あまぐりころころ

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『食戟のソーマ』第133話感想

2015-09-11 00:15:00 | 食戟のソーマ

 週刊少年ジャンプ2015年41号掲載。
 掲載順第7位
 第133話 【翳りゆく食卓】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 えりなの模擬店に突然来訪した人物。
 それはえりなの父でした。

 新戸の制止も聞かずえりなの父は店に入り、客層を一瞥後・・・。

 堂々と客への侮辱発言を放ちます。

 当然ながら、その発言に怒り立つ客達。
 その中には、「秋の選抜」の予選で審査員を務めた者達も。(香田さんがいないのはアニメに合わせてるからでしょうか?・・・残念★)
 ですがえりなの父親と気付くやいなや、一様に驚きの表情に。

 えりなの父親は、何年も前に遠月から追放されていたのでした。

 薙切家において完全に存在を消去され、実の娘であるえりなが酷く怯える。
 その男の名は、『薙切 薊』。

 なきり あざみ・・・。

 薊?

 

 

!!!!!

 

 

 (すぐさま第34話ラスト(単行本第5巻収録)を確認!!)

 

 

 

 

えーーーーー!!!???
 

 

 

 

 【堂島世代十傑リスト】

 第一席:堂島 銀

 第二席:才波 城一郎
 第三席:中村 

 

 マ ジ か ・・・ !

 

 うっわ~~~。まさかここでこんな伏線が明かされるとは・・・!
 第34話をリアルタイムで読んだ時もその因縁に驚愕させられましたが、今回もまた見事に驚愕させられてしまいましたよ。
 改めて、第34話の【遠月を巡る因縁】というサブタイトルの意味深さをつくづく思い知らされます。
 ・・・なんか附田先生の「してやったり」な顔が思い浮かぶのは気のせい?


 よほどヤバい人物なのでしょうか?
 怖気づく客達。
 ですが、千俵姉妹は薊の無礼な発言に反論します。
 お姉ちゃんナイスぅ。
 でもって。
 妹ちゃんナイスぅ(苦笑)。

 遠月学園と正式に提携している自分達を侮辱することは遠月を貶めることと同じと、なお反論する千俵なつめ。
 そんななつめに薊は言います。

 だから自分は遠月をあるべき姿へ正しに来たと。


 ですが、遠月を追放された薊には、遠月を動かす権限は一切ない筈。

 そんな薊はえりなを見ます。
 血と教育は其処にあると。

 そしてえりなの料理の腕を見ようとする薊。
 そんな薊に、飛び入りの客はお断りと止めようとする新戸でしたが、薊は卓がひとつ空いているのを見付けます。

 それは、えりなが城一郎のためにと空けておいた席。

 止めようとするえりな。

 ドライに捉えれば、城一郎が必ず来る保証なんて無いのですから、薊に座らせても別に構わないんですよね。
 でもえりなは嫌だった。
 それは自分にとって特別に大切な想いを侵害されることと同義だったから。

 しかしながら。
 そんなえりなの制止を無視し、薊はその卓に着いてしまったという。



 もはや完全に心が折れ、薊の言われるがままに従ってしまいそうになったその時。

 開かれる扉。

 その人物を目にした新戸は、晴れるような笑顔に。









 えりなに掛かる呑気な声。





 「・・・幸平・・・・・くん・・・・・・・・・・?」

 


 
 
 


 

 

 

 その胡椒餅はいつ焼いたの?
 恵は何処?

 といったツッコミなんてもうどうでもいいです。

 

次回の展開が気になってしょうがない!!!

 

 

 もう惹き付けられた惹き付けられた。
 ページを捲るのがもどかしいほどでした。



 冷静な観点で見れば、只のいち学生がやって来ただけ。
 なのに、これほどまでにこの空気を変えてくれると期待が湧いてしょうがないのは、他でもない創真だから。


 本当に、新戸の表情が全てですよ。
 っていうか新戸、過去最高に可愛い笑顔だな!!!
 そんな表情を創真が来た時にしてくれたっていうのが、もう嬉しい限り♪
 でも新戸があんな輝くような顔になるのも当然でしょう。
 なにせ彼は「快刀乱麻」。(by第108話)
 もはや新戸は創真を本当に信頼してくれているのですね。
 並外れたコミュニケーション能力もさることながら、自然と人の信頼を得ていく人間性も創真の最大級の長所だと思います。





