望子のただいま稽古チュッ!

稽古、公演、プライベート
・・・オバサン役者、木村望子の日々。

ウラ写真・劇場編・・・ベッドの位置・つづき

2013-09-20 00:03:09 | 舞台・ウラ話

老人を助けだしたあと、
ベッドと壁の間に作る、
20センチくらいの微妙な隙間。

それは何のためか?



・・・実はね、

要らないものの隠し場所なんです。


おじいちゃん役の仙崎さん、
あるシーンで、かなりの早替えがあるんですが、

脱いだものを隠す暇がない!

だから全部、ベッドの奥へ落としてしまおう、
というワケなんです。

私はチェックしていませんが、

他にも、いろんな人が、
いろいろと落としていたようで、
そりゃぁ、使わない手はありませんよね。

だって、舞台のど真ん中に、
小道具や衣裳の隠し場所があるんですから、
こんなに楽なことはありません。


といっても、毎回、
好き勝手に動かしているワケではなく、

ライティングはどうか、
全体のバランスはどうか、

いろいろと検討した結果、
ここぞと決めた場所にテープを貼って、

イールスの面々が片づけているときに、
さりげなく動かすということに決まりました。

こういうのが現場処理なんですね~。

稽古場ではできない、
本物のベッドでの「介護」にもチャレンジ。

久美役の悠花ちゃん、重そう(笑)



でもね、反対に、
稽古場じゃなきゃできない楽しみ方、
っていうのもあるんです。



おじいちゃん役の仙崎さん、

芝居の中では、認知症のため、
自分では着替えもできず、
久美に着替えさせてもらいます。


冒頭に書いた「早替え」は、

久美がかいがいしく、
着替えさせている最中に暗転。

次に明るくなったときには、
ベッドに寝ている・・・というシーン。



稽古場の場合は、暗転はできないので、

演出家から、
「暗転!」という声がかかるのですが・・・、



その声がかかった途端、

それまでヨタヨタしていたおじいちゃんが、

一気に、着ているものを脱ぎ捨て、
それをベッドの奥に放り込むやいなや、

ひらりとベッドに寝転んで、
布団をかけるという、

びっくりするほど機敏な動作を見せてくれるんです。


舞台では、ここで真っ暗になるから、
この姿はわからないんですね。

でも、稽古場では、その様子がぜんぶ晒されて、

そのあまりの変身ぶりに、
関係のないところで笑いが起きてました。


おじいちゃん、機敏すぎ~(笑)


さて、そんなこんなで、
いよいよゲネプロに突入します!
(まだゲネプロ?







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ウラ写真・劇場編・・・ベッドの位置

2013-09-19 00:42:00 | 舞台・ウラ話

ベッドを囲んで、全員で、
何やら真剣に検討中。



何をしているか、というと、

<壁とベッドの隙間を、どのくらいにするか>

を決めています。


というのも、

今回はこのベッドの隙間が、
ものすごく重要だったんです。


まず、冒頭のシーン。

暗い中で、男が空のベッドを見下ろし、
缶ビールを飲み干して去っていきます。

散らかった部屋に響く、空き缶の音。

そこに忍び込んできた、恭平と久美が、
ひょんなことから、ベッドから出ている足を発見し、

ベッドと壁の隙間に入って、
動けなくなっている老人を助けます。


・・・ということで、ここで必要なのは、

仙崎情さん演じる老人が、
 
 <奥に寝転べる幅> となります。


こういうのは、パイプ椅子では作りようもなく、

稽古場でしょっちゅう言われる、

「じゃ、それは現場で」

という「逃げ」、

  あ、いや

   「やり方」で、ここまで持ち込んで、

セットが完成したところで、
その問題をひとつずつ、潰していってるところなんです。



位置が決まったあとは、本人が1人でいろいろと研究してます。

とにかく暗転中の作業なので、
体で覚えておかないと、どうなるかわからないんですね。


そして劇中で、老人を助けだせば、

あとはドンと奥まで押して終わり。

・・・のハズなんですが、

それが、そうじゃないんです。


奥に20センチくらいの、微妙な隙間を作るんです。


この隙間、
実はとっても大事な隙間になるんですが・・・、

さて、なにかわかります?


