福島章恭 合唱指揮とレコード蒐集に生きるⅢ

合唱指揮者、音楽評論家である福島章恭が、レコード、CD、オーディオ、合唱指揮活動から世間話まで、気ままに綴ります。

サンドラ・トラットニックさん、平野和さんから頂戴した讃辞

2017-12-08 00:40:14 | コンサート


このグラーシュは、カプツィーナ教会公演後、ソプラノのサンドラ・トラットニックさん、アルトのマルティーナ・シュテッフルさんご夫妻、シュテファン大聖堂音楽事務所コンラートご夫妻、エムセック岩本絵美さんらとご一緒したお食事会で注文したものである。

お味は見ての通り。いやあ旨かった。

カプツィーナ教会公演は、基本的なアプローチは同じながら、シュテファン大聖堂公演とは全く別のテイストの演奏となった。聖堂の規模がぐっと小さいこと。オーケストラではなくオルガンとの共演であること。カプツィーナ教会独特の静謐な空気感に包まれたことなどによって、よりゆったりとした呼吸を心掛けたのである。

70余名のコーラスは、カプツィーナ教会に相応しい、静かに熱い歌唱を繰り広げてくれた。殊にアグヌス・デイの終結近くでは、レッスンでは試したことのないほどのピアニシモへの要求に見事に応えてくれたことに感謝したい。

オルガンを弾くのは長年の音楽的パートナーである小沢さちさんで、作品への理解の深さ、抜群のテクニックと呼吸の良さには今回も脱帽するのみ。

ソリスト陣は、声の高い方から、サンドラ・トラットニックさん、マルティーナ・シュテッフルさん、ゲルノート・ハインリヒさん、平野和(やすし)さん。シュテファン公演からアルトとバスが入れ替わったが、そのアンサンブルの緻密さと高揚感には指揮をしながら、感動に胸が震え通しであった。

カプツィーナ教会始まって以来のモーツァルト「レクイエム」演奏会。さらにはじめての日本人指揮者&合唱団出演とのことで、開演前の聴衆の視線には懐疑的であったり、厳しいものも混ざっていたことも事実だろう。しかし、作品と演奏が全ての疑念を晴らし、終演してみると満場の拍手喝采が鳴り止むことがなかった。

さて、食事会の席上、トラットニックさんからは、我々のレクイエムにこのような讃辞を頂いた。

「この作品は本当に何回も歌う機会があるのだけれど、どれも似た演奏となることが多い。しかし、マエストロの音楽には美しいイデーがあり、深い情感があり、心から感動しました。これはシュテファン大聖堂で歌った4人すべての感想です。また、合唱のクオリティの高さにも感動しました。」

ウィーンやチューリヒの第一線で活躍する歌手の皆さんに、このように高く評価されたことは、音楽家として何より嬉しい。自分の歩んできた道に間違いはなかった。また、コーラスへの評価も、音程、発声、人数バランスなどを超えたところで「音楽的だった」と評価されたことも有り難いことである。



さらに、カプツィーナ教会で共演したバス・バリトンの平野和さんからは、次のようなメッセージを頂戴した。

「5年ぶりの再会、そしてカプツィーナ教会での共演、夢のような1日でした。マエストロの音楽は、全体的にゆったりとしたテンポですが、音楽が弛むことなく常に前に流れているので、その流れにうまく乗せていただき、気持ち良く演奏させていただきました。モーツァルトのレクイエムを、これほど丁寧にそれぞれのフレーズ、音を意識して歌ったのは初めてです。本当に素敵な体験でした。また何処かで、ご一緒させて頂けましたら幸いです。」

ゆっくりのテンポでありながら、音楽が弛むことなく常に前に流れている、という技はブルックナー演奏を通して身に付けたことだが、それをたった一回のリハーサルと本番のみでキャッチし、流れに乗って歌って頂けたことは大きな歓びであった。

