福島章恭 合唱指揮とレコード蒐集に生きるⅢ

合唱指揮者、音楽評論家である福島章恭が、レコード、CD、オーディオ、合唱指揮活動から世間話まで、気ままに綴ります。

ブルックナー7後の音楽談義

2016-11-04 22:33:35 | コンサート


今宵はオペラシティ・タケミツホールにて、ブロムシュテット&バンベルク響のブルックナー7。

前プロは、モーツァルト34番。
ベートーヴェンで聴かせたノン・ヴィブラート奏法がより徹底された、幸せと微笑みに満ちたモーツァルト。まさに楽興の時!

ブルックナーは、ブロムシュテットらしく、まったく毒気の全くない清廉な演奏。どこをとっても美しく、今宵ばかりは批評をする気持ちにもならない。

終演後は、金子建志先生や友との語らいのとき。名演奏を聴いたあとだと否が応でも盛り上がる。
「ブロムシュテットのブルックナーは、アンチ・ワーグナー」とのお言葉こそ、金子先生ならではの鋭いご指摘。「普段マイスタージンガーとかを振ってる人だと、ああいう音はつくれない」。うーん、なるほど。その通りだ。

ボクはといえば、ブロムシュテットのブルックナーに畏るべき父なる神の不在を感じたことが、唯一の不満だったか。どこまでも優しすぎる、愛に満ち溢れ過ぎていると言えば、罰が当たるな。
近年、生で聴いたブルックナーの中では、抜きん出て素晴らしい演奏であったことに変わりはないのだから。

89歳の巨匠には、1日でも長く、お元気で、そして、指揮台に立ちつづけて頂きたい。そういう祈りを残して初台を後にした。

ブラームス「運命の歌」合唱稽古終了

2016-11-04 00:23:51 | コーラス、オーケストラ


11月3日の4時間をもって、大阪フィル合唱団のブラームス「運命の歌」合唱稽古は終了した。演奏時間15分前後の比較的小さな作品であるが、ブラームスの手になるだけに内容は豊かで充実しており、また、技術的にも精神的にもハードルは高く、長丁場を持て余すことはない。



前回も述べたが、大阪フィル合唱団の力は確実に向上している。向上すればしたで、新たな課題が生まれるのが芸事の常であり、今回も様々な課題に直面しながらのレッスンではあったが、500回定期のバカロフ「ミサ・タンゴ」の頃とは、ひと味違ったハーモニーをお聴かせすることは確実にお約束できる。
 


初対面となるシモーネ・ヤングさんが、大阪フィル合唱団をどんな高みに導いてくださるのか? また、生半可な発声では通用しないフェスティバルホールに合唱団の声がどこまで響くようになったのか(とくに、ピアニシモのアカペラで)? 戦々恐々としつつも、期待に胸が高まっているところである。