ふふふ。

短いけど、せっかく質問形式になったので、
明日に続けます~

   (つづく)







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ウラ写真・劇場編・・・・ウラはこんな感じでした~(その3)

2013-09-18 00:08:01 | 舞台・ウラ話

こんな狭い劇場で、
よくこんだけネタがあるな、と自分でも思いつつ、

裏の写真のラスト、
いってみたいと思います 


こういう建て込んだセットの場合、
実はひとつ、面倒なことがあるんです。


人の出はけ、物の出し入れといった、
芝居の進行に必要な動きが、

 <ドアからしかできない!> 


それはどういうことかというと、

 <いちいち、ドアの開け閉めがある>

ということで、
これは暗転での、ものすごい時間のロスになります。


たかがドアというなかれ。

真っ暗な中で、大勢が出たり入ったり、
また、大きなものをセットしたり、はけたり、

それを1秒でも短縮したい暗転でやると、
たかがドアでも、大きな障害になるんですね。


そこで、どうするか?

今回は、秘密の出入り口が作られました。

この規模の舞台では、なかなか難しいんですが、
今回は出来ました!


この、黄色い矢印の先。

何に見えます?

ただ壁がへこんでる感じにしか、
見えませんよね。

角度によっては、
壁の続きに見えるかもしれません。


これが、出入り口なんです。

ここから稽古を見ると、こんなによく見えます。

ドアしかないと、芝居の進行状態も、
台詞でしかわかりませんが、

ここがあると、
ちゃんと目で見ることができるんですね。


私、人の芝居を観に行っても、
こういうのを探すのが好きで、
客席で開演を待つ間、

(あ~、あそこの動線は~)

なんてチェックしてたりします。
(けっこうおもしろいんですよ



さてさて、最後にマイルームをご紹介。

早替えがあったこともあり、
ちょっとしたスペースを、
マイルームのように使わせてもらっていました。

こんな感じ。


だけど本番中は、明るくできないから、

こうなります。

といっても、
悠長にハンガーからおろして着替える、
なーんてこと、やってるヒマはないっ!

 ・・・ので、

出番が近づくと、
この衣裳たちが、こういう姿になります。

もちろん、本番中に撮る勇気など、ございませんから、
これは再現写真でゴザイマス

つまり、

そのままスポッと頭からかぶれるように、
くしゃっと置いておくんです。

着にくい長袖のものなんかは、
いったん着て、そのまま脱皮するように脱いで、
そ~っと置いておく、ってときもあります。

そんな「脱いだまま」のイメージで、

着る順番に、小物も挟みこみながら、
上から上から乗せていきます。


普通、本番の準備は、
できるだけ早くしておくものですが、
これだけは、違うんですね。

あんまり早く用意すると、
登場したときにはシワだらけ
ってこともありますから。



うーーん。
このところ、シメがイマイチですが、気にせずに終わります!

次からは、またコマゴマと劇場の日々を。







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ウラ写真・劇場編・・・ウラはこんな感じでした~(その2)

2013-09-17 00:05:01 | 舞台・ウラ話

さてさて~、
ウラ写真の続きでゴザイマス。

まず、説明用に、昨日も載せたこの写真を。



まず黄色い矢印のドア。
裏から見ると、こんな感じ。


きれいでしょ?
普通にこのまま壁が続いてそうでしょ?
(続いちゃいないけど


これにはワケがあるんです。

このドアは、舞台に向かって開きます。
だから、ドアを開けると・・・中が丸見え 

きれいに作らざるを得なかったんですね。

 <見えれば作る・見えなきゃ作らん>

もうこのあたりは徹底しています。


たとえば、もうひとつの青い矢印のドア。

これは内側に開きます。
その上、セットの都合上、60度くらいしか開かない!



ということは、裏はほとんど見えないので、

同じものを裏から見ると、
こんな感じ。


ドアを閉めると、もっとキタナイ(笑)



ちなみに、左奥にちょっと見えている白壁は、
実はエレベーターなんです。


そして、このエレベーターの裏が、
また、なかなかのものでして・・・。


まずは舞台面から。
 

・・・ちゃんとなってます。


でも、裏は・・・、

開いていると、こんな感じ。


閉じると、これ(笑)


これぞまさに、舞台裏!



