蚕が絹を体に巻くのは、生きるためか、死ぬためか。
蚕は生きるつもりで絹糸を全身くまなく包むのであろうが、その絹を欲するものたちが、墓場から暴かれてきたマミーについた古い包帯をはがすように、絹糸を巻き上げていくのだ。
一本の絹糸でできた死装束。
私はそう思いながら、茅を束ねた後のくたびれきった断末魔のような、びにるの白いひもを拾って行った。
途切れ途切れに、引き伸ばされた言葉の語尾のような、びにるひもたち。
ビニール。
ビーニーーールー。
絹糸が死装束であるならば、びにるひもは、語尾である。
それでも、びにるを集め、吊るしていくと、蓑のようになっていく。
語尾から蓑へ。
おそらく、暑い夏をさらに熱くするであろう、びにるの蓑が出来上がっていく。
誰が着るわけでもない。
中身のない蓑を作り続ける私たち。
その横で、蚕の亡骸は、佃煮のようになり、その身を切り刻まれて、蓮池にたゆたう、鯉の餌になっていた。
蚕は生きるつもりで絹糸を全身くまなく包むのであろうが、その絹を欲するものたちが、墓場から暴かれてきたマミーについた古い包帯をはがすように、絹糸を巻き上げていくのだ。
一本の絹糸でできた死装束。
私はそう思いながら、茅を束ねた後のくたびれきった断末魔のような、びにるの白いひもを拾って行った。
途切れ途切れに、引き伸ばされた言葉の語尾のような、びにるひもたち。
ビニール。
ビーニーーールー。
絹糸が死装束であるならば、びにるひもは、語尾である。
それでも、びにるを集め、吊るしていくと、蓑のようになっていく。
語尾から蓑へ。
おそらく、暑い夏をさらに熱くするであろう、びにるの蓑が出来上がっていく。
誰が着るわけでもない。
中身のない蓑を作り続ける私たち。
その横で、蚕の亡骸は、佃煮のようになり、その身を切り刻まれて、蓮池にたゆたう、鯉の餌になっていた。