平野和さんの歌唱は、さすがフォルクスオパー専属というだけあって、日本人離れした重心の低さ、声の伸びと広がり、そして歌心を持ったもの。さらに宗教作品に相応しい祈りの深さが備わり、合唱団員一堂、忽ち魅了された。また共演できる日の訪れるよう、精進を重ねたい。



多くの合唱団員から「福島先生、ウィーンに連れてきてくださって有り難うございました」とお礼を言われたが、全体から見ればわたしの役割などごく一部であった。第一、合唱団員が集まらなければ、日々のレッスンもできず、ツアーは履行できなかったわけで、お礼を述べるのはわたしの方であろう。

もっとも大きな立役者は、史上初となったコンサートを企画し、運営し、ソリストの招致はもちろん、営業活動からポジティフオルガンの手配、運搬までの一切を担ってくださった、シュテファン大聖堂音楽事務所の清水一弘様。改めて敬意を表するとともに、感謝の意を伝えたい(用意されたポジティフオルガンも素晴らしい楽器であった)。

また、いくらわたしが合唱団を仕上げても、エムセックインターナショナルの後ろ盾やお力なしに、シュテファン大聖堂にも、カプツィーナ教会にも立つことはできなかった。ツアー中のサポート体制も万全で、一生の記憶となる美しいツアーとなったこと、感謝申し上げたい。





まるで一篇の声付き交響詩 ~ シモーネ・ヤング「ダフネ」

2017-12-07 23:20:12 | コンサート


カプツィーナ教会でのモーツァルト「レクイエム」公演から一夜明けた今日は、お昼前に帰国するコーラスの皆さんをお見送りした後(朝8時出発の名古屋組には起床が間に合わず失礼してしまった)は、Do not disturbの札をドアノブに掛けたまま、ひたすら部屋での休養に務めた。

フェルメールやブリューゲル作品に会いたい気持ちもあったけれど、美術史美術館まで赴く気力が沸かない。コーラスの皆さんで賑やかだったホテルが俄かに静かになり、大仕事を終えた充足感とともに反省すべきこともクローズアップされるなど、大きな虚脱感にも襲われたのである。

夕刻には、本日唯一の予定であるシュターツオパーでのシュトラウス「ダフネ」を鑑賞。シモーネ・ヤング先生のウィーンに於ける今シーズン最後のパフォーマンスである。

シモーネ先生の音楽には、芯に燃え立つエネルギーがあり、その力感が往年の巨匠たちの音を思わせるのは、日本で感じたことに変わりない。ただそこに、ウィーンの香りが加わるのだから堪えられない。
歌手たちも粒揃いであったが、シュトラウスのオーケストレーションの魅惑が波となって押し寄せ、一編の声付き交響詩を聴くような感動があった。

終演後は楽屋口にてシモーネ先生にご挨拶。
こちらからは、演奏の美しさに魅了されたこと、シモーネ先生の音楽を愛していることを伝え、先生からはシュテファン大聖堂公演への合唱団と私への改めての祝福を頂いた。

大阪フィルへの再びの客演を待望しているところ。


カプツィーナ教会モツレク公演リポート

2017-12-07 11:30:27 | コーラス、オーケストラ


昨夜のカプツィーナ教会でのモーツァルト「レクイエム」公演は、シュテファン大聖堂公演とはまったく質の異なる静謐にして暖かな演奏となりました。

以下、例によって、シュテファン大聖堂音楽事務所、清水一弘さんの記事を転載することで第一報とします。

『只今の時刻は、間もなく早朝5時となります。
   
昨夜18:30からカプチーナ教会で行われた演奏会としては歴史初となったモーツァルト「レクイエム」は、大成功に終わりました。   
 
私は、オルガンバルコニーで拝聴しましたが、崇高で温かみのある素晴らしいレクイエムでしたので、いまだに興奮が覚めず、余韻に浸って起きています。 
 
最後の音が静寂の中へ消えていき、
長い間、温かい拍手が続きました。  
 
合唱団の皆様、スターソリスト陣、
オルガンの小沢さち先生、
福島 章恭先生の指揮、
すべてが神々しい演奏でした。  
 
演奏された方達は、神聖な空間で
言葉には表すことができない体験をされたと思います。  
 
これからも素晴らしい演奏活動を続けていってください。 
 
今回の演奏会収益金全額を、
パイプオルガン設置費用に寄付させて頂きました。   
 
あと数時間後には、日本へご帰国となります。
長旅、どうぞお気を付けて!  
 
