失恋の数だけ思い出の歌がある。
男は名前を付けて保存。
女は上書き保存。
誰かがそんなことを言っていた。
僕の心の中のフォルダーには、
いくつかの失恋の歌が保存されている。
初恋。
大人の恋に憬れた10代。
叶わぬ恋を経験した20代。
結婚を意識した30代の恋。
失恋をするたびに思い出の歌が1曲ずつ増えていく。
あの頃の歌を聴けば、あの人を思い浮かべる。
♪あの人のことなど もう忘れたいよ
だって どんなに想いを寄せても
遠く叶わぬ恋だから
心の中のフォルダーの中にある1曲。
浜田省吾さんの『片思い』
♪気がついた時には もう愛していた
もっと早く「さよなら・・・」言えたなら
こんなに辛くは なかったのに
自分の経験した想いがこの歌を物語っている。
叶わぬ恋と知っていたのに・・・。
辛かった。悲しかった。涙がでた。
♪せめて一度だけでも
その愛しい腕の中で
「このまま 傍に居て 夜が明けるまで」と
泣けたなら・・・
いつ聴いても何度聴いても心に沁みる。
♪肩寄せ歩く恋人達
すれ違う 帰り道
寂しさ風のように
いやされぬ心を もて遊ぶ
あの人の微笑 やさしさだけだと
知っていたのに それだけでいいはずなのに
愛を求めた片思い
風の様に去って行ったあの人。
今ごろどこで何をしているのだろう。
名前をつけて保存した失恋の歌。
なぜかゴミ箱に移動することができない。
とくにこの『片思い』は死ぬまで保存されているだろう。
片想い (ON THE ROAD "FILMS")