響を考慮した医師の判断から、やむなく取りやめられたという。


確かドラマでも、曲がり角の先にあるものは良いものであるという希望をもって、というセリフは度々出ていたように記憶している。
もしかすると、皇太子御一家も「花子とアン」を御覧になっていたのかもしれない。
そして、「赤毛のアン」を御一家で読み返えされたからこそ、公務で出会う青少年へ贈る言葉に引用されたのかもしれない。

私が子供の頃に読んでおけば良かったと長年後悔していた「赤毛のアン」を、それを読むのに相応しいご年齢の敬宮愛子内親王殿下もお読みになったのかもしれない、そして同じ年頃の青少年が、皇太子様の御言葉をきっかけに、読むかもしれない。

この本を読む若者が皆、
曲がり角の先にあるものは良いものであるという希望をもって、将来に最上のものを見出せることを願っている。

ここまで書いて、アンの訳があっての、ドラマのブラックバーン校長の言葉かもしれぬと気付いたが、両者相俟っての感動なので、深くツッコまないことにする(苦笑)

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