グリーンブレーカーズ by 高木肥料店

農業の現場の おはなしなどなど。

イネには「三黄」がある。

2014-06-24 14:58:17 | Weblog
イネには「三黄」がある。

イネ作りにまつわる昔からの言葉で、 「イネには三黄がある」 と
いう言葉があります。これは、

 イネを栽培するあいだにおいて
 3度、葉の色を薄く〔栄養を落とす〕したほうが良い時期がある


という意味です。また

 この3つの生育時に、葉の色が濃すぎている〔栄養が効きすぎ〕と、
 その後の生育がうまくいかなくなってくる


という イネ栽培の様子をあらわしている言葉 にもなります。

つまりイネの三黄色とは・・・

いつもいつも肥料を効かせておけば良いという考えや、肥料はやらなく
ていいという考え
とは、対極にある〔昔からの〕考え方となります。

実際の栽培においては・・・

元肥/植え付け前の肥料をいっきにドカンとやる方法では、いつまでたっ
ても肝心なときに葉の色が抜けず、低温とか日照不足などの異常気象が
襲ってきたときに思わぬ障害〔病害虫〕に侵されやすいこととなりがち
となります。

反対に肥料が足らなくては、日照りの年では、絶対的な収穫量が不足し
たり、収穫時期がそろわなくなる場合が多くなりがちになります。

その対策として、『イネの三黄』の時期を頭において、作業管理を行う
わけですね。

具体的には、田んぼの水管理を考えたり、 田の中に酸素を入れたり、
あるいは生育を調整するためにカリの多い肥料を与えたり、リンサン
とマグネシウムの割合の多い肥料を与えたりといった管理となります。

そして、その葉の色を落とす時期ですが、具体的に落とす時期となる
のは、

 ● 田植えの時期
 ● 穂がでる25日前くらいの栄養生長期から生殖生長期への転換期  
   そして
 ● 穂が出た後の収穫期

の3回となります。

このように変化する気象や作物の成長に伴う生理にあわせて、あるとき
は適応する栽培管理を行う
、そして またあるときは足らない成分をい
れ多すぎる成分を抜いたりする
・・・・これが作物栽培と収穫の原則で
あり、それこそが『栽培』なのだと思わずにはおられません。

以上、今回は 作物には肥料を控える時期と効かす時期があるという
おはなしを、『イネの三黄』をご紹介することでご説明してみました。


◎  もちろん肥料を控える時期と効かす時期があるのは、イネだけとは限り
  ません。ほかのいろいろな作物にも、共通することなんですよ。
  そういった意味で、イネつくりは栽培の基本を学ぶのに最適である
  ともいえそうです。なんといっても水稲は、穂の時期でなければ、水
  害にもとても強い[日本向けの]作物
でもありますし、ねっ。

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg 「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染



見かけなくなった侵入害虫。

2014-06-23 17:20:12 | Weblog
見かけなくなった侵入害虫。

樹齢250年にも及ぶという、なまえの知れ渡った貴重なお寺のイヌマキ や
宮崎神宮の境内に植えられていた30本以上のイヌマキ を枯らしたことでも
有名になった、南方からの侵入害虫である キオビエダシャク 。

2009年と2010年に 宮崎県内で大発生し、生息域を広げていたはずの
この大害虫の姿を

 今年にはいって見かけなくなった

ことが、宮崎県の樹木の関係者やガーデナーの間で話題となっています。

とにもかくにもこの虫の繁殖力は脅威そのもの でしたから、ここ数年にわた
って大切な樹木を守ろうとして奮闘させられた関係者にとっては、うれしい大
ニュースといえそうです。