この度は、ご一緒させて頂きまして、
誠に有難うございました。

清水一弘』



以下は、同日11:00~13:00に行われたゲネプロ後に投稿してくださった記事です。

『カプチーナ教会で、
先程ゲネラルプローべが終わりました。 
 
早朝にもかかわらず、
ソリストの皆様にかなりお声を出して頂けて大変光栄でした。
 
バスバリトンの平野和先生は、フォルクスオーパー専属ソリストとして10年間務めていらっしゃり、存在感、音楽性、実力ともに素晴らしいの一言でした。
初めのフレーズを拝聴した際、鳥肌が立ちました。20代の学生時代のお声をまじかで拝聴していたので、とても感慨深いものがありました。
   
先日テノールソロを歌って頂いたハインリッヒ先生はプローベには、お越しになりませんでしたので、今回大阪支部の合唱指導してくださった、
眞木喜規先生に歌って頂きました。
素晴らしい音楽性をお持ちで、感心いたしました。
何から何までお気遣いを頂きまして
誠に有難うございました。 
 
合唱団の音楽のクオリティーは、かなり高いものがあります。
2回目の本番ということもあり、
先日シュテファン大聖堂で歌われた時よりも、
ある領域を超えたように感じました。 
 
小沢さち先生のオルガン伴奏は、
何か見えない存在が宿っているような、言葉では表現できない崇高で神々しい演奏です。
オルガンがとても喜んでいるように思えました。
 
福島章恭先生は、レクイエムの全てを心得ていらっしゃるので
今晩お越し頂く聴衆に、ご満足いただけると思います。
聴く人が聴けば、彼の音楽は細部までよく分かります。 

合唱団と御座席の真下には、
ハプスブルグ家の12人の皇帝、
18人の皇后、138体の亡骸が納められた棺が安置されています。 
 
合唱団の皆様の素晴らしい演奏に、
ハプスブルグ家の魂が喜ばれると思います。     
 
本日18:30より開演です。
カプチーナ教会歴史初となる演奏会形式での
モーツァルト「レクイエム」
邦人合唱団による、歴史初の演奏会となります。  
 
今晩の演奏会収益金全額を、この夏設置された
パイプオルガン購入費用へ寄付させて頂きます。 
  
お時間がある方は、是非お越し下さい。
 
音楽のクオリティーは、保証いたします。 
 
誠にありがとうございます。』
 

ヘンゲルブロック&バルタザール=ノイマンの「聖母マリアの夕べの祈り」を聴く

2017-12-06 00:20:11 | コンサート


シュテファン大聖堂モツレクを指揮した同じ日付の19時半より、ヘンゲルブロック指揮バルタザール=ノイマン・アンサンブル&合唱団によるモンテヴェルディ「聖母マリアの夕べの祈り」を聴く。

会場はコンツェルトハウス大ホール。

バルタザール=ノイマンは、ヘンゲルブロックがヨーロッパの精鋭を集めて結成した合唱団(1991)とアンサンブル(1995)は、音楽性と技術に於いてそれぞれ世界最高水準をゆくものと言えるだろう。

声楽家ひとりひとりに確固とした個性がありながら、それは決してクセではない。強い、軽い、甘い、切ないなど、様々な声の美しさが渾然一体となりつつ、ひとつの昇華されたハーモニーが生みだされる。

大バッハの1世紀も昔にこれほど多彩で、深遠で、広がりのある音楽を作り上げたモンテヴェルディも偉大だが、その魅力を幅広いダイナミクス、立体感、遠近法で描ききったヘンゲルブロックとバルタザール=ノイマンはまことに見事。



