自己PRは盛っても大した効果はない
就職活動と言えば、自己PRや学生時代に頑張ってきたこと。その時に、自分の学生生活があまりに「普通」だったことに愕然とする人も多いと思う。「自分なんて普通の大学生だし」「大したことやってきていないし」「そもそも自分に自信がありません」など不安な声をよく聞く。
大丈夫です。僕の感覚だと99%の大学生は大人から見たら、大したことはない。そもそも、就職活動は普通の中での勝負なのだから、あまり気負わないでほしい。「インターンシップで数百万円稼いだ」大学生も「学生団体をやって数百人を集めるイベントをした」大学生も「アジアで学校を建てるボランティアをしてきた」大学生も、実のところ、そんなにすごい話には聞こえていない。社会人の中では「よく聞く話」だからだ。
社会に出れば、「新規契約で20億円の商談を数件成立させた」人も「支店長になってエリア3000名のリーダーとして働く」人も「アフリカ大陸の9割の国で0歳児の死亡率を低下させるワクチンを開発した」人もいる。
そう、学生が思う「すごい」は、社会人から見れば「ほとんどが普通」なのだ。だとしたら「50人を100人に」話を盛った(大きい話に作り変える)としても、印象はそう変わらないし、採用側への強いアピールにつながるとは限らない。まずはそのことを理解しておくべきである。
ではどんな「普通の」経験をアピールすればいいのか?ほとんどの大学生が、サークル、バイト、勉強、部活、インターン、旅行、留学のどれかを頑張っている。そして、頑張り方も、出す結果も似ている。
最悪のパターンは、「やってきたこと」をゴマかそうとすること。自信がなくなり、面接官ウケの良さそうな強みや自己PRを、自分の経験の中からこじつけのように探し出すこと。それでも、大した経験がなさそうだと思うと、「テクニック」や「話を盛る」ことに終始すること。
たいてい、最初の数分は取り繕えてもすぐにボロが出る。なぜなら、採用担当者が見ているのは大学生が話す美談の裏に隠れた、本人の人間性の弱さや、失敗を見ながら面接をするからである。これを読んでいる皆さんもご存じの通り、人の真価とは、「弱さと向き合うとき」「失敗や困難と向き合っているとき」に出るものだ。
こじつけや盛ることで語られる武勇伝や美談には、採用側はたいして興味を持っていない。そんなことよりも、きみが、自分なりに学生時代を懸命に生きてきたかどうか。失敗やみっともない経験も含め、自分なりの「一生懸命」はあるか。何かひとつでもあるなら、絶対に大丈夫だ。大学生活や、高校以前の経験でもそう。彼らがした挫折や失敗、そして、それらを引き起こす原因となる「弱み」とどう向き合ってきたか。
挫折や失敗から「どれだけのことを学べたか(量と質)」こそがアピールになる。自分の弱みと「どれだけ向き合い、改善に努めたか」こそがアピールになる。これを忘れないでほしい。
(ダイヤモンド・オンライン 2013年 11月29日)
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就職活動時,ゼミ生はじめうちの学生にじっくり考えて欲しいテーマです。自分なりの「一生懸命」を認識することができるのか,そしてそれを語ることができるのか。
多くの学生は勘違いしています。就職内定で大事なのはスペックであると。学歴,資格,活躍,そういう点で目立ったものがないとそれなりの会社には採用されないと。
しかし,それは違います。企業をはじめ組織というものは,普通の人が集まって,大きな仕事を成し遂げる仕掛けなのです。スーパースターが揃っていて成り立つのではありません。独立したスーパースターだらけではかえって,力を結集することができなくなるかもしれません。
大事なことは,学生が,組織の現メンバーから,新メンバーとしてふさわしい人物であると判断されるかどうかです。つまりは,一緒に働き,協力して大きな仕事を成し遂げることができる人物であると考えてもらえるかどうかです。
だから,コミュニケーション能力が大事だといわれるのです。そして,一生懸命な人が望まれるのです。コミュニケーションのとれない人物,一生懸命でない人物とは協力できません。
仕事というものは失敗が続いた果てに成功があります。失敗のない仕事はありません。毎日が失敗の連続です。失敗からのリカバリーをきちんと行うことができる人が成功を導くのです。したがって,失敗ときちんと向き合うことができる人物が評価されるのです。