しかし、セットは、作ればおしまいですが、
人間は、そこからが勝負です。


この奥の狭い場所で、ぴったりのタイミングで、
1人で開け閉めをしてくれた舞台監督さん。

そして、ギリギリのすき間から車椅子を入れて、
涼しい顔で、乗って登場せねばならなかった仙崎さん。


仕事とはいえ、お疲れさまでした







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ウラ写真・劇場編・・・ウラはこんな感じでした~(その1)

2013-09-16 00:09:23 | 舞台・ウラ話

やっと今日から「劇場編」でゴザイマス。

いやぁ、よく引っ張ってますねぇ

まぁ、適当に、お付き合いのほどを、
どうぞよろしくお願いいたします。


ということで、今日からは、まず、
舞台セットの裏側をば。


舞台に、セットを作ることを、
「建て込む」と言います。

小劇場の場合は、その作品によって、
しっかり建て込むときもあれば、
お客様の想像力にお任せして、
ほとんど素舞台のときもあります。

どちらも「あり」なので、
私なんかは、あまり気にならないのですが、


今回久しぶりに、壊すのが勿体ないほど、
しっかり建て込まれた舞台に立ってみて、
・・・思いました。


(あ~、やっぱり、いいなぁ


衣裳をつけることで、何かが変わるのと同じで、
このセットが、役者を助けてくれるな、と。


ドアが多かったり、エレベーターがあったりで、
それを想像しながら、稽古場で動くのは難しかったけど、
(あ、私が混乱するのはいつものことか

実際にここで動いてみると、
助けられている感じが、すごくしました。

毎度おなじみのフレーズですが、
 <小劇場はお金がない>

だから、セットにまでなかなか手が回らないんですが、
やっぱり、たまには、いいものですね~。



・・・と、ちょっとシミジミしたところで、

ウラの写真をいってみたいと思います。

まずは、客席から見える、表の写真。



そこから裏へまわっていきます。

このあたりが、表の赤い矢印のあたり。
舞台中央から下手に向かっています。
(普通の人は、このくらいの説明でイメージできるんですよね?)

左側は、すぐに舞台です(白い矢印の方向)


下手のスペースに、たまっている役者たち。

小道具のチェックや、打ち合わせをしている模様。


そして彼らがたまっていたところが、下手の小道具置き場。
 
先日さんざん書いた小道具などが置かれています。

もうちょっと整頓せいっ、と言いたいところだけど、
本番前には、もう少しきれいになります。
(そのときにはもう写真なんて撮れないので

ただし、この林立するペットボトルは、役者の私物。
なにせ、暑い時期だった上に、踊ったり騒いだり。
水分は必需品でしたから。


そして、これ、ただの事務用の長机なんですが、
舞台仕様になっています。

って、まぁ、それほどのハナシじゃないんですけど

上に、パンチカーペットと呼ばれる布が、
貼ってあるんです。

床にもありますね、グレーのカーペット。
舞台にも、これを貼ることが多いんです。

つまり、音の吸収です。


どんなに気をつけてても、音は出てしまう。
それを避けるために、
机にまでカーペットを貼っちゃうんです。

まぁ、これは必ず、ではなく、
舞台監督さんの気配り次第ですが。

でも舞台裏って、
こういう細やかな気配りが本当にありがたいんです。



ということで、

もう少し、舞台裏の散策を続けていきたいと思います。


   (つづく)







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ウラ写真・稽古場編・・・通し稽古ラストっ!

2013-09-15 00:32:37 | 舞台・ウラ話

さて、と、やっと稽古場編の最後です。

って、千秋楽から、もう5週間くらいたってる?

なのに、これからやっと、劇場編に突入??

うひゃぁ、
いつまで続けるつもりなんだろう


このところ、いよいよ、
公演のウラ話が長くなってきてますねぇ。

もしよろしければ、休み休み、
お付き合い下さいませ。



さてさて、稽古場での最後の通し稽古を、
Aチームの写真で追っかけてみました。

最後ということは、
次に通せるのはゲネプロのとき。

そして次は・・・もう本番!!


そんなことわかってるんだけど、
でも無用にアセるもんなんです。

これは、通しの10分前くらいかな?

