福島章恭 合唱指揮とレコード蒐集に生きるⅢ

合唱指揮者、音楽評論家である福島章恭が、レコード、CD、オーディオ、合唱指揮活動から世間話まで、気ままに綴ります。

畏れにも似た至福 シュテファン大聖堂のモツレク

2017-12-05 17:43:12 | コンサート


早くも終演から17時間が経つ。
「夢のような」とは、よく聞く話しだが、気が付くと一瞬のように演奏は終わっていた。指揮をしながら「これが現実だろうか?」という不思議な感覚に襲われたりもした。



シュテファン大聖堂でモーツァルトの命日に毎年開催される「モーツァルト追悼記念演奏会」は、大作曲家の霊を慰めるため、終演後に一切の拍手はない。静まり返った堂内に、モーツァルトの葬儀のときと同じ鈴の音が鳴り響き、葬列に参列するかのように、指揮者、ソリスト、オーケストラ、そしてコーラスは退場する。

しかし、その凛と張り詰めた空気の荘厳さから、わたしたちの演奏はウィーンの人々に受け入れられたことを実感した。すべての聴衆はコーラスの最後のひとりが退場するまで、身じろぎもせず着席したままであった。



終演後、4人のソリストからは口々に、このコンサートに参加できた歓びと演奏への讃辞を頂き、オーケストラ奏者たちからも拍手を頂いた。

ソリスト席に立つのは、チューリヒ歌劇場専属のソプラノ:トラットニックさん、フォルクスオパー専属のアルト:ミケリッチさん、ハプスブルク家の葬儀で独唱者に抜擢されたテノールのハインリヒさん、ウィーン宮廷歌手バンクルさんという、まさにヨーロッパの第一線に立たれる4者。彼らの射抜くような視線を受け止めつつ、それに応えながら、或いは道を示しながら指揮するという歓びは、官能的とも呼べるもので魂が震えたものである。



さらに光栄なことに、シモーネ・ヤング先生の祝福も受けることができた。シモーネ・ヤング先生は、「ダフネ」の指揮を終えた直後にシュテファン大聖堂に駆け付けてくださったのだ。「ファンタスティック。 素晴らしい演奏に魅了されました。おめでとう!」
とのお言葉、録音しておきたかったなぁ。








シュテファン大聖堂でのモーツァルト「レクイエム」終わる

2017-12-05 08:20:01 | コンサート
モーツァルト追悼記念「レクイエム」公演は大きな成功のうちに終わりました。

霊的で厳粛な時間は、あっという間でありました。

例によって清水さまのリポートを転載し、第一報とさせて頂きます。



「この鈴は、モーツァルトの葬儀の際、当時、実際に使用されたものです。
 
只今の時刻は、夜中3時を過ぎました。
    
2017年12月5日夜中零時から行われた福島 章恭先生指揮モーツァルト「レクイエム」は、大成功に終わりました。
 
日本からお越し頂いた合唱団の皆様に、崇高なレクイエムを演奏して頂き、多くの聴衆にご満足頂けたと思います。
  
福島 章恭先生は、世界各国からお越し頂いたモーツァルトファンの求めるレクイエムを心得ていて、細かい部分までこだわりぬいた、聴衆に受けるレクイエムだったと思います。  
   
大阪、名古屋、長岡、厚木、東京、仙台各支部の合唱指導をしてくださった先生方、合唱団の皆様が本番で素晴らしいパフォーマンスが発揮できたのは、先生方の細やかなご指導のお陰だったと思います。
厚く御礼申し上げます。
 
今晩の演奏会収益金と演奏へ対する献金の総額は、仕来りで公表は出来ませんが、予想をはるかに上回る収益金となりました。
シュテファン大聖堂修復費用へ全額寄付させて頂きました。
誠に有難うございました。     
   
明日6日には、カプチーナ教会にて
演奏会形式での歴史初、邦人合唱団による歴史初となるレクイエムを行います。
引き続き、本番でどうぞよろしくお願いいたします。 
 
もうあと数時間後には
日本へご帰国となる方もいらっしゃいます。
長旅どうぞお気を付けて。
素敵なクリスマスと良いお正月をお迎えください。 
 
ハイドンツアーとザルツブルグツアーへ行かれる皆様、
引き続きご滞在をお楽しみください。      
  
本日は素晴らしい演奏を誠に有難うございました。  
  
シュテファン大聖堂音楽事務所
Kunst und Kultur ohne Grenzen
清水一弘拝」