愛知学院大学青木ゼミのブログ

愛知学院大学商学部青木ゼミの活動を報告するためのブログです。

Presence

2012年05月02日 | Weblog
海外に目を向ける多くの日本人がここ20年感じてきたのが,日本の国際社会におけるプレゼンスの低下です。日本にいると日本がアジアのリーダーで,世界の大国の一角を占めていると感じてしまいがちですが,それはもう神話のようなものなのかもしれません。

先日日本では野田首相の訪米とオバマ大統領との会見がトップニュースになったようですが,アメリカでは,管見の限り,その事実を報じた新聞記事を目にしませんでした。TPPは日本の国論を二分する議題になっていますが,アメリカでそれを報じた新聞記事は,日本から配信されたものを除けば,管見の限り皆無です。TPPについては,アメリカ政府と企業が日本市場を支配する謀略を練っているというような言説が日本にありますが,ほとんどのアメリカ人には「???」でしょう。推察するに,ほとんどのアメリカ人はTPPのことを知りません。アメリカ人の大多数は日本には関心がありません。知識も関心もないのに謀略も何もあったもんじゃないというところではないでしょうか。

野田首相訪米時,アメリカにおいてトップニュースになったのは中国における人権活動家のアメリカ大使館保護事件です。アメリカは中国には大いなる関心を持っているようです。経済問題でも優先順位が高いのは中国でしょう。残念ながら,日本については優先順位は低いという印象です。アメリカにおいて日本のプレゼンスはずいぶん低下しているようです。

言うまでもないことですが,国際的なプレゼンスを高めるためには,海外に日本人が出向くことが肝要です。滞在中のアーカンソー大学フォートスミス校では日本人留学生に出会います。20人はいるでしょうか。大きな大学ではないので,留学生の中では目立っています。正規学生だけでなく,交換留学生,語学研修生など立場は様々ですが,みなアメリカ人学生に交じって勉強しています。

うちの学生にも短期でもいいのでこちらに留学して欲しいと思います。アーカンソー大学フォートスミス校は愛知学院大学の提携校です。受け入れ態勢が整っています。その縁で私もこちらに滞在しています。

うちの学部の学生では,英語を高校時代きちんと勉強した経験のあるものはわずか2割ぐらいで,その2割の中でも英語が得意なものはほとんどいないことを把握しています。英語に対する苦手意識が先行して,とても留学を考えることができないのは理解します。しかし,フォートスミス校は留学生にそれほど高いレベルを要求していません。しかも,ELSと呼ばれる英語研修センターが併設されていて,基準に達しない学生はそちらで基礎から学ぶことができます。苦手な英語をこちらで学ぶという態度で学習に望めば,日本での不得意を挽回できるのではないでしょうか。こちらの学生や教員はとても親切です。人々のマナーはよく,治安は守られています。日本(すくなくとも名古屋)よりもそれらはいいと思えるほどです。生活上心配はないと思います。


なお,こちらでは,日本メーカーの車をたくさん見ることができます。FordやGMに並んで,Toyota,Nissan,Hondaが走っています。私が借りているレンタカーもNissanです。日本メーカーの車は日本車というよりも,アメリカで生産された現地の車として定着しているのでしょう。先達企業人の努力のたまものです。この産業ではまだ日本は踏みとどまっているようです。
コメント
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