週刊少年ジャンプ2014年43号掲載。
掲載順第6位
第87話 【秘策】
前回ラストで多種の牛肉を取り出し、審査員達に「牛肉の遊園地」にお連れしようと告げた創真。
この1週間ずっと創真につきっきりで取材していた早津田も、この事は全然知りませんでした。
それもその筈。
これらの肉は今朝選んで買ってきたばかりの物だったのです。
あら?それじゃあ郁魅の差し入れとは直接関係は無かったのかな?
それでも、「色々な部位」ということが、今回のアイデアの元になっていてほしいな~と密かに思ったり。
そして、準備期間中に全然手掛けていなかった各牛肉の部位を創真は次々と調理していきます。
その手際の良さは、現役のスターシェフである水原達でさえも目を見張るものでした。
凄いぞ創真!
それぞれの部位を、各自的確に処理、火入れしていく創真。
う~んやっぱりこの作品の調理シーンは凄くテンポが良いですね!!
見ててグイグイ惹き込まれます。
見事な調理技術を披露する中でも、しっかりマイペースさも貫く創真さん(笑)。
手ぬぐい、ゲソ、そして七輪。
これぞ幸平創真の三種の神器☆
ちなみにこの七輪はハラミに使われましたが、ハチノスにはどんな処理を施したのでしょうね?ちょっと気になります。
そうやって、「今この場」で料理を組み立てていく創真。
そんな彼に、美作は言います。
「やっぱりお前は“そっち”のタイプだったか―――」と。
美作が言う事には、彼の手の内を知っている者が取ってくる手段は二つ。
一つ目は、「虚勢」を張ってからのだまし討ち。
事前に出す品目を宣言し、本番では全く違う品を作って攪乱を狙うという、美作が最初に創真はこれを狙っているのではと疑ったパターン。
・・・。(-_-)
二つ目は、「即興調理」。
何を作るか全くの白紙で闘いに臨む方法。最終的に、美作が創真が取るであろうと予測したパターンがこれ。
・・・。(-_-)
違うから。どっちも。
第80~81話の感想でも言わせてもらったけど・・・。
美作、キミは確かに創真の事を知っているかもしれない。
けど、分かってはいないね。
そして出ました。
タクミの時と同じ「信用してる」発言が、ここでも。
“信用している”から。
美作は知っていました。
創真がタクミのマンションに寄った事も。その後沢山の肉を購入していたことも。
そうして、いよいよ審査へ。
先攻は美作。
ここで美作、あろうことか創真の常套句である「おあがりよ」を。
郁魅:(むっ)
創真:(それ俺のなのに・・・・・ (ゴゴゴゴゴ))
ごもっともーーーーー!!!
それは創真だけの決め台詞なのに!!
なにパクってんだコラーーー!!
と、私も創真と一緒に怒った次第です。
さて、クールダウンして、と。
意外(?)にも、ウンチクキャラだった木久知。
個人的に料理のウンチクは勉強になるので有難いのですが・・・。
なにも蹴ることないでしょ角崎(汗)。
いざ口に。
その味に木久知は悶絶。
・・・あれ?
木久知のペンダントってあんなに大きかったっけ?
もう少し小さくて、色も淡かったと思うんですけど。
ま、細かい所なんですけどね。
え?ツッコみはそれだけですが何か???
洋食のプロである木久知を唸らせる出来栄えだった美作のビーフシチュー。
辛口の角崎さえも絶賛するという凄さでした。
創真が直前に多種多様の肉を購入していたことを知りながらも、それを模倣してこなかった美作の意図がここで判明。
その場で料理を組み立てる「即興調理」。
それは所詮付け焼刃。
そんな「軽い」調理に対し、約一週間の手間暇をじっくりかけた「重み」のある特製ベーコンを、対抗手段として美作は選んだのでした。
「浅はか」
「熟慮の放棄」
「無駄」
タクミの時と同様、ま~~~ここから美作は言いたい放題。
再び創真に忍び寄るヘビさん。
やばい。
やばいやばいやばい。
やばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばい。
誰がやばいって。
美作が。
言っときますが。
創真はこんな可愛らしいヘビさんにやられるようなタマじゃありませんよ?
何故ならこの方。
人の皮被った魔獣でっせ。
と、ひとしきりゾクゾクしてから、はたと気づく。
ここのコマで、ヘビさんは創真の足に絡みついているわけですが。
これってセクハr(←蹴っっっ)
牛肉と豚肉の熱いぶつかり合い。
そのイメージとして、牛男と豚男からプロレス技をかけられる木久知。
とどめの合体技:クロスインパクトが炸裂ー!!
って。
炸裂したのは堂島アニキのポージングでした☆
合宿でのお風呂でバッタリといい、マジカル☆キャベツといい、今回といい・・・。
堂島先輩、そのポージング好きなんですか?ねえ、好きなんですか???(←)
現役シェフ達の高評価に沸く観衆達。
創真の敗北を危惧する仲間達。
そんな喧騒から離れたところで、佇む人物が一人いました。
やっぱり来てくれたね。
ありがとう、タクミ。
見ててね。
この勝負の、創真の姿を。
美作が「信用してる」と言ってからというもの、一言も喋らなかった創真。
ですが、ここで口を開きます。
お前の事を信用してたのは俺も同じだと―――
うっわ
うっわ
うっわ・・・っ
キ・ターーーーーーーーーー!!!!!