 さて、非常に内容の濃かった今回ですが、順を追って考察してみましょう。


 冒頭で語られていた、えりなと城一郎との過去。
 第131話で描かれていた回想の内容が判明する形となっていましたね。

 城一郎を「才波さま」と呼んでいたえりな。
 既にこの頃には「幸平」姓になっている筈ですが、どうやら有名料理人としては「才波」を名乗っていたことが窺われます。
 極星寮を訪れた時も暗に「才波」とは呼ばないでほしいと一色先輩に言ってましたし、「才波城一郎 = 幸平城一郎」ということはあまり知られたくない事なのでしょうね。
 それは何故か。
 勿論息子である創真の事もあるでしょう。
 そして今回、他にもその理由を憶測させられる新たな事実が明かされるわけです。

 

 えりなの料理をご馳走して貰うという約束を交わしていた城一郎。
 それがいつかというと。
 えりながいい料理人になった時。
 「いい料理人」。
 城一郎が言うこの言葉は、特別な意味が含まれています。

 それはこの作品の読者ならほとんどの方がご存知である通り、「特別に大切な人(異性)に自分の料理の全てを捧げたいと思えるようになること」。
 これは暗に、えりなにも「特別な異性」の存在が必要ということが課せられたということではないのでしょうか?
 現状のところ、えりなにとって「特別な人」は発言者である城一郎本人ですが、番外編で明かされている通りその想いは“憧れ”です。
 創真は勿論、えりなもまだ分かっていないこの言葉の意味。
 憧れや尊敬ではなく、本当の恋愛の意味でえりなは自分にとっての「特別な人」を探していかなければならないのでしょうね。



 そして外せないのが、えりなの実父『薙切薊』。
 まあ、なんつーか。

 

 

やっぱり親子だね★★★

 

 

 この尊大さ。不遜さ。
 超上から目線。
 平気で他者を侮辱する姿勢。
 排他的で否定的な考え。

 最近はなりを潜めていますが、
 見事なまでに初期の頃のえりなと同じです。

 ただ、えりなは「氷」に対し、薊のイメージは「闇」ですが。
 そんな彼のダークネスさの描写の極みが、「餌」発言のシーン。
 すげえええ。
 佐伯先生すげえええ。
 これ、アニメじゃ表現できないんじゃ・・・?
 ちょっと本気でそう思えてしまうぐらい、物凄い描写だったと思います。
 前回の「白」の描写が印象的だっただけに、対照的な今回のこの「黒」の描写は尚更インパクトがありました。


 そして読者のみが気付く、驚愕の事実。
 彼もまた、城一郎の過去に大きく関わる人物だったとは。
 姓が違うという事は婿入りしたのですか。
 そこも城一郎と一緒ですね。

 そんな城一郎と因縁浅からぬ関係であろうと思われる薊。
 こうなってくると、城一郎が遠月学園を卒業していないこと(第41話)、そして遠月を訪れた用事(第44話)との関連性も気になってくるところです。


 一方で、普段の振る舞いからは想像もつかないほどの怯えを見せているえりな。
 その恐怖の原因は薊であることは、火を見るより明らかです。

 久し振りの対面だった模様ですが、まさか薊が遠月から追放されていたとは・・・。
 彼の初登場時には、「父親が存命しているならなんでえりなはあれほどまでに薙切家の後継者として肩ひじ張っているのだろう?」と疑問に思ったものでしたが、なるほど、存在を消されていたのならばそれも納得です。

 父子の対面というと、思い出されるのが城一郎が創真を激励しに極星寮を訪れた時。
 あの時創真と城一郎は料理勝負という“語り合い”を交わしました。
 この度のえりなと薊の邂逅には、勝負や対決は交わされていません。
 というよりも。
 “交流”そのものが成立していないという。
 自分の意思だけを一方的に述べるくせに、娘の精一杯の意思表示は完全無視。
 それが愛する娘への態度なのかと本気で聞きたい。

 そんな態度の一方で、えりなの品位がどうこうと言っていた薊。
 どうやら薊は相当な偏愛をえりなに抱いているようですね。
 遠月を正しに来たという薊。
 自分の理想。自分の野望を実現するために。
 そして、その実現のためにはえりなが必須の模様。
 食の世界の銘家である薙切家の血を引き、[神の舌]という天性の才能を持って産まれた・・・いえ、「産まれてしまった」えりな。
 自分の“血”と“理念”を受け継ぐ最高の存在として、薊はえりなを自分の意のままに操ろうとしているのでは。
 そのために過去にえりなに施した「教育」がえりなのトラウマとなり、彼が遠月を追放される原因となったであろうことはまず間違いないでしょう。

 それが如実に示されているのが、えりなに空腹だと言う薊のコマです。


この描写・・・完全にえりなが薊の「傀儡」と化してますよ。


 本当に、一体何をえりなにやらかしたんだ薊・・・。


 自分の夢を子どもに託す、と言えば聞こえは良いですが、これは完全に方向性を間違っています。

 城一郎の来訪時に判明した、創真のバックボーン。
 そして今回薊の来訪によって、えりなのバックボーンもまた大きく明かされることになりそうです。





 さて・・・!

