
あれほど楽しみにしていたティーレマン&シュターツカペレ・ドレスデンによる「ラインの黄金」であるが、本日は惨敗。
否、演奏は素晴らしかったはずなのだが、如何せん座席が悪かった。普段、サントリーホールでは2階サイドのRB、LB席を取ることにしているのに、今回は「ティーレマンの息吹を間近に聴こう」と色気を出して1階前方の下手(向かって左)寄りを取ってしまったのが運の尽き。
まず、第一に歌手たちの歌い演じるステージがステージ後方のP席の高さにあるため、座席からの高低差が半端ない。字幕がさらに上に吊されていて見難いばかりか、オーケストラの音と歌声が別々に聴こえてしまって音楽に集中できないのである。
つまり、この状況をオペラハウスに置き換えると、歌手たちより低いオーケストラのステージがピットに相当し、わたしの席はピットの底よりさらに低い位置となる。これでは楽しめる筈もない。
第二に第1ヴァイオリンというよりは、コントラバスの前に位置していたため、冒頭の変ホ音の持続こそゾクゾクときて良かったものの、対向配置の第2ヴァイオリンが殆ど聴こえなかったり、ステージ後方の管楽器の音も浮き出てこないのも致命的であった。
そういう悪条件からでも、随所にティーレマンとシュターツカペレ・ドレスデンの底力を伺い知ることはできたが、心底からの感動には至らなかったのである。
歌手たちについての感想もいろいろあるが、いまは述べないでおこう。
いざというときに、色気を出すべからず。平常心でゆくべし。
全く高い授業料となったものだ。