スポーツでいえば、オリンピック・レベルのアンサンブルの繰り広げられるのを目の前にしながら、「そう、これを目指しているのだ」という想いと「いまのままでは永遠に辿り着かない」との嘆きが微妙に綯い交ぜとなった。



ところで、昨年3月、そのヨーロッパ放浪中に、たまたま我々のトーマス教会での「マタイ受難曲」を聴いたという京都の山下竜ノ介君が、この度シュテファン大聖堂のモツレクを聴きに駆け付けてくれた。そして今宵はコンツェルトハウスでご一緒したのだが、終演後、ホテルに戻るとこんなメッセージが届いていた。

『先ほどはお伝え逃したことを、やはり伝えるべきだと思ってメッセージいたします。
詳しくは、お会いした時に話せれば、と思っているので、極めて簡潔な表現になってしまいますが、「先生のシュテファン公演の美しかったのは、今日のモンテヴェルディに全くひけをとらないどころか、音楽のある種の啓示的な要素において、より崇高な真理を享受できた」と少なくとも僕はそう思います。

この手の賞賛は若干気恥ずかしいのと、笑、十分に注意を払わずして賞賛してしまうと、逆に聴き手の傲慢に繋がりかねないので、お伝えするか、凄く迷ったのですが、やはりカプツィーナ公演の前にお伝えした方が良い気がしてメッセージすることにしました。
深夜にどうもすみません。』

様々な経験や実力の集いであるモーツァルティアン・コーラス・ジャパンとオリンピック・レベルのバルタザール=ノイマン合唱団を同じ土俵で語ることは不可能である。

それを重々承知の上で、山下君の言葉を素直に喜びたい。我々のモツレクに大きな美点を見出してくれたことに感謝しつつ。





畏れにも似た至福 シュテファン大聖堂のモツレク

2017-12-05 17:43:12 | コンサート


早くも終演から17時間が経つ。
「夢のような」とは、よく聞く話しだが、気が付くと一瞬のように演奏は終わっていた。指揮をしながら「これが現実だろうか?」という不思議な感覚に襲われたりもした。



シュテファン大聖堂でモーツァルトの命日に毎年開催される「モーツァルト追悼記念演奏会」は、大作曲家の霊を慰めるため、終演後に一切の拍手はない。静まり返った堂内に、モーツァルトの葬儀のときと同じ鈴の音が鳴り響き、葬列に参列するかのように、指揮者、ソリスト、オーケストラ、そしてコーラスは退場する。

しかし、その凛と張り詰めた空気の荘厳さから、わたしたちの演奏はウィーンの人々に受け入れられたことを実感した。すべての聴衆はコーラスの最後のひとりが退場するまで、身じろぎもせず着席したままであった。



終演後、4人のソリストからは口々に、このコンサートに参加できた歓びと演奏への讃辞を頂き、オーケストラ奏者たちからも拍手を頂いた。

ソリスト席に立つのは、チューリヒ歌劇場専属のソプラノ:トラットニックさん、フォルクスオパー専属のアルト:ミケリッチさん、ハプスブルク家の葬儀で独唱者に抜擢されたテノールのハインリヒさん、ウィーン宮廷歌手バンクルさんという、まさにヨーロッパの第一線に立たれる4者。彼らの射抜くような視線を受け止めつつ、それに応えながら、或いは道を示しながら指揮するという歓びは、官能的とも呼べるもので魂が震えたものである。



さらに光栄なことに、シモーネ・ヤング先生の祝福も受けることができた。シモーネ・ヤング先生は、「ダフネ」の指揮を終えた直後にシュテファン大聖堂に駆け付けてくださったのだ。「ファンタスティック。 素晴らしい演奏に魅了されました。おめでとう!」
とのお言葉、録音しておきたかったなぁ。