 否が応にも期待が高まる次回は上手い事にセンターカラー!!
 果たしてどんな展開が待ち受けているのでしょうか?

 考えられるものとしては、
 ①薊と相席になり、えりなの料理を食する。
 ②薊の料理を食べることになる。
 ③創真が料理を作って、薊に出すことになる。
 これら三点が考えられます。

 ①については、今回暴露したように、薊は食の重鎮である筈の者達でさえ「相応しくない」と言ってえりなの料理を食すことを認可していません。
 そんな彼が、一般庶民でいち学生という身分である創真がえりなの料理を食べることはまず許さないでしょう。
 個人的にも、創真が食べる初めてのえりなの料理がこんな精神状態の品というのは嫌ですしね。

 ②については、「格の違いを見せてあげよう」とかいう展開で、ありえなくはないかも。
 まあ、「僕が手を下すまでもない」とか言う可能性もありますが。

 ③については、まずありえないでしょうね。
 限られた人間以外が食べる料理を「餌」とまで侮蔑する薊が、きっと見下すであろう創真の料理を食べるとは到底思えません。

 以上の推測と、前回ラストの恵の言葉から考えると、一番可能性が高いのは②と思います。
 もしそんな運びとなった場合、個人的に期待している妄想があったり。
 創真が薊の料理を食すことになったら、きっと創真はその凄さに驚かされることになるでしょう。

 けど。

 「つまんねー料理っすね。」

 とか言ってくれちゃったりして♪
 あ、「おはだけ」もしません。当然ながら。

 いわゆる原点回帰です。
 高級。特別。品格。完璧。
 そういったものを至上とし、自分の価値観に当て嵌まらないものは徹底的に見下す薊。
 そんな初期の頃のえりなによく相似している薊に創真がそんな言葉を言い放ってくれたなら、個人的には「よく言った!!!(Σd(><))」と全力でサムズアップです。

 私がこう妄想したのは、今回ラストに登場した創真の姿が読切版の創真の初登場時と重なったから。
 読切版ではゲソを咥えて登場した創真。
 そんな彼の庶民性・野暮性をリンクさせるために、創真の手に胡椒餅を持たせたのではないのでしょうか。
 さすがに今の創真にゲソを咥えさせるのは無理がありますからね(苦笑)。(だいぶ前から咥えなくなったし)



 追放された立場でありながら、再び遠月に現れた薊。
 という事は、何かしらの「権力」を手にしているという事です。
 ですが、どんな権力を前にしようが、立場の差があろうが、そんなもの一切通用しないのが創真ですからね。
 本当に、創真のこういう無粋なまでのマイペースさがこんなにも頼もしく思えるとは・・・(惚れ惚れ)。 

 ただひとつ心配なのが、薊が城一郎の姓が「幸平」に変わっているのを知っているかどうか。ひいては創真が城一郎の息子だという事に気付くかどうかということ。
 城一郎と親しい間柄である堂島先輩やふみ緒さんも知らなかったことを考えると、薊がそれを知っている可能性は低いでしょうね。
 ・・・というより・・・。
 これは勘ですが、薊がそれを知ってしまったら、えりながそれを知る事以上に深刻な地雷になってしまう気がして仕方ありません。         
 自分の“血”と“教育”を受け継いだ存在であるえりな。
 そんな自分の娘と同世代に、城一郎の“血”と“教育”を受け継いでいる存在がいると知ったら・・・?
 今の時点では薊と城一郎の仲がどんなものだったかは不明ですが、個人的には嫌な予感しかしません。




 ラストに全てを持っていった主人公。
 遠月に現れた「闇」に、[春の嵐]がどう相対するのか・・・。
 必見です。








 




 

 最後に、薊の言い分について少々。
 絶句レベルだった、彼の「料理」に対する考え。
 もはや「アンタ何様?」としか言えないものでした。

 

 

 

 

 でも。

 

 

 

 

 

 一部ですが、分からなくはないのですよね。

 

 

 実際私も、料理の価値基準というものがよく分からない人間なものでして。

 作中で例を挙げるならば、アリスの分子料理とかがそれにあたります。
 リアルにおいても、世界の有名料理人が作ったという料理を見ても、あまりに洗練され過ぎていて正直「食べたい」と思えない品が時々あります。
 実際食べてみても「評判ほどの味じゃない・・・」と感じる時も正直なところあります。
 ごく一部の人間のみが理解でき、大半の人間が本当の意味で理解できていない「美食」がある。
 それは確かに事実だと思います。

 

 

 

 

 

 けど。

 

 

 

 

 

 

だからこそ、全ての人が等しく「美味しい」と分かり合える料理が作れたら、それこそ最高でしょうね。(^^)

 

 

  

  


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