遅れてすみませんでした。
あ、そういえば来月単行本15巻と一緒に小説版第4弾も発売とか。
アルディーニ兄弟がメインとのことですが・・・、はて?
「アニメフェスタ2015」での『ソーマ』アニメの内容といい、四宮の次はアルディーニ兄弟を製作者側はプッシュし始めたのでしょうかね?(←こらこらこら)
さて、それはさておき今回もいってみましょー。
週刊少年ジャンプ2015年40号掲載。
掲載順第4位
第132話 【第一席の力】
竜胆先輩に誘われ、司先輩の料理を知るべく山の手エリアへとやってきた創真と恵。
そこはまさに別世界☆
本当に高校の学園祭なんて規模じゃありませんよコレ・・・。
っていうか、恵も一緒にやってきたけど、美作は?
あんなにも力を貸してくれたのに一緒に来てないなんて、ちょっとなあ~~~。
それに加えて、なにげ~~~にうやむやにされちゃってますが、結局5日目の売り上げは久我に勝てたのでしょうかね?
これで勝てていなかったら、それこそ4日目の勝利は仲間達による予想外の協力が無ければ不可能だったことになってしまうのですが・・・。うむむむむ。
まあ・・・、とりあえず切り替えて、と。
高そうな店ばかりの山の手エリア。
そんな所にある司先輩の店も当然高価でしょうに、創真と恵の分をおごってくれるという竜胆先輩。
う~ん太っ腹☆
セレブが大半を占める遠月学園ですが、やっぱり竜胆先輩もお嬢様なんでしょうかね?
そんな竜胆先輩。
・・・・・うん。
前回冒頭の食べっぷりや、創真や久我の店の料理も食していたことからな~んとなく予感してましたが・・・。
やっぱ全店舗食べ回っていたか☆
「姉キャラ」としてだけでなく、「大食いキャラ」としても確立した竜胆先輩。
この大食いスキルが、彼女の料理人としてのスキルにも関わっていたりしたら面白そう。
「味の経験値」が豊富な人物というとえりなが筆頭に挙がるでしょうが、えりなが食しているのは洗練された高級料理のみ。
そんなえりなと違って、竜胆先輩は高級料理からジャンクフードまで万遍無い食経験を持っていそうですから。
かくして、司先輩の店へ。
案の定、軽いシン●レラ城のような建物でした。
なのに。
卓数はたった三つと、超小規模。
だったらこんなデカい店構えにする必要なんて無かったんじゃ・・・。
・・・とツッコむのは野暮でしょうか?
これほどまでに客席数が少ないのは、九品ものコースメニューを全部司先輩一人で調理しているため。
なるほど、それじゃあ売り上げトップにはならないわけです。
とはいえ、ただでさえ調理手順のタイミングがシビアなコース料理で、なおかつ九品というかなり多い品数を自分一人だけでこなすには、相当な実力と自信が必要なはず・・・。
と思いきや。
いかにも司先輩らしい理由だったり(苦笑)。
そうしてまず最初に出された品はというと、桜エビが用いられたものでした。
桜エビ?
その名の通り春のイメージの食材ですが、それを秋に?
口にする創真。
その瞬間―――
おお・・・。
これは・・・。
今までありそうでなかった演出です。
元々“静”と“動”の用い方が非常に秀逸なこの作品。
ですがこれまで実食リアクションにおいては、そのほとんどが“動”の演出だったんですよね。
それが今回、現第一席の料理のリアクションという満を持した形で、“静”の演出で表現されました。
口にした瞬間陥る、白い世界。
そこにあるのは自分と「料理」だけ。
そんな静寂の中、皿の上で唯一の“音”と“動”を放つ桜エビ。
極めてシンプルだからこそ鮮烈に映えるインパクト。
桜エビ、ひいてはその料理がどれだけ印象的な品なのかが如実に伝わってきます。
そしてページを捲ると、その“静”の演出の対として、“動”の演出の代表格「おはだけ」が襲うという隙の無さ。
まあ、創真が「おはだけ」してしまうであろうことはあらかじめ覚悟してました、ええ。
現第一席の料理なわけですしね。さすがにこれは仕方ないよね。
それにアニメと違って●●●を晒すなんて暴挙はしでかしてないし。
純粋に、ここの創真のモグモグ顔は髪の舞い上がり具合も伴って可愛かったですv
現第一席司瑛士の料理。
それは食材が生きていた時よりも鮮烈な印象で迫ってくる料理でした。
そんなとてつもない料理を作ることが出来るというのに、当のご本人は待遇に不備は無いかとあわあわあわ(笑)。
う~ん、ギャップが激しいな。(^^;A)
ま、恵も将来こんな感じの料理人になりそうだけど。
司先輩の素材の目利き力には、竜胆先輩も称賛。
身体的スキルにおいてえりなが「舌」、葉山が「鼻」なら、司先輩は「目」といったところでしょうか。
ただ、竜胆先輩はもっと司先輩自身の“熱”が載った皿を味わいたい模様。
ここの竜胆先輩は個人的に印象的でした。
確かな箔が感じられる表情というか。
同じ料理人という仲間としてか。それともライバルとしてか。司先輩にきっと足りないであろうものを指摘し、求める竜胆先輩。
流石は第二席・・・といったところです。
堂島先輩と城一郎は親友兼ライバル、四宮と水原はケンカ仲間(笑)といった関係が築かれている、これまでの歴史の中での第一席と第二席。
陰気な司先輩に対し陽気な竜胆先輩と、対照的な二人。
仲は良さ気ですが、この第一席と第二席はどんな関係が築かれているのでしょうね?