みんな真剣に主宰の説明を聞いています。


このドアは、こっちに開いて、とか、
最終的なチェックでしょう。

なにせ、何もない稽古場で、
セットがあるつもりで稽古しなきゃならないので、
毎回、確認が必要なんですね。


次は役者同士の確認。

早替えの手伝いの確認や、小道具の置き場所、
自分の衣裳のチェック、


そして扱いにくい車椅子の動線チェック。
奥の方で、ABで同じ役の2人が打ち合わせをしています。



なんか、床があまりにもキタナイ、というか、
散らかっているので、
思わず片付けたくなるんですけど、
これがオープニングの小道具なので、片づけ厳禁!

でも気持ち悪いんだよなぁ、これが。
(実は片づけ大好きオバサン



そして、通しスタート!

通し自体は、普通にお芝居なので、ここは飛ばしまして、

終わったら、休憩⇒ ダメ出し⇒ 夕食休憩(といっても5時頃)

そして、今度はBチームの通しとなります。


これは、その夕食休憩の頃かな?


大任を果たしたAチームの主役、みつるくんと悠花ちゃん(ピンクの矢印)
ホッとしてお食事中。

一方、グレーの矢印は、これから通しがスタートの太郎くん。

全然、両者の空気が違います(笑)



黄色の線でつなげたのは、2役という、
これまた、過酷な役の2人。


野球チームのエース<魚屋の清さん>は、底抜けに明るくてお調子者。

老人の息子<政伸>は、親を殺そうとするほど、屈折した哀しい男。


この<清さん>と<政伸>を、
1日のうちで、演じ分けねばなりません。

本番は合間にかなりの時間があるので、
そこで切り替えがききますが、
稽古場での休憩は、せいぜい1時間程度。

これは、かなり厳しいものがあります。


台詞量その他、具体的な負担も大きいのですが、
それ以上に大きいのが、心の問題。

余りに両極の役なので、
完璧に気持ちを切り替えないと、

前の役を少しでも引きずったら、もう終わり。
次の役には入れません。


Aチーム政伸の高田くん(手前)、
清さんへの着替え中ですが、
まだなんとなく、背中に政伸が残ってますね(笑)

でも、全部着替え終わる頃には、
ちゃんと清さんが現れてくるはず。

ユニフォームという衣裳も、
役者の強い味方になってくれるんです。



そして、いよいよ、というか、

やっと小屋入りでゴザイマス!

明日からは劇場編でいってみたいと思います!
(まだまだ続けるつもり・・・)





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ウラ話・稽古場編・・・たかが小道具、されど・・・(その5)

2013-09-14 00:02:58 | 舞台・ウラ話

老人がアメリカに暮らす妹、文代に、
1年前に送った、長い長い手紙。

この重い意味のある小道具をどうしたものか。

読み合わせの頃から、
ずっと頭を悩ませていたことでした。


普通、小道具は、
使う役者が用意して、管理もします。

特に、手紙などは、持ち道具とも呼ばれ、
より、使う役者との結びつきが深いもの。

ということは、老人の妹・文代役の、
大塚みどりさんと私が、
手紙を用意することになる。


でも、そうじゃないな、
と思ったんです。


老人が、これまでの人生を振り返り、
その先にある痴呆という病におびえながら、

すべての思いを書き綴った手紙は、
やっぱりご本人に、

つまり、老人役の仙崎情さんに、
書いてもらうべきじゃないか。


このとてつもなくシンドい作業を、
言わば「人に押し付ける」ことに、
ためらいもあったのですが、
何よりの役作りにもなることは確かです。

よく、養成所などで、
自分の役の履歴書を書かせたりしますが、
それと一緒ですね。

頭で考えているだけだと、
あいまいなままで済むことが、
文章にするとそうはいかなくなる。

仙崎さんと、
養成所の子を一緒にしては失礼ですけど、
でも、誰にでも必要なことなので、

主宰にも相談して、
書いてもらうことになりました。



それから、出来上がりを待つこと、
・・・2週間。

それでも、手紙は現れません。

稽古場では、相変わらず、
白い便箋を使って、稽古が続きました。


そして、また1週間。

もう来週は小屋入りなのに、
今になって「書けない」なんて、
そんなことはないよね?

