東京ジングフェラインの充実した「マタイ」レッスンから帰宅し、朝からドップリ浸かったバッハから気分転換しようと、ラヴェルのピアノ曲を聴くことにした。
選ぶは、届けられたばかりのヴラド・ペルルミュテールによるラヴェル旧ピアノ作品全集からの1枚だ。ジャケットも洒落ているし、クリーム色の下地に緑文字のレーベルも味わい深い。
それにしても、素晴らしい音楽であり演奏だ。
モノーラルの最盛期の録音だけに、ペルルミュテールの奏でる音たちが宝石のように、煌めいている。この楽器と直接語らうような醍醐味はモノーラル録音特有のもので、ステレオ録音では味わえるものではない。
作曲者ラヴェルの門を叩き、全作品への個人レッスンを受けたというだけに、ペルルミュテールのタッチは確信に満ち、造型も知的で揺るぎがない。ニムバス・レーベルに入れた新全集も良いのだけど、この旧盤の魅惑は桁が違うようだ。
残る2枚も聴きたく=買いたく=揃えたくなってしまうのがコレクターの悪いクセだな。
ヴラド・ペルルミュテール(pf) ラヴェル・ピアノ作品全集より「鏡」「夜のガスパール」
仏Pathe VOX VP370