就職活動と言えば、自己PRや学生時代に頑張ってきたこと。その時に、自分の学生生活があまりに「普通」だったことに愕然とする人も多いと思う。「自分なんて普通の大学生だし」「大したことやってきていないし」「そもそも自分に自信がありません」など不安な声をよく聞く。
大丈夫です。僕の感覚だと99%の大学生は大人から見たら、大したことはない。そもそも、就職活動は普通の中での勝負なのだから、あまり気負わないでほしい。「インターンシップで数百万円稼いだ」大学生も「学生団体をやって数百人を集めるイベントをした」大学生も「アジアで学校を建てるボランティアをしてきた」大学生も、実のところ、そんなにすごい話には聞こえていない。社会人の中では「よく聞く話」だからだ。
社会に出れば、「新規契約で20億円の商談を数件成立させた」人も「支店長になってエリア3000名のリーダーとして働く」人も「アフリカ大陸の9割の国で0歳児の死亡率を低下させるワクチンを開発した」人もいる。
そう、学生が思う「すごい」は、社会人から見れば「ほとんどが普通」なのだ。だとしたら「50人を100人に」話を盛った(大きい話に作り変える)としても、印象はそう変わらないし、採用側への強いアピールにつながるとは限らない。まずはそのことを理解しておくべきである。
ではどんな「普通の」経験をアピールすればいいのか?ほとんどの大学生が、サークル、バイト、勉強、部活、インターン、旅行、留学のどれかを頑張っている。そして、頑張り方も、出す結果も似ている。
最悪のパターンは、「やってきたこと」をゴマかそうとすること。自信がなくなり、面接官ウケの良さそうな強みや自己PRを、自分の経験の中からこじつけのように探し出すこと。それでも、大した経験がなさそうだと思うと、「テクニック」や「話を盛る」ことに終始すること。
たいてい、最初の数分は取り繕えてもすぐにボロが出る。なぜなら、採用担当者が見ているのは大学生が話す美談の裏に隠れた、本人の人間性の弱さや、失敗を見ながら面接をするからである。これを読んでいる皆さんもご存じの通り、人の真価とは、「弱さと向き合うとき」「失敗や困難と向き合っているとき」に出るものだ。
こじつけや盛ることで語られる武勇伝や美談には、採用側はたいして興味を持っていない。そんなことよりも、きみが、自分なりに学生時代を懸命に生きてきたかどうか。失敗やみっともない経験も含め、自分なりの「一生懸命」はあるか。何かひとつでもあるなら、絶対に大丈夫だ。大学生活や、高校以前の経験でもそう。彼らがした挫折や失敗、そして、それらを引き起こす原因となる「弱み」とどう向き合ってきたか。
挫折や失敗から「どれだけのことを学べたか(量と質)」こそがアピールになる。自分の弱みと「どれだけ向き合い、改善に努めたか」こそがアピールになる。これを忘れないでほしい。
(ダイヤモンド・オンライン 2013年 11月29日)
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就職活動時,ゼミ生はじめうちの学生にじっくり考えて欲しいテーマです。自分なりの「一生懸命」を認識することができるのか,そしてそれを語ることができるのか。
多くの学生は勘違いしています。就職内定で大事なのはスペックであると。学歴,資格,活躍,そういう点で目立ったものがないとそれなりの会社には採用されないと。
しかし,それは違います。企業をはじめ組織というものは,普通の人が集まって,大きな仕事を成し遂げる仕掛けなのです。スーパースターが揃っていて成り立つのではありません。独立したスーパースターだらけではかえって,力を結集することができなくなるかもしれません。
大事なことは,学生が,組織の現メンバーから,新メンバーとしてふさわしい人物であると判断されるかどうかです。つまりは,一緒に働き,協力して大きな仕事を成し遂げることができる人物であると考えてもらえるかどうかです。
だから,コミュニケーション能力が大事だといわれるのです。そして,一生懸命な人が望まれるのです。コミュニケーションのとれない人物,一生懸命でない人物とは協力できません。
仕事というものは失敗が続いた果てに成功があります。失敗のない仕事はありません。毎日が失敗の連続です。失敗からのリカバリーをきちんと行うことができる人が成功を導くのです。したがって,失敗ときちんと向き合うことができる人物が評価されるのです。