袋破りの猫たち

 保存に便利な、ジッパー付きの袋に入ったドライフードを買って来た。
 ところが次の朝、みゆちゃんにご飯をあげようとドライフードを取り出すと、袋の側面が破れている。みゆちゃんの仕業だ。封をしていてもおいしい匂いがするのだろうか、みゆちゃんはドライフードの袋を噛んで破る悪い癖がある。せっかく湿らないようにジッパーの付いたものを買ってきたのに、これでは意味がない。破られた場所をビニールテープでふさいで置いておくと、別の場所をまたやられた。そこで、みゆちゃんが入れない押入れにしまうと、今度はネズミに破られた。結局、みゆちゃんの手の届かない食器棚の上が、ドライフードの置き場所になった。
 この、袋を破る悪癖を持った猫がもう一匹いる。実家のトラ猫ちゃめだ。そして、みゆちゃんとちゃめは犬猿の仲である。
 ちゃめの袋破りは、さらにたちが悪い。実家には5匹の猫がいるから、エサを買うときは一度に何袋も買っておく。買って来た5、6袋ほどのドライフードを車から降ろして、ちゃめの入れない物置にしまうまでのほんのわずかの間に、もうやられている。しかも一袋ではない。全部破られている。
 ちゃめの被害はドライフードにとどまらない。ジッパーの付いた海苔の袋も次々と破られる。わざわざ、選択的にジッパーの付いたものを狙っているような気さえする。お茶の袋も全滅。また旅空の下、父が空気枕を膨らませようとすると、穴が開いていて使い物にならなかったらしい。
 ある時、みゆちゃんのドライフードを買ったついでに実家へ寄り、そのあいだ、買ったフードを玄関に置いておいた。さて帰ろうと袋を持ち上げると、中身がざーっとこぼれ出た。猫の勘で大嫌いなみゆちゃんのドライフードだとわかったのだろうか、いつにもまして、滅多切りにされていたのであった。
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