封切りされたばかりの映画にケチをつけるのもなんなので、写真もなしに地味に小さく書くが、エミリ・ディキンスンを描いた「静かなる情熱」(岩波ホールにて上映中)は期待はずれであった。
何がいけないといって、ディキンスンの内面が全く描かれていないのである。伝記の表層的な出来事をなぞるばかりで、ディキンスンの詩作の秘密には何ひとつ触れられていないし、その魅力も伝わってこない。
何より、晩年の彼女がなぜ自宅に引き籠もり、あんなにも偏屈になってしまったかについて語られないため、これだけを観たらディキンスン本人を嫌いになってしまうに違いない。
辛うじて、そうならなかったのは、ディキンスンの詩そのものが素晴らしいことを知っていたからである。
その点、木下牧子作曲の「自然と愛と孤独と」は、本当に素晴らしい。ディキンスンの孤独と内面に広がる宇宙、自然への愛、過ぎゆく時間への哀惜など、僅か15分ほどの慎ましやかな女声合唱曲集でありながら、130分もの映画よりどれほど沢山の詩人の真実を教えてくれることだろう。
というわけで、「静かなる情熱」は必見、との発言は取り消さざるを得ない。ディキンスンを愛する人、或いは興味を抱いている人は、是非ともスウィング ロビンによる「自然と愛と孤独と」に会いにきて欲しい。
何がいけないといって、ディキンスンの内面が全く描かれていないのである。伝記の表層的な出来事をなぞるばかりで、ディキンスンの詩作の秘密には何ひとつ触れられていないし、その魅力も伝わってこない。
何より、晩年の彼女がなぜ自宅に引き籠もり、あんなにも偏屈になってしまったかについて語られないため、これだけを観たらディキンスン本人を嫌いになってしまうに違いない。
辛うじて、そうならなかったのは、ディキンスンの詩そのものが素晴らしいことを知っていたからである。
その点、木下牧子作曲の「自然と愛と孤独と」は、本当に素晴らしい。ディキンスンの孤独と内面に広がる宇宙、自然への愛、過ぎゆく時間への哀惜など、僅か15分ほどの慎ましやかな女声合唱曲集でありながら、130分もの映画よりどれほど沢山の詩人の真実を教えてくれることだろう。
というわけで、「静かなる情熱」は必見、との発言は取り消さざるを得ない。ディキンスンを愛する人、或いは興味を抱いている人は、是非ともスウィング ロビンによる「自然と愛と孤独と」に会いにきて欲しい。