福島章恭 合唱指揮とレコード蒐集に生きるⅢ

合唱指揮者、音楽評論家である福島章恭が、レコード、CD、オーディオ、合唱指揮活動から世間話まで、気ままに綴ります。

針音の向こう側

2015-12-22 13:41:44 | レコード、オーディオ


「ペレアス」を聴いた後、先日心斎橋で出逢った「モーツァルト 伝説の録音」を摘まみ聴き。

内田光子は「針音は10秒で消える」と語っているが、中には「流石にここまで盛大だと聴き辛い」と思える復刻も混ざっている。宿命ゆえに仕方ないとはいえ、再生装置が本格的になるほどにそうなるのではないか? そんなとき、地下のリスニングルームの扉を開けたまま1階のリビングに上がって離れてみると、実に心懐かしい温かな音に聴こえたりする。

この針音や再生に伴うノイズというのは実に厄介で、SPそのものを聴く分には全く気にならないのないのだろうけど、その音がデジタル化されてしまうと少々耳に刺々しくなるのだ。

LPレコードを聴きながらですら、「ここに鳴っている音は素敵だけど、このまま板起こしにしたら耳障りだろうな」と思うことがある。針音の量の絶対的に違うSPなら尚更だろう。

もっとも、当セットの復刻を否定するつもりはまったくない。作り手の言うとおり、ノイズを除去することで、魂の抜かれてしまった例はいくらでもあるワケで、ここではノイズの向こうに演奏家たちの命の炎が灯っていることを尊ぶべきなのだ。ただ、もし自分が復刻者だったら、ここまで残す勇気はなかったかも知れない・・。

結論として、SPそのものを聴くのが最高ということなのだろうけれど、LPレコードだけで生活が壊れているところ、その禁断の世界に足を踏み入れることだけは思いとどまらねばならない。


ドビュッシー「ペレアスとメリザンド」デゾミエール指揮 仏VSM FJLP盤

2015-12-22 10:40:09 | レコード、オーディオ



幻のレコード確保記念(現物を手に出来るのは年明け・・)に、今朝はその関連アイテムであるドビュッシー「ペレアスとメリザンド」のデゾミエール盤を聴いている。

ドビュッシー: 歌劇「ペレアスとメリザンド」

ペレアス: ジャック・ジャンセン メリザンド: イレーヌ・ジョアキム ゴロー: アンリ・エチェヴェリほか

ロジェ・デゾミエール指揮 交響楽団

仏VSM FJLP 5030/32



オリジナルはSPレコード20枚=40面(DB5161/80)に及ぶ、1941年ナチス占領下、ヴィシー政権時代のパリでの録音。

まさに、フランスの音楽家たちが威信を懸け、総力を挙げて完成させた大事業と呼べるものだろう。

このFJLP盤は1954年復刻の3枚組LPだが、フランスの香りと演奏家たちの誇りが一杯に詰まった音の記念碑で音質も奇跡的に豊穣である。

若い頃には、メリハリがなくて退屈に聴こえたドビュッシー唯一のオペラが、最近では胸の奥深くに染みる。

この陶酔的な美に一日中浸っていられたらどんなに幸せだろう。





このブックレットはそのSP初出時に附録されていた稀少品。恐らくはSP盤そのものが破損、または散逸してしまって、この印刷物だけが残されたのだろう。写真上が表紙で下が中扉である。

(スマホ撮影の写真のため、PCで観るにはサイズが大き過ぎますが、労力節約のためそのままで失礼します)


幻のレコード

2015-12-22 03:30:38 | レコード、オーディオ

長年探していた。否、探すことすら諦めていた幻のレコードに出会ってしまった。

すぐに購入できる代物ではないため、出品者と交渉し、暫く取り置きして頂くこととなった。

そんなこんなで真夜中の3時を過ぎても眠れないでいる。

それが何かは実物が届いたら報告しよう。

価値の分かる者には特別なお宝だけれど、大半の方には「それがどうした?」という反応だろうな・・・。