でもそんな竜胆先輩の言葉に首を振る司先輩。
なぜなら、“自分”を消すことが「司瑛士の料理」だから。
なるほど。
究極の域までに素材の良さだけを追及する。誰も真似できない程に。
それがイコール自分にしか作れない料理になる、というわけですか。
う~む、そういう考えも確かにありますね。
我の主張が強い料理人が多い中、こういう考えは結構新鮮かも。
そんな徹底した食材に対する尊重と献身さから、司先輩はいつしかこう呼ばれるように。
『食卓の白騎士(ターフェル・ウ゛ァイスリッター)』と。
ドイツ語ですか☆
ちなみに英語だと「テーブルズ・ホワイトナイト」・・・。
うん。
ドイツ語の方が威厳があるね。(←)
そんな厨二病満々な二つ名を聞いても、創真は引きもしなければ、笑いもしませんでした。
何故なら―――
相変わらず流石ですね創真。
この着目点の鋭さは本当に大したものです。
創真の言葉で気付かされ、戦慄する恵。
あれほど弱気で自信なさ気でありながら、料理に関しては一切伺っていないことに。
それは一人の人間としての性格を遥かに凌駕するほど、料理人としては絶対的な自信を持っているという表れ。
そんな人物が十傑の第一席という事実を、創真達は思い知らされるのでした。
店を後にする創真と恵。
竜胆先輩ともここでお別れ。(またの再登場をお待ちしていまーす)
司先輩の実力に圧倒されてしまった恵に対し、創真はというと・・・。
燃えまくってました。(^^;;;A)
「ぼうぼう」でも「めらめら」でもなく「ごんごん」ってか(大苦笑)。
初めて見ましたよ、そんなオノマトペ。
火が付いてしまった創真は他の店も見て回りたいと思うものの、高級店ばかりの山の手エリアでは予算的に不可能なものが。
そんな時創真が思いついたのは、えりなの店。
学園祭初日の夜に一年生陣が集まった際(第126話)、創真はえりなに胡椒餅をあげていたのでした。
おお!
胡椒餅の縁が用いられましたか☆
っていうか強引に持たせてたのね(笑)。
えりなも皆と同じように創真の料理を食べてもらいたいと願っていた私としては、この事は嬉しく思えました。
押しに弱いえりなサマは嫌いじゃないよ♪
創真もえりなが本気で嫌がっていないと察したからこそ、少々無理矢理にでも持たせたんだろうな~。
創真のこういう温かい強引さ好きですよ。(^^)
かくして、少々頼りないツテですが(苦笑)、えりなの店へと向かう創真と恵。
すると、なにやら騒がしい様子・・・?