と、心配もピークにさしかかったとき、


封筒に入った、驚くほどの長い手紙が、
私たちの前に現れました。


パソコンで打ち込まれた、
長い長い文章を読むうちに、
思わず本気で涙が流れました。


兄さん、ありがとう。
まさか、こんなに心のこもった手紙を、
読ませてもらえるとは思わなかったわよ。

とりあえず、コピーして、息子・政伸役の2人にも渡し、
しっかり読んでもらいました。

あ~~~、待った甲斐があったぁ


といっても、芝居で使う手紙は、
やはり手書きのイメージということで、
今度は私が書き写すことに。

すごい量で、少し飛ばしながら書いても、
便箋にぎっしり7枚。


夜中に2時間以上かけて書き写し、
何部もコピーして、完成。

小道具は、使っているうちに、
濡れたり、破れたり、何があるかわからないので、
沢山作れるものは、
とにかく作っておくんですね。


それで・・・、

客席からは・・・、どうかなぁ。
「字が書いてある」くらいはわかったかなぁ。

この矢印の手紙なんですけどね。


でも、いいんです。
これで、兄さんも、私たちも、政伸たちも、
絶対に何かが変わったはずなので。


そう。
ウチのチームの政伸役、ムックくんは、
千秋楽のあと、
記念に手紙を持って帰ったくらいですから






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ウラ話・稽古場編・・・たかが小道具、されど・・・(その4)

2013-09-13 00:05:52 | 舞台・ウラ話

そしてもうひとつ、

たぶん誰も気づかないであろうけれど、
ここだけは、ゆるがせにはすまい、と、
私がこだわったのが、


 <手紙> でした。


老人がアメリカに暮らす妹、文代に、
1年前に送った、長い長い手紙です。

自身が認知症であるとわかった老人は、
自分の意識がしっかりしているうちにと、
はじめて妹に手紙を書きます。



父親に反発して家を出た息子、政伸への思い。

仕事に明け暮れ、父親として、
やさしい言葉のひとつも、かけてやらなかった後悔。

早くに亡くなった妻への詫び。

そして、音信不通の政伸が見つかったなら、
それなりの財産を渡したい、という親心。


彼の人生が凝縮したような手紙です。


・・・なーんて、
わかったようなことを書いてますが、

これ、お芝居ですから(笑)

ホントに手紙なんてありませんから。

文代のセリフから、こういうことが書かれているって、
想像できるだけなんですね。



この台本を読んだとき、
最初に「うーーん」と考えたのが、
この手紙でした。

何度か、台本を読むうちに、

ここの小道具はどうする、とか、
ここでの衣裳は早替えか?とか、

そんなことも考えたりするんですが、

そのとき、まず、
(こりゃ、難物だな)
と思ったのが、この手紙でした。


稽古では白い便箋を使っていたんですが、
さて、どうしよう、
とずっと考えていました。

本番も白い便箋で、というのも、ありです。
あえて、字が書いてないものを読むのは、
よくやることですから。

でも、主宰に指示されない限り、
それはやりたくなかった。



この手紙は、父親を恨んでいる息子、
政伸に渡して、読ませます。

だからこそ、思いがこもった手紙を、
政伸に手渡したかったんですね。

政伸役の2人だって、
白い便箋を読んで泣くのは、
つらいでしょうし。

(稽古場では、そうだったんだけど)


だけど、手紙の内容の説明は、
セリフにしたら、ほんの数行。

でも、私のセリフに、
「初めてくれた手紙が、こんなに長くて驚いたわよ」

というひと言があるくらい、
長いものにしなきゃいけない。


さて・・・、どうしたものか・・・。


   (つづく)





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ウラ話・稽古場編・・・たかが小道具、されど・・・(その3)

2013-09-12 00:36:48 | 舞台・ウラ話

さて、誰からも貰えそうにないな、

といったものは、
自分たちで作ります。


たとえば、
「宝川商店街お楽しみスタンプ帳」

舞台で一瞬、見せるだけなんですが、

ゼロから作った台帳に、
 ゼロから作ったシールを、

1枚ずつ、切って、貼ったもの。


ご丁寧に、
少し斜めにずれて貼られたシールもあります。


そして台帳は、綴じて、背表紙を貼って、
大量に作って、こんな感じ。


これの作成担当は、
草野球チーム・イールスの応援団、
ピンクイールスの女子たちだったのですが、

もうひとつの彼女たちの作品が、
恭平が久美に隠れて通っている、
クラブのホステスの名刺でした。


残念なことに、
写真を撮りそびれたのですが、

恭平の目の前で、
彼女たちが破り捨てるだけなのに、

写真入りで、これがまた、
「いかにも~」な出来上がり。

うんうん、きっと安っぽいクラブなんだろうな、
みたいな場末感まで漂っていて(笑)