シュテファン大聖堂でのモーツァルト「レクイエム」終わる

2017-12-05 08:20:01 | コンサート
モーツァルト追悼記念「レクイエム」公演は大きな成功のうちに終わりました。

霊的で厳粛な時間は、あっという間でありました。

例によって清水さまのリポートを転載し、第一報とさせて頂きます。



「この鈴は、モーツァルトの葬儀の際、当時、実際に使用されたものです。
 
只今の時刻は、夜中3時を過ぎました。
    
2017年12月5日夜中零時から行われた福島 章恭先生指揮モーツァルト「レクイエム」は、大成功に終わりました。
 
日本からお越し頂いた合唱団の皆様に、崇高なレクイエムを演奏して頂き、多くの聴衆にご満足頂けたと思います。
  
福島 章恭先生は、世界各国からお越し頂いたモーツァルトファンの求めるレクイエムを心得ていて、細かい部分までこだわりぬいた、聴衆に受けるレクイエムだったと思います。  
   
大阪、名古屋、長岡、厚木、東京、仙台各支部の合唱指導をしてくださった先生方、合唱団の皆様が本番で素晴らしいパフォーマンスが発揮できたのは、先生方の細やかなご指導のお陰だったと思います。
厚く御礼申し上げます。
 
今晩の演奏会収益金と演奏へ対する献金の総額は、仕来りで公表は出来ませんが、予想をはるかに上回る収益金となりました。
シュテファン大聖堂修復費用へ全額寄付させて頂きました。
誠に有難うございました。     
   
明日6日には、カプチーナ教会にて
演奏会形式での歴史初、邦人合唱団による歴史初となるレクイエムを行います。
引き続き、本番でどうぞよろしくお願いいたします。 
 
もうあと数時間後には
日本へご帰国となる方もいらっしゃいます。
長旅どうぞお気を付けて。
素敵なクリスマスと良いお正月をお迎えください。 
 
ハイドンツアーとザルツブルグツアーへ行かれる皆様、
引き続きご滞在をお楽しみください。      
  
本日は素晴らしい演奏を誠に有難うございました。  
  
シュテファン大聖堂音楽事務所
Kunst und Kultur ohne Grenzen
清水一弘拝」


モツレク 公開プローベ・リポート

2017-12-04 14:08:36 | コンサート
午前のモツレク公開プローベは、シュテファン大聖堂の厳かな空気の中、きわめて美しい演奏となりました。ソリスト陣、オーケストラともに誠に献身的で、これほど有り難いことはありません。

聖堂内は観光客の方で黒山の人集りとなり、さながら本番のようなプローベでした。多くの見物者が今宵のコンサート・チケットをお求めになられたことでしょう。

プローベ後には、ソリスト陣、オーケストラの皆さんから、多くの讃辞を頂戴し、ホッとしております。
深夜、モーツァルトの魂に捧げる本番では、さらに崇高な演奏となることでしょう。

写真の下に、公開プローベに立ち会われたシュテファン大聖堂音楽事務所プロデューサー清水さまのリポートを転載します。



「シュテファン大聖堂内で行われた公開リハーサルには、約5000人の聴衆にお越し頂き、大成功に終わりました。始めから最後まで90分間お聴きになった聴衆も沢山いらっしゃいました。
 
演奏のクオリティーが、非常に高いです。
  
アルトのミケリッチ先生は、本日フォルクスオーパーのプローベが入ってしまい、お越しになれませんでした。
今晩、ぶっつけ本番で歌って頂きます。
   
テノールのハインリッヒ先生の搭乗予定でいた、イタリアからの飛行機がキャンセルとなり、昨夜、弊社で寝台列車の切符を手配して、公開プローべ1時間前にウィーンへご到着し、ウィーン中央駅からそのままシュテファン大聖堂へお越しになって歌って頂きました。
ハインリッヒ先生も昨日までイタリアで本番でした。
寝台列車でよく眠れなかっただろうに、本日の公開リハーサルでは、バッチリと歌っていたので、あらためて、実力の世界で生きているプロの職人技に感動しました。  
 