 こちら → キオビ・ニュース

この大発生していたキオビエダシャクを見かけなくしたのは、なんといっても
冬の寒さ。まずは 2010年以降の 冬の最低温度が下がっているのです。

さらに追い打ちをかけたのが、降雨の回数。[通常では旱魃といってよいほど
に乾燥するはずの]冬期の宮崎で、昨年からは降雨の回数が増えているのです。

ということで今回は、どんな防除法よりも気象要因が一番効いたというケース
のお知らせでした。


◎ ただし、降雨が多いと逆に被害をもたらすものも。たとえば こちら
  葉もの野菜の、球の中などに入るものなどは特に厄介です。

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生垣を食べる侵入害虫・北上中。

2014-06-23 17:06:12 | Weblog
生垣を食べる侵入害虫・北上中。

次回の関連記事として 2009年7月分の再掲載です。

 ↓

生垣を食べる侵入害虫・北上中。

生垣や街路樹に使われることの多いイヌマキを食べる虫の北上です。年に4~
5回孵化するといわれているこの虫の幼虫がたべるのは新芽。新芽がすべて食
べ尽くされることによるイヌマキの枯死被害が、2007年前後から南九州の
鹿児島県や宮崎県で目立ってきています。

このキオビエダシャクとよばれる害虫の、もともとの生息地はインドやマレー
半島。その後、温暖化の進行とともに北上。南西諸島を経て、2000年夏に
は鹿児島県薩摩半島南部に上陸。その後、鹿児島県を経由して宮崎県への侵入
につながっているわけですね。

[たとえば台風の風などに乗っても]南方からはいってくることも多い日本へ
の侵入害虫。

このキオビエダシャクに関して言えば、

 じつは1955年、いまから50年前にオス2匹が確認されていた

という記録もあるそうです。・・・ただ、そのときは越冬できなかった。

しかし、このところの暖冬です。この 冬の最低気温の上昇が、北上した個体
を生き残らせ、さらには棲息エリアを拡大させている
と推測されています。

2007年には宮崎県の串間市で大発生した、このキオビエダシャク 。

身体に黄色の帯状の縞がはいった枝にとまるシャクトリムシの仲間・・・とい
うことになりますよ。この姿をみたときは、お近くの役場などにご一報を。


◎メス一匹当たり千個ちかくの卵を産む というキオビエダシャク。
  その強い繁殖力こそが最大の脅威なのかもしれません。

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危険なトゲを持つ外来植物が、全国の芝生で増殖中です。

2014-06-19 22:47:14 | Weblog
危険なトゲを持つ外来植物が、全国の芝生で増殖中です。

観光県である宮崎県の公園にあっても、最近はこのトゲを持つ植物の注意
が書いてある看板
 が 目立つようになってまいりました。ということで、
2012年5月分の2回分再掲載です。

 ↓

『危険なトゲを持つ外来植物が全国の芝生で増殖中です。』


草の上をはだしで歩く子どもやペットに害をなす、帰化植物があります。

それが メリケントキンソウ です。 

毒はないが、刺さると「押しピンを踏んだような痛み」があるという、トゲ
のある実をつけるこの植物に対して、注意を喚起する新聞記事は ↓ こちら 。

 
 新聞記事.jpg

この記事によると自転車のタイヤをパンクさせる場合もあるとのことで、その
トゲのするどさには、驚きを隠せません。2ミリ前後 という極小とはいえ、
そのトゲの持つ威力には、まるで忍者の使うマキビシを連想してしまいました。

 
 うーん、みたような?.jpg

で、そんな メリケントキンソウですが・・・そういえば勤め先の芝生にも
似たようなのがあったぞと、思い当たり、さっそく確認することにしました。

 
 ひょっとして これ.jpg

これなんか、どうにも メリケントキンソウ っぽい。

そこでこの植物の、枯れたふうの乾燥した花の部分を触って見たところ・・・
きましたよ、キリッとした痛み

やっぱり これは、メリケントキンソウでした。花をこすった指には、小さ
いとはいえ 数本のトゲが、しっかりと確実に刺さっていました。

5月から6月にかけて 実が乾燥するために、被害が発生しやすくとなる
メリケントキンソウ
。注意が必要です〔とくに芝生の周辺部などの密植して
いない部分などで
〕。

