福島章恭 合唱指揮とレコード蒐集に生きるⅢ

合唱指揮者、音楽評論家である福島章恭が、レコード、CD、オーディオ、合唱指揮活動から世間話まで、気ままに綴ります。

まるで一篇の声付き交響詩 ~ シモーネ・ヤング「ダフネ」

2017-12-07 23:20:12 | コンサート


カプツィーナ教会でのモーツァルト「レクイエム」公演から一夜明けた今日は、お昼前に帰国するコーラスの皆さんをお見送りした後(朝8時出発の名古屋組には起床が間に合わず失礼してしまった)は、Do not disturbの札をドアノブに掛けたまま、ひたすら部屋での休養に務めた。

フェルメールやブリューゲル作品に会いたい気持ちもあったけれど、美術史美術館まで赴く気力が沸かない。コーラスの皆さんで賑やかだったホテルが俄かに静かになり、大仕事を終えた充足感とともに反省すべきこともクローズアップされるなど、大きな虚脱感にも襲われたのである。

夕刻には、本日唯一の予定であるシュターツオパーでのシュトラウス「ダフネ」を鑑賞。シモーネ・ヤング先生のウィーンに於ける今シーズン最後のパフォーマンスである。

シモーネ先生の音楽には、芯に燃え立つエネルギーがあり、その力感が往年の巨匠たちの音を思わせるのは、日本で感じたことに変わりない。ただそこに、ウィーンの香りが加わるのだから堪えられない。
歌手たちも粒揃いであったが、シュトラウスのオーケストレーションの魅惑が波となって押し寄せ、一編の声付き交響詩を聴くような感動があった。

終演後は楽屋口にてシモーネ先生にご挨拶。
こちらからは、演奏の美しさに魅了されたこと、シモーネ先生の音楽を愛していることを伝え、先生からはシュテファン大聖堂公演への合唱団と私への改めての祝福を頂いた。

大阪フィルへの再びの客演を待望しているところ。


カプツィーナ教会モツレク公演リポート

2017-12-07 11:30:27 | コーラス、オーケストラ


昨夜のカプツィーナ教会でのモーツァルト「レクイエム」公演は、シュテファン大聖堂公演とはまったく質の異なる静謐にして暖かな演奏となりました。

以下、例によって、シュテファン大聖堂音楽事務所、清水一弘さんの記事を転載することで第一報とします。

『只今の時刻は、間もなく早朝5時となります。
   
昨夜18:30からカプチーナ教会で行われた演奏会としては歴史初となったモーツァルト「レクイエム」は、大成功に終わりました。   
 
私は、オルガンバルコニーで拝聴しましたが、崇高で温かみのある素晴らしいレクイエムでしたので、いまだに興奮が覚めず、余韻に浸って起きています。 
 
最後の音が静寂の中へ消えていき、
長い間、温かい拍手が続きました。  
 
合唱団の皆様、スターソリスト陣、
オルガンの小沢さち先生、
福島 章恭先生の指揮、
すべてが神々しい演奏でした。  
 
演奏された方達は、神聖な空間で
言葉には表すことができない体験をされたと思います。  
 
これからも素晴らしい演奏活動を続けていってください。 
 
今回の演奏会収益金全額を、
パイプオルガン設置費用に寄付させて頂きました。   
 
あと数時間後には、日本へご帰国となります。
長旅、どうぞお気を付けて!  
 
この度は、ご一緒させて頂きまして、
誠に有難うございました。

清水一弘』



以下は、同日11:00~13:00に行われたゲネプロ後に投稿してくださった記事です。

『カプチーナ教会で、
先程ゲネラルプローべが終わりました。 
 
早朝にもかかわらず、
ソリストの皆様にかなりお声を出して頂けて大変光栄でした。
 
バスバリトンの平野和先生は、フォルクスオーパー専属ソリストとして10年間務めていらっしゃり、存在感、音楽性、実力ともに素晴らしいの一言でした。
初めのフレーズを拝聴した際、鳥肌が立ちました。20代の学生時代のお声をまじかで拝聴していたので、とても感慨深いものがありました。
   
先日テノールソロを歌って頂いたハインリッヒ先生はプローベには、お越しになりませんでしたので、今回大阪支部の合唱指導してくださった、
眞木喜規先生に歌って頂きました。
素晴らしい音楽性をお持ちで、感心いたしました。
何から何までお気遣いを頂きまして
誠に有難うございました。 
 
合唱団の音楽のクオリティーは、かなり高いものがあります。
2回目の本番ということもあり、
先日シュテファン大聖堂で歌われた時よりも、
ある領域を超えたように感じました。 
 
小沢さち先生のオルガン伴奏は、
何か見えない存在が宿っているような、言葉では表現できない崇高で神々しい演奏です。
オルガンがとても喜んでいるように思えました。
 
福島章恭先生は、レクイエムの全てを心得ていらっしゃるので
今晩お越し頂く聴衆に、ご満足いただけると思います。
聴く人が聴けば、彼の音楽は細部までよく分かります。 

合唱団と御座席の真下には、
ハプスブルグ家の12人の皇帝、
18人の皇后、138体の亡骸が納められた棺が安置されています。 
 
合唱団の皆様の素晴らしい演奏に、
ハプスブルグ家の魂が喜ばれると思います。     
 
本日18:30より開演です。
カプチーナ教会歴史初となる演奏会形式での
モーツァルト「レクイエム」
邦人合唱団による、歴史初の演奏会となります。  
 
今晩の演奏会収益金全額を、この夏設置された
パイプオルガン購入費用へ寄付させて頂きます。 
  
お時間がある方は、是非お越し下さい。
 
音楽のクオリティーは、保証いたします。 
 
誠にありがとうございます。』