ソプラノのトラトニック先生、
バンケル宮廷歌手は圧巻の歌で鳥肌が立ちました。  
 
福島先生は、9年前よりも遥かに進化しており、オーケストラリハーサルは、たったの30分間でしたが、引き続き行われた合同練習では、見事にまとめ上げました。
凄まじい、集中力で強いフォースを感じました。
指揮に安定感があるため、私は、安心しています。 
 
ソリストとオーケストラの方達から、
福島先生の音楽作りと合唱団のクオリティーの高さに対して、お褒めの言葉を沢山頂きました。
 
今日は、朝から吹雪となり、
飛行機のキャンセルが何便も出ており、今晩の演奏会へお越しになる私の知り合いは、飛行機を諦め、ウィーンまで陸路でお越しになっています。
 
あと10時間後、
夜中の零時からレクイエムが開演となります。
 

この演奏会に3年4か月の歳月を費やしたので、とうとう、本番の時を迎え感慨深いものがあります。
 
 
音は、儚くも静寂の中へ一瞬で消えてしまい、刹那を感じます。
   
モーツァルトの魂へ演奏を捧げてください。
  
アマデウスは、永遠に不滅です。

清水一弘」


 

シュテファン大聖堂モツレク 夜が明けたら公開プローベ

2017-12-03 22:49:24 | コンサート


本日はウィーンに於ける合唱稽古の2日目。初日よりは力を抜いて、発声の崩れやすいところ、フレーズ感の確認などを中心に行いました。

あとは、12月4日(月)の午前10時よりソリスト陣、オーケストラとともに公開プローベ、12月5日(火)午前零時より本番となります。

ここまできたら持てる力を十分に発揮して、モーツァルトの魂に演奏を捧げるのみ。きっと上手くゆくでしょう。



レッスン後、コーラスの皆さんはホイリゲへ、わたしはシュターツオパーへ。アルバン・ベルク「ルル」のプルミエ公演を観るために駆けつけました。



ベルクの精緻なオーケストレーションをウィーン国立歌劇場のオーケストラで聴く至福に酔い、歌手たちのアクロバット的超絶技巧に打ちのめされました。言葉を失うほどの感動とはこのことです。



舞台でも一際大きな存在感を見せていた猛獣使いおよび力技師役は、ヴォルフガング・バンクル先生。といえば、わたしたちのモツレクでソロを歌ってくださる宮廷歌手。こんな凄い方と共演できるということに、改めて身震いしたところです。


福島体操の真価、ウィーンで認められる

2017-12-03 08:11:33 | コーラス、オーケストラ
合唱稽古初日を終え、シュテファン大聖堂音楽事務所、清水一弘氏のFacebook記事をそのまま転載致します。

日本国内では、ときおり心無い(或いは無知な)人々に「こんなことして、何の意味があるの?」と揶揄されることもある福島体操の意味が、ウィーンで評価されたことを喜びたいと思います。



『本日、大阪、名古屋、長岡、厚木、東京、仙台からお越し頂いた120名様の合唱団による第一回目リハーサルをクワハウス内で拝聴いたしました。 
  
シュテファン大聖堂クワハウスは、1365年、今から652年前にウィーンで初めて大学という組織が誕生した時の校舎でした。   
   
現在は、シュテファン大聖堂聖職者達がお住まいになっており、礼拝堂があり、演奏会のリハーサル、神学部の授業、企業レセプションなどが行われる場所です。  
  
福島 章恭先生指揮の下、気合の入った2時間のリハーサルは、この演奏会企画に3年4か月の歳月を費やしてきた者として、とても感慨深いものがあり、数フレーズ拝聴して、魂のこもった演奏に涙が止めどなく流れました。
        