自生しているかどうか、お住まいの自治体のホームページなどを検索され
てみられることをお薦めします。 ちなみに 宮崎のページは 参考までに
こちら です。


◎ 原産地が南アメリカのキク科の野草である、このメリケントキンソウは
  1930年には すでに国内で発見された記録があるとのことです。
  どうりで、見たような草だなと思ったはずですよね。

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染

刺さるトゲよりも怖いものは。Hすみ

その鋭いトゲで、子どもやペットに害をなす可能性のある外来植物である
メリケントキンソウの続編です〔前回分は こちら 〕。
そのメリケントキンソウの大きさ ですが、10円玉と比較するとこんな
かんじになります。

 詳しい 大きさ.jpg

そして・・・刺さるトゲと同じように、このメリケントキンソウを怖れなければ
ならない理由。それは、この下の写真にあるように、その成長のスピード、
とくに 開花から結実のすばしこさ にあるようです。

じつは ここの芝生は、この連休前にわたくしの手によって、刈払い機で
刈られたばかりの場所だったのですから。なんという成長ぶりでしょう!


 メリケン2.jpg


しかも開花期の4月から5月にあたっているとはいえ、小さい個体ながら
現在ではしっかりと蕾がついているところには驚かされました〔ふつうの
植物ではここまではやく結実しない
〕。

このまま開花するのを見ているだけであるのなら、この花で結実したタネ
は、5月から6月にかけて硬化
し、靴底や車両類のタイヤなどに付着して

結実から拡散.jpg のの拡散していくにちがいありません。

青い芝生で寝転がったり、はだしで自由に歩き回ったりする気持ちよさを、
未来の子どもたちに伝えるためにも、この草の増殖拡散だけは防ぎたいな 
とおもうのです。そのためには、まずはこの植物の認識と生息確認が大切
ですよね。

というわけで、日本各地で増殖している外来植物、メリケントキンソウに
ついてのお知らせでした。


◎ いちばんてっとりばやい防除法は、種子が硬化する前の刈払い
  と思うんですよ。というわけで、さっそく明日早朝には作業決行です。

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別荘をもったナメクジ。

2014-06-17 16:05:40 | Weblog
別荘をもったナメクジ。

梅雨の時期になると増えてくるのが、ナメクジやカタツムリによる被害。
そんな彼らの生活圏に関するおはなしとなります。

 ↓

冬場は暖かい場所で越冬し、夏場に涼しい場所に移動するという、カタツ
ムリやナメクジは、農家やガーデナーにとっての大敵です。

そう、最近の彼らは 周囲の環境をよく研究しているのです。

たとえば農村地帯では、冬場は加温するハウス栽培のハウスで過しますし、
暑い夏場は風通しのよく涼しいお茶畑で過すというライフスタイルを確立
してもいる
ようですよ。

これは家庭のベランダと室内でも同様で、さむい時期には鉢の裏や鉢底に
潜んで、夏場にはすずしいベランダに移動するといったちゃっかりやさん
もいるようです。

そして室内に入り損ねた個体の越冬先は、昔であれば積み重ねられた植木
鉢の間やベランダに置いておかれる大鉢の底面などであったのですが、
最近ではエアコンの室外機の中が格段にお気に入りであるようです。毎年
被害に遭われるという方は、この時期に ぜひチェックされてくださいね。

ちなみに被害のおおきな場所の共通点を書いておきますと・・

  夏場の日当たりが悪く湿気が多い場所
  有機物が多い土と、雑草や枯葉などがかたづけられていない場所

などになります。そして対策ですが

  雑草や枯葉などをこまめに片付けること
  鉢の下に置物をすること
  鉢やプランターの底には、侵入防止のネットを使用すること
  鉢土のうえに生の有機物をおかないこと

などが、防除効果を向上させます。

被害が多い場所では、移動してくる「いま」の時期が最大の防除時期で
もあるわけです。やられる前に叩く。。この作戦で臨まれてください。


◎ 彼らは軟らかい先端の芽や葉が大好き。お花の
  
先端部の被害に心当りのある方は、彼らに要注意 です。

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