A・Bのチームによっても個性があり、
リーダー同士が写メして作りあったり、
かなり力が入っていました。


そういえば、ピンクイールスのリーダー、
律子役のこの2人、
(ムラナカユカちゃん、喜多川季子ちゃん)

よくできたもので、
役を離れても、しっかり者のリーダーで、
キャリアの浅い、チームの女子を、
がっつりまとめてくれていました。

キャスティングって、
まるっきり違うタイプの役を当てられる、
ってこともありますが、

なんとなく「それっぽい」人を、
当てることが多いんですね。

もちろん、本人たちとは、
似ても似つかぬキャラですが、
根っこに備わったリーダー性はまさに律子。

この2人を見ていて、
「リアルの強さ」を実感していました 
(きれいな写真がなくてごめんね


・・・と、話がずれましたが、

スタンプ帳も、名刺も、
ただチラッと見せるだけ。

見えるかどうかもわからないくらいです。


それでも、作るんです。

少しでもリアルにしたいし、
作ることで、何かを感じたいから。



うん・・・、結局、そこなんでしょうね。
何かを感じたいから、
とりあえず何でも、やってみる。




芝居の稽古って、
正解もなければ、完璧もない、

ゴールが見えないままで、
少しでも高みを目指し続けます。


そう。ゴールが見えないんです。


だから、当たるを幸い、
できることは全部やる(笑)

少しでも不安を軽減したくて・・・。

そういうもんじゃないか、と思います。




そしてもうひとつ、

たぶん誰も気づかないであろうけれど、
私がこだわった小道具がありました。


これは、不安だからではなく、
<こだわり> かな?

ここだけは、ゆるがせにしたくない、
という小道具があったんです。


   (つづく)







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ウラ話・稽古場編・・・たかが小道具、されど・・・(その2)

2013-09-11 00:31:17 | 舞台・ウラ話

小道具でたくさん使う、
介護関係のパンフレットをもらいに、
地元の区役所に行ってみたのですが、


  ・・・・・・どうして?


  ないじゃないのっ!


そう、ないんです。
そっち系のパンフが。


「なんとか教室」みたいなチラシが置いてある、
ラックをくまなく探しても、

 
  ないっ!


せっかく来たんだし、
(って、他に用事があったんだけど)
無駄足にはしたくない。

第一、資料探してる人だって多いだろうに、
こんなんじゃ、困るでしょ!


どうなってるの?と、イラつきながら、

近くにいた職員の人に尋ねました。


「あの、介護関係のパンフレットを探してるんですが」

「介護の、どういったものですか?」

「あ・・・、あの、全般的なサービスがわかるような・・・」

「ご家族の方ですか?」

「あ、まぁ・・・」

「お悩みなら、担当者がご相談に応じますから」

「あ、いえいえ、あの、まだ、大丈夫なんですが、
 ちょっと心配なこともあって、先に知っておこうかと」

「わかりました。じゃぁ、こちらへ」

「あ、いや、パンフさえ頂ければ」

「パンフを読んで頂くにしても、
 ちゃんとご説明してからの方がわかりやすいので」

「あ、はぁ・・・」


パーテーションのある、相談用デスクに通され、
パンフを1枚1枚めくりながら、

それはそれは親切に、説明して下さいました。



こちらは、

 それを聞きながら、


  いたたまれなくて・・・


(ごめんなさい!こんな不純な動機で)

でも、どうしてもほしい、この資料。
心で謝りながら、まじめに聞きました。



そして最後に、
「それでは、こういった資料もありますので、
 どうぞお読みください」

・・・と、また頂いたりして 


戦果としては申し分なし。

心はずきずき痛んだけど、

でも、教えて頂いた話、
ちゃんと覚えてますから!


何かあったときには、ちゃんと役立てます!

ホントにごめんなさーい!








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