福島 章恭先生は9年前よりも、
すべてにおいて遥か先をいっており、
とてもうれしかったです。 
 
正直、私の気持ちとしては、日本の合唱団の皆様だけで5日零時の本番を歌って頂きたいぐらいです。
それぐらい、音楽のクオリティーと完成度が高かったです。
     
我々は、農耕民族のDNAを持っており、足の重心が通常かかとにあり、
どうしても猫背になってしまい、
骨盤が後ろへ傾く傾向にあります。
すると肩やノドの周りの筋肉に力が入り、慢性の肩こりとなる要因になります。  
  
このかかと重心で、西洋音楽を歌うと、西洋の自然な発声法でないため、
ソバ鳴りという現象が起きてしまうのです。
首の周りの筋肉に力が入るため、ニワトリの首を絞めたようなお声になります。笑 
 
西洋音楽は、西洋で生まれたものです。 
 
西洋人の場合、狩猟民族のDNAにより、つま先内側親指重心に自然となっており、骨盤が前傾となっています。
お尻が、キュッと上がっている状態です。  
  
ですので、肩こりになる方が殆どいません。体型も寸胴ではなく、逆三角形やくびれのある美しい体型となり、
つま先重心により、喉の周りの筋肉が緩むため、お声を遠くまで美しく飛ばすことが可能になります。
西洋人には、つま先重心は当たり前に出来ることです。
  
  
本日のリハーサルを拝聴して、私が一番驚いたことは、120名様全員の足の重心が常につま先親指内側にあり、姿勢が猫背の方が一人もいらっしゃらなく、お声が美しく共鳴していたことでした。
シュテファン大聖堂後方までお声がクリアに美しく飛ぶ発声法でした。 
 
まるでストラディバリの音色を聴いているようでした。
 
各都市合唱指導者のご指導が、いかに素晴らしかったかすぐに理解できました。
ご尽力を頂きまして誠に有難うございました。  
  
本日クアハウス内で、クリスマスパーティーが開かれておりましたが、オーストリアの方が、リハーサルでの素晴らしいレクイエムに感動され、リハーサル室へいきなり入ってこられ、美しい音楽をありがとうございます!と皆様の前でご挨拶し、福島 章恭先生にクリスマスプレゼントまでお渡しされました。  
 
クアハウス内の最上階に住む聖職者達へ、魂のこもったモツレクがフォースと共に届いたと思います。  
  
第一回目のリハーサルで
世界中からお越しになる超マニアックなモーツァルトファンの魂を揺さぶる
モツレクになると確信した次第です。  
  
彼らは、本番で確実にやってくれると思います。  
  
明日も引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

シュテファン大聖堂専属音楽事務所 Kunst und Kultur ohne Grenzen プロデューサー 清水一弘』

モツレク ウィーン初稽古 ~ 上々のスタート

2017-12-02 22:43:30 | コーラス、オーケストラ


12月2日(土)午後14時半から17時にかけて、ウィーンに於けるモーツァルト「レクイエム」の合唱初レッスンが行われました。

会場は、シュテファン大聖堂の向かいにあるクアハウス。シュテファンの聖職者たちが住まわれる場所にして、9年前のグランドコンサートに於けるモツレクの打ち上げを行った懐かしの場所でもあります。



東京オペラシティ公演には出られなかった方もいるため、ここではじめて、シュテファン大聖堂で歌うメンバーが全て揃ったわけですが、ウィーンの空気と会場の神聖さに助けられて、上々の初稽古となりました。

たまたま、別室でのパーティーに参加されていた男性が「素晴らしい歌声を有り難う」と休み時間にやってきて、こんな可愛いプレゼントを置いていってくれました。後から聞いた話では、「コンサートはいつ? 必ず行くよ」と言ってチケットを買ってくださったとのこと。



レッスン後は、シュテファン大聖堂の音楽を取り仕切るK und Kの清水さんと夕食。たまたま入ったイタリアンの店名が、サリエリとは、これ如何に!



ニンニクのクリームスープは、日本では食べたことのない濃厚にして奥の深い味わい。スタミナをつけたところで、明日からも頑張れそうです。デザートのティラミスも絶品!