悪魔の飽食―第七三一部隊の戦慄の全貌! (続) (角川文庫) 価格:¥ 504(税込) 発売日:1983-01 |
1989年7月22日に新宿区戸山の厚生省合同庁舎(現在国立感染症研究所と国立健康・栄養研究所)の建設現場から「人骨」が発見されました。森村誠一氏の『続・悪魔の飽食』P87には次のような記述があります。
《戦前、東京・新宿区若松町の陸軍病院、陸軍防疫研究室には多数の人体標本があった。その中には乾燥し、ミイラになった人体や、ペストに罹った黒色死体もあった。コレラ、ペストの罹病標本も多かった。
敗戦と同時に、多数の研究者、教育隊少年隊員が動員され、標本の処分が急がれた。防疫研究室の裏手にあった空き地に深さ10㍍の大きな穴が掘られ、防疫研究室にあった多数のホルマリン漬け人体標本がガラスビンごと投げ込まれた。関係者の証言によれば、(人体標本の処分作業は8月15日以降1ヵ月かかった)という。「穴の広さは15㍍四方、深さは10㍍」3階建の家屋がすっぽり納まりそうな深さだった。穴掘りが完成すると同時に人体標本を入れたガラス広口瓶、パラフィン処理を施した人体組織標本が何百個も穴のなかに投げ込まれた…ミイラの人体標本は投げ込まれたところを東京帝大医学部から来た人々によって再び拾い上げられ、帝大に持ちかえられたと記憶している…。標本の中には高橋お伝の臓器もあったが、これは警視庁が持ち去ったとは関係者の話である。(中略)新宿若松町の陸軍防疫研究室や陸軍軍医学校には、ハルピンから持ち帰った「丸太」の標本多数があったのではなかったか》(注)若松町は著者の間違いである。
戦前の陸軍軍医学校に勤務していた元看護師の石井十世さんの証言もあって、軍医学校跡地(国立感染症研究所)から発見された「人骨」の他に、現在国立国際医療センター職員宿舎(戸山五号宿舎)付近に、上記の記述にある「人骨」が埋められていると確認され、郡和子衆議院議員(民主党)の質問主意書に下記の回答がありました。
これまでの「人骨」の経緯については、「人骨の会」(軍医学校跡地から発見された人骨問題を究明する会・代表神奈川大学常石敬一教授)のwebサイト「人骨(ほね)は告発する」を訪問して下さい。管理人もこの会の会員です。
平成22年1月27日
厚生労働省医政局政策医療課監査指導室
国立国際医療センター戸山病院の戸山五号宿舎周辺の新たな人骨調査について(回答)
川崎二郎厚生労働大臣(当時)が2006 年6月23日に元看護師と面談し同病院戸山五号宿舎周辺に人体標本が埋められているとの証言に基づいて約束した発掘調査の進捗状況について以下のことを問い合わせる。
1) 舛添要一厚生労働大臣(当時)は戸山五号宿舎周辺の調査については国立国際医療センターの独立行政法人移行後も厚生労働省が発掘調査を行うことを明らかにしている。
(2008 年5月14日衆議院厚生労働委員会答弁・2009 年2月17日答弁101 号)このことに変わりはないか。
答) 国立国際医療センターの独立行政法人移行後においても、厚生労働省が発掘調査を行うことに変わりはない。
2) 戸山五号宿舎周辺の敷地は国立国際医療センターの独立行政法人移行後に所管換えがあるのかどうか明らかにされたい。
答) 国立国際医療センターの独立行政法人移行の際、戸山五号宿舎周辺の敷地は厚生労働省に所属替される予定である。
3) 調査は戸山五号宿舎に居住している職員が戸山町住宅一号棟及び二号棟に移転し、宿舎が空き家になった時点で検討するとしているが、現状と見通しを明らかにされたい。
答)戸山五号宿舎に居住している職員については、戸山町住宅を含めた代替宿舎を確保できるよう調整しているところである。なお、戸山五号宿舎に居住している職員は、平成21年度中に転居していただくこととしている。
4) 厚生労働省の2009 年3月17日における説明では、戸山五号宿舎が空き家になった時点で、調査費用、調査主体など具体的なことを検討していきたいとしていたが、2010 年度予算等に反映されているのかどうか明らかにされたい。
調査を要望している市民団体は発掘調査にあたって、死体の一部であることを念頭に専門的な知見を有した有識者を構成員とした考古学的な埋蔵文化財調査を準用して行うよう求めているが、検討されているのか明らかにされたい。
答) 人骨発掘調査費用については、2010 年度予算案において計上しているところ。人骨発掘調査の方法等、具体的な内容については、予算成立後、検討していくこととしている。