野田聖子が自分のサイトで選挙公約を発表した。全ての公約を一挙に、というわけではないし、きわめて大雑把なものでしかないので自分のように政治や経済などにまったく詳しくないものにはこんな素晴らしい政策をかかげる野田聖子はなんて素晴らしい政治家であることか、と感心しかけてしまう。
しかし、この公約は一体どのようにして実現されるのか、あるいはどの程度実現の可能性があるのか、さらには公約が実現されなかった場合どのような責任の取り方をするのかといったことについては今のところ書かれていないようである。
もうわたしはいい加減、この人にかかずらわるのはやめたいのだが、この人が何か言うたびに非常な反発を感じているので、先日来、いくども野田聖子を批判する文章を書いているかの観をていしているにもかかわらず、まだ言いたいコトの何分の一しか言えずにいる。
ここではまず野田が財政再建について述べていることに関していくつか疑問があるのでここに書いてみたい。
たとえば以下のような部分。
私たち国民は今この時点で、一人あたり800万円を超える国債、つまり借金を背負わされています。一家4人の家族であれば3200万円の借金です。そんな借金をいつの間に、と思われるでしょう。
いつのまにもなにも野田聖子が郵政大臣を務めた小渕内閣で大量の国債が発行され世界一の借金王とまでまで自他共に認めるようになったのではなかったでしょうか。
わたしは野田聖子の在任期間がいつだったかは知らないし、当時の経済状況からして景気対策が求められていたことは認めるが、少なくとも郵政大臣時代、内閣の一員あるいは元閣僚として国債の大量発行に関して物言えるいた立場に野田聖子はあったのではなかったか。
野田聖子は自分はこの国の借金が膨れ上がったことに関して無関係だと思っているようだが果たしてそう言えるのかどうか。
そうしたことには一切触れずに、「そんな借金をいつの間に、と思われるでしょう」などとまるでとぼけたようなことを公約に書き、国債の発行を減らせとか、財投債を停止しろというのは、あまりにも自分のことを棚に上げすぎているのではないか。
さらに野田聖子は「谷垣財務大臣は、今後とも財投国債など相当なものを発行していかなければならず、国債の発行額がストックとして増えていく流れはしばらく続けざるを得ないと答弁されました」と言っているが、これからも国債を発行しなければならないと谷垣が考えている理由は一切書いていない。
その理由は書かれていないのでこちらで勝手に推測してよければ、もちろん国債発行にはいろいろな理由があるだろうが、金利が低いとはいえすでに発行されている国債の利払いや国債償還費用がさらに財政を圧迫し、新たに国債を発行しなければならない状況をつくっていることもあるのではないか。
野田はいきなり国債の発行を大幅に減らしたり財投債を停止することができると考えているようだが、それは無理なのではないかとわたしは思う。
野田は「郵政民営化を行っても、国債の発行が増大し続ける限り、私たちが預けたお金や保険金は国債購入に充てられます」などと言っているが、わたしにはこのくだりはいろいろなことがごちゃごちゃになっているようにも思われる。
財投債に関してはわたしもできるだけ停止できればそのようにしたほうがいいとも思うが、
少なくとも国債に関してその発行を減らすためにはまず財政の支出のうち何をどれだけ減らすのかと言う点が明確に示されない限りそういうことをいっても信頼性はない「公約」に思えてならない。
いきなり国債の発行を減らすことはかなり難しいと思うが、
いずれにせよその実現のためには思い切った支出削減が必要だと思うが、たとえば野田は自分の選挙区に交付される地方交付税交付金に関してどうしようと言うのか。そういうものに率先的に手をつけることなくして国債の発行を減らすことはできるのだろうか。
また今日新たに見た公約を見ると、「子ども省(仮称)」を創設するなど、まるでわたしには理解に苦しむ「公約」を発表している。
これでどうやって国債の発行を減らしていくと言うのか、まったく不思議である。
また「子ども保険・基金(仮称)」の創設と言うのはようするに増税である。
こういう「公約」をかかげる政治家が総理になったら本当にえらいことになるとわたしは思う。
文中敬称略