創真様の「言葉返し」が~~~!!!(>▽<)
美作がタクミに散々言っていた時はただ気持ち悪いだけでしたが(爆)、創真が口にするとやはりこう・・・格が!格が違いすぎる・・・!!!
(o(><o) (o><)oo(><o) (o><)o)
ここの創真の表情。
余裕で犯罪。
なにこの凄まじいサドっ気(爆)。
なにこのほとばしる色気(爆死)。
―――そして。
なにこの底知れない温かさ。
その創真の笑みと言葉に戦慄する美作。
そうでしょうとも♪
タクミとの勝負の際は、悪魔のイメージで描かれていた美作。
だけど、今回の相手は。
悪魔さえも喰らう魔獣ですよ♪♪♪
滅茶苦茶勢いよく七輪から立ち上る煙。
送風機でも仕掛けてるのかとツッコみたくなるくらい(爆)。
ですがこの演出は、美作が伊武崎の燻製技術を模倣してきたことへの「返し」を意味してるのでしょうね。
そっちが技術なら、こっちは演出というわけで。(伊武崎、お株取られまくりやな/苦笑)
舞い上がる煙の中を歩み近づいてくる創真。
ここのシーン、私の頭の中では「ターミ●ーター」のメインテーマが鳴り響いてました。(ダダン ダン ダダン♪)
さあ。
き・ま・し・た。
本家本元の「おあがりよ」が~~~!!!(o(>▽<)o)
遂に創真が垣間見せました。
限りなく優しい「牙」を。
『果て無き荒野』、『春の嵐』など、実は創真に結構な数の二つ名を付けている私。
今回のラストにかけての創真は、それらの内二つを見事に満たしてくれるものでした。
ひとつは『言葉の支配者』。
もうひとつは『心優しき魔獣[モンスター]』。
間違いなく、ストーカーの王者は彼にひれ伏すことになるでしょう♪
サブタイトルが『秘策』であった今回。
多種の肉の部位を即興で創真が調理していたことから、これが彼の“秘策”のように描かれていましたが・・・。
違いますね。
自分への対抗策として、「だまし討ち」と「即興調理」という二つのタイプを提示していた美作。
まずは「だまし討ち」。
これはありえません。絶対に。
創真は嘘をつく子ではありませんし、そんな卑怯な手段も取りません。
そして「即興調理」。
これもありえません。絶対に。
全くの白紙で闘いに臨むなんて・・・、そんな軽薄なこと創真はしません。
創真はいつだって全力を持って勝負に挑んできましたよ?
とどのつまり、創真は二つのパターンのどちらでもなかったということです。
では、今回冒頭で創真が行った、即興にしか見えなかった調理は何だったのか?
私はこう考えました。
この調理は、単に事前に「試作」をしなかっただけ。
実際はずっと前から、当日仕入れた肉での調理を考案していたのでしょう。
では、何故試作をしなかったのかというと―――
信じているのでしょう。
自身の躰に沁み込まれた、これまでの料理経験を。
勿論、美作のトレース料理への対抗策としての考えもある程度はあったかもしれません。
ですがそれ以上に創真は、このビーフシチューに「これまでの自分の全て」を詰め込みたかったと思うのです。
一週間の準備期間中に、ビーフシチューの“土台”を徹底的に創り込み。
そして今。
これまで積み重ねてきた“料理人としての自分の力”を、その“土台”に乗せたのではないのでしょうか。
現に創真の各種の肉の調理は、プロのシェフでさえも驚くほど迅速かつ的確な対応力が発揮されていました。
これらは他でもない、創真が“現場”で培ってきたもの。
そう、タクミと同じように。(^^)
創真が即興調理をしてくるだろうと想定し、その「軽さ」に勝つ手段として、一週間の手間という「重さ」で挑んできた美作でしたが・・・。
とんでもない。
対する創真の料理は、12年間と半年分の手間という「重さ」ですよ。(( ̄ー ̄)ニヤリ)
大抵の場合、どれだけ相手の「裏をかくか」に焦点が当たりがちと思うのですが、そこを信じられないぐらい真正面から挑んできた創真。
それぐらい、創真の誠実さは他の追随を許さないレベルだったということです。
「俺だってこの一週間 お前の事をずうっと考えていたんだぜ?」
創真の“秘策”は、むしろこの言葉に込められているでしょう。
やっぱり違いますね。美作の言葉と創真の言葉では。そのニュアンスが、全然。
「あの時」と同じです。
そもそもこの食戟は。
創真自身の為ではなく。
タクミの為以上に。
美作の為の勝負なのですから。(^^)
いつも面白いこの作品ですが
今回はマジで満足度が半端じゃありませんでした。
もう前半の創真の調理姿にワクワクしっ放し。
後半の創真の不敵さにゾクゾクしっ放し。
やっぱり格好良すぎます創真は。
次回披露されるであろう、創真の「牛肉の遊園地」。
角崎達がそれに魅了されまくるのは容易く目に浮かびますが(笑)、それ以上に気になるのが創真が送る、タクミへの、そして美作へのメッセージ。
創真にとっての「勝負」は単なる“潰し合い”ではありません。
彼にとって「勝負」というものは、きっと料理を通した“相手との語り合い”でしょうから。
果たして創真の皿は彼らに一体何を語るのでしょう?
これまでに無いくらい、楽しみ過ぎる次回。
既に心拍数がヤバイです。