ああ・・・これは嵐の予感がバリバリです・・・。
流石というか。
相変わらずというか。
やっぱりこの作品の演出力はズバ抜けたものがありますね。
今回は現第一席である司瑛士という料理人に、その演出力が遺憾なく発揮されていました。
演出だけでなく、構成や作画においても司先輩を引き立てる巧妙な力の入れようがしかと感じられるのがまた凄いところ。
それら全てに共通していたのは「静と動の対比」。
演出面では白い静寂という究極の“静”と、勢いよくはだける“動”というリアクションの対比。
作画面ではオロオロと不安げな、いかにも頼りなさそうな姿を描く一方で、[食卓の白騎士]としての姿はその名に恥じぬ気高く凛々しいもので。
そして構成面では、自信なさげで動じまくりな言動を印象付けさせた後、見過ごしそうな些細な点を恵を介して読者にも気付かせるという事で、実は不動の自信を持っているという戦慄させられるまでのギャップを。
それぞれの面で、印象的な効果を伴って描かれていました。
そんな司先輩の料理人としての自信だけでなく、当然のことながらその実力にも畏怖された創真。
遠月学園に編入してから、葉山のカレーや久我の麻婆豆腐のような本格的な料理を度々口にしてきた創真ですが、本格的なコース料理は一応今回が初めて。(「地獄の合宿」ラストの宴でも食べてはいましたが、あの時は多分卒業生達それぞれの持ち味が盛り込まれた品で構成されていたでしょうから、全体のテーマ性はあまり無かったものと思われるので)
小気味よくリズムを変えつつも、全体の調和は乱れない。
それはまさに“交響曲”。
コース料理というと、「前菜」「メイン」といったそれぞれの役割の品によって構成される提供形式と単純に捉えていただけに、改めて説明されてその奥深さにつくづく考え直されました。
確かにこれは創真がこれまで作ってきた「一皿」で完結する料理とは、別次元の難易度です。
創真も四宮の店でのスタジエール研修でコース料理は経験していますが、あの時は「作る側」でした。
やはり「食べる側」に立ってみて初めて分かる事も多いですよね・・・。
今回本格的なコース料理の奥深さを体験した創真でしたが、そのうち創真も全品オリジナルのコース料理を作ることになるのでしょうか?
想像はしにくいのですが、その分どんなものを作ってくれるのかという期待感も持てる分、そんな展開が来るのを楽しみにしています。
さて。
今回は一話ほぼ丸々使っての司先輩の人物紹介のような内容だったこともありますし、『司 瑛士』という人物について私の印象を織り交ぜてのキャラクター考察と、彼と創真が今後どんな関わりを持つことになるのか予想を立ててみたいと思います。
「紅葉狩り会」でようやく登場した十傑第一席『司 瑛士』。
第118話感想にて彼の第一印象を「白(透明)」と述べさせてもらいましたが、それは彼の料理人としての信条を反映させていたのですね。
“自分”を消し去る料理人。
だから彼のルックスも限りなく「白(透明)」に近づけた、と。
そんな彼は遠月学生のトップという立場とはミスマッチなほどに弱気で低姿勢で心配性でネガティブと、非常に恵属性な人物でした。
その反面、調理場に立つ姿は別人のように凛とした佇まいだったという。
一人で料理することに不安は一切無い。
なのに。
他者と料理することは不安で怖くて仕方ない。
ギャグチックに描かれていましたが、ミスを恐れて調理を任せられないというのは、他者を信頼していないという事ですよね?
この点は明らかにえりなと共通する部分です。
「一人の人間」としては恵寄り。
「料理人」としてはえりな寄り。
やはり司先輩は他の主要キャラクターと同様に、恵とえりなそれぞれのファクターが取り入れられているキャラクターでした。
そんな恵とえりなとの共通点が見られる司先輩。
一方で肝心の創真との共通点は見られません。今のところ。
ただ、その「料理」においては創真と対照的な部分があると言えます。
ただひたすらに素材の魅力を研ぎ澄まし、自分という“熱”は一切皿に載せないというのが司先輩の調理スタイル。
いわば素材主義。
対して創真は、素材のみに囚われないタイプ。
言うなれば・・・そうですね、料理主義。
勿論手に入れられる範疇で一番良い物を用いようとはしますが、相手の食材の品質に至らない場合は、己の発想と工夫で補おうとします。
郁魅戦や秋の選抜決勝戦の場合が丁度それにあたりますね。
そんな創真の調理スタイルの柱である「発想と工夫」。
それ自体が創真自身という“熱”なわけで。
“熱”の無い皿と、“熱”のある皿。
これはなかなか面白い対照性だと思っています。
それに・・・。
“自分”を消すことが自分の料理と言う司先輩ですが、私としては「司先輩は料理を通して伝えたいことは無いのかな・・・?」と思ってしまうんですよね。
だから、きっと創真はこれからの司先輩との関わりの中で、彼に“熱”という影響を与えていくことと思います。
実際、彼によって“熱”が付けられた人物は既に何人かいますしね。(^m^)
そして。
創真もまた逆に、司先輩から料理に“自分”を載せることの意味を考えさせられることになるのでは?
それが自分だけの料理[スペシャリテ]に、また繋がっていくものと思います。
そんな「白の象徴」に続いて、今度は「黒の権化」と対峙することになりそう。
果たして「一生忘れられない料理人」とは誰のことなのでしょう?
えりなでしょうか?
それとも。
えりなの父親なのでしょうか?