
昨日、奥歯の金属の詰め物が取れてしまい、歯科に行った。
その歯科は茅ヶ崎の駅からサザンビーチに向かう通りにありる。
診察椅子が1台だけで、レセプトも会計も先生一人で行っている。
なんか、1日10人限定の予約制の床屋みたいで、
のんびりとした空気が流れている。
予約時間に余裕をもって行ったので、
10分ほどソファーに座り自分の番を待っていた。
雑誌ラックがあり、車やサーフィンの雑誌の隣に、
かなり古い湘南スタイルが並べられていた。
湘南スタイルとは、湘南風の素敵な家を主に、
そこでのライフスタイルや飲食店や風景なんかを紹介する雑誌である。
ペラペラめくると中ほどに『湘南で犬と暮らす』という特集をみつけた。
湘南という地域は街と海が溶け合っていて、
冬はどこまでも青い海と蒼い空が続き、
休みの日に自転車に乗れば自然と心が高鳴る、そういうところである。
そこで住居を構え、朝早い時間に波乗りをしたり、
人間自体もその土地に溶け合う。
そこで犬と暮らす人々はとても優しい顔をして嬉しそうに犬とともにいる、
と書いてあったのだ。
雑誌の画像を携帯カメラで撮ったのを文頭に載せたが、
雑誌の文章の通り実によい写真である。
そこにあるのは紛れもなく平穏の幸せである。
でも我々は、その平穏を持続させることが如何に困難なことかよく知っている。
人は望もうが望むまいが、予想通りなのか突如なのか、平穏が激変することが多々ある。
湘南に居続ける人、湘南をあとに新しい人生を開拓する人、
みんなの胸に去来するは冬の西風の海や、夏の熱い砂のビーチで、
浜辺を一緒に歩いた犬は、また来る平穏への癒しである。
とどのつまり、湘南で犬と暮らすということはそういうことである。
そんなことを歯科のソファーで思った、とさ。