ポール・マッカートニー アウト・ゼアー ジャパン・ツアー2015 より東京ドーム公演初日を聴いた。今宵、ようやく、苦心の末チケットを入手しながら中止となった「幻のウイングス・ジャパンツアー 1980」の雪辱を果たした想いがする。全力投球の素晴らしいパフォーマンスに接することで、胸の奥にわだかまっていたものが、すべて氷解したのである。
正直のところ、「ポールももう72歳だし、観られるうちに観ておこうか・・・」という「記念的」な意味合いも込めて東京ドームへと向かったものだが、「マジカル・ミステリー・ツアー」をもってコンサートの火蓋が切って落とされると、すべてが全開。下記の37曲をまったく休憩なしに、歌いきるエネルギーの凄まじさに圧倒された。京セラ大阪ドーム公演から中1日しか空いていないというのに! しかも、声が涸れるとか、震えるとか、ピッチが下がるなどの技術的問題もまったくなし、尻上がりに調子を上げるというのだから恐れ入る。
個人的には、12曲目のWe can work it out(恋を抱きしめよう)あたりで、どうにもならないほどの感動がこみ上げてきた。ジョージの魂に捧げたポールの声によるSomethingにも胸が震えたし、Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Bandからの諸曲、Let it beやHey Judeといった永遠のスタンダードナンバーを生演奏で聴ける歓びは、何物にも代え難いものであった。
ところで、ポールといえば、おそらく現存するミュージシャンの中では、もっとも収入や財産の多い部類と思われる。だから、仕事なんかしなくても悠々自適に暮らせるはずなのだ。にもかかわらず、いまも超一流の現役としてステージに立つだけの心と体を維持しつづけているというのは、まことに立派なことだと言えるだろう。わたしの席の周辺では、途中で疲れて座ってしまう聴衆も少なくなかったが、おそらく彼らより年長のポールの方がずっと元気なのだから天晴れである。
今宵は、本当によいエネルギーを浴びることができた。都合が許すのなら、借金をしてでも残りの3公演すべてに駆けつけたいところだが、幸か不幸か、すべて仕事と重なっている。しかし、この1夜だけでも我が心は満ち足りている。一生の思い出となることは間違いない。(幼なじみのI君にチケットを手渡しできたのも本当によかった・・・)
さあ、ポールのパワーにあやかって、ボクも頑張るぞ。
《セットリスト》
1. マジカル・ミステリー・ツアー(ビートルズ)
2. セイヴ・アス(ソロ / 最新アルバム『NEW』より)
3. キャント・バイ・ミー・ラヴ(ビートルズ)
4. ジェット(ウイングス)
5. レット・ミー・ロール・イット(ウイングス)
6. ペイパーバック・ライター(ビートルズ)
7. マイ・ヴァレンタイン(ソロ)
8. 1985年(ウイングス)
9. ロング・アンド・ワインディング・ロード(ビートルズ)
10. 恋することのもどかしさ(ソロ)
11. 夢の人(ビートルズ)
12. 恋を抱きしめよう(ビートルズ)
13. アナザー・デイ(ソロ)
14. ホープ・フォー・ザ・フューチャー(ソロ / 最新曲)
15. アンド・アイ・ラヴ・ハー(ビートルズ)
16. ブラックバード(ビートルズ)
17. ヒア・トゥデイ(ソロ)
18. NEW(ソロ / 最新アルバム『NEW』より)
19. クイーニー・アイ(ソロ / 最新アルバム『NEW』より)
20. レディ・マドンナ(ビートルズ)
21. オール・トゥゲザー・ナウ(ビートルズ)
22. ラヴリー・リタ(ビートルズ)
23. エリナー・リグビー(ビートルズ)
24. ビーイング・フォー・ザ・ベネフィット・オブ・ミスター・カイト(ビートルズ)
25. サムシング(ビートルズ)
26. オブ・ラ・ディ、オブ・ラ・ダ(ビートルズ)
27. バンド・オン・ザ・ラン(ウイングス)
28. バック・イン・ザ・U.S.S.R.(ビートルズ)
29. レット・イット・ビー(ビートルズ)
30. 007死ぬのは奴らだ(ウイングス)
31. ヘイ・ジュード(ビートルズ)
32. デイ・トリッパー(ビートルズ)
33. ハイ・ハイ・ハイ(ウイングス)
34. アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア(ビートルズ)
35. イエスタデイ(ビートルズ)
36. ヘルター・スケルター(ビートルズ)
37. ゴールデン・スランバー~キャリー・ザット・ウェイト~ジ・エンド(ビートルズ)