愛知学院大学青木ゼミのブログ

愛知学院大学商学部青木ゼミの活動を報告するためのブログです。

名古屋マーケティング・インカレが終わった

2013年12月01日 | 名古屋マーケティング・インカレ
今年度の名古屋マーケティング・インカレ本大会が11月30日に開かれ,今年度の催しは終了しました。いつもは,会の経過を報告するのですが,疲労のため,細かなことを書く気力がなえているので,ここでは,感想をつらつら書くことにします。

1.全体
 全体的に,努力の傾注という点では,参加学生は頑張っていた。その点で,酷い発表はなかった。下限が例年よりも上がった印象。ヒヤリングやアンケート調査に苦労を重ねてきたチームがほとんど。文献もそれなりに読んでいる。全体的に努力については高く評価。ただし,「教員が望むような良い発表」はなかった。結果として,全発表のレベルは拮抗していた。
 質疑応答が例年以上に活発。発表時間と同じ時間質疑応答を行うようにした点がよかったか。

 
2.発表傾向
 昨年から増えていた戦略提案型発表が今年もさらに増加。予選から決勝まで,戦略提案だらけ。戦略提案コンテストの様相を呈している。これでいいのか? 会の趣旨は,大学教育の場で研究発表を競い合うということなんだが,それが変容していないか? 個人的にはこれはつまらないという感想。
 結局,学生には分かりやすいため,手掛けやすく,高い評価を得やすいので,戦略提案に飛びついているということなのか。論理に難があり,提案戦略も思いつきに近いのに,決勝に残っているものがあった。予選発表グループ内の他の発表はこれより劣っていたのか?といぶかったが,おそらく,内容のレベルに差がないため,具体的で分かりやすいチームが結果的に浮き上がったのだろうと想像する。為廣先生が中間発表会で指摘していた「下手な麻雀」から逃れることはできなかったのかと嘆息。
 日経新聞社編集委員の田中陽氏が,「戦略提案するなら,その実現可能性について,当事者の企業に見解を求めるぐらいはして欲しい」と閉会式で講評していたが,思いつきの提案に対する苦言だと受け止めた。戦略提案は具体的であればいいというものではないのだ。
 名古屋学院大のチームmousseに特別賞が与えられた。この意義を参加学生は考えて欲しい。このチームはマーケティングの競争地位別戦略類型に関する理論を正面から取り上げ,ケーススタディを手掛かりに,その自分たちなりの修正を試みた。残念ながら,関連理論の理解が足りず,消化不良を起こしていたため,決勝に残ったものの高い評価を得ることはできなかったが,教員はこの試みに好感を持っている。そのため,特別賞授与となった。理論を正面から取り上げて欲しいというメッセージだ。

3.最優秀賞
 今回の最優秀賞は,愛知大学為廣ゼミのかみひこーきだ。トイレに広告がないのはなぜだと考え,そこを広告スペースとして活用する可能性を模索する研究発表を展開した。広告代理店や販売店にヒヤリングし,トイレ広告がなぜないのか,実施するならば広告出稿の可能性はあるか質問して,可能性を探った。その後,学生を被験者として,トイレ広告の実験を行い,食品と非食品分野で商品に対するイメージ形成を測った。その結果,トイレ広告は,先入観とは違い,商品のイメージ形成に役立つことを明らかにした。最後に,パーキングエリアにおけるトイレ広告を提案した。
 決勝に残ったチームの発表の中では,もっとも論理がシンプルで,一貫していた。トイレ広告の可能性を示すために,先行研究に基づいて,実証実験を行った点も良かった。何より,「大人」が考えない,オリジナリティーのあるテーマを掘り下げた点が良かった。最優秀にふさわしい発表だった。
 ただ,最後のパーキングエリアにおけるトイレ広告の提案は蛇足だ。学生たちは何か戦略提案をしないとマーケティング研究発表にならないと思い込んでいて,実際そうしないと評価が下がる傾向にある。しかし,根拠の薄弱な内容を盛り込むと,全体論理を崩してしまう。今回もそれがあったのが少々残念。決勝における学生からの質問で,パーキングエリアのトイレで,はたして利用者の広告注目(attention)が得られるかどうかが不明であるが,そうならば,その提案は妥当ではないと指摘された。そこにうまく答えられなかったのが,蛇足であったことを表している。
 そんな提案よりも,日経新聞社の田中氏がアドバイスした,公共広告の可能性を最後に探った方が良かった。公共広告だと,広告主はトイレによる商品イメージの悪化を考えない(おそれない)だろう。

4.うちの学生
 愛知学院大の学生は,残念ながら,参加大学の学生の中では,能力発揮という点で,もっとも低かったという印象。発表内容やプレゼンテーションの面では,他大生とは大きな差はなかったが(それでも低い方),質疑応答では大きな差が出ていた。私が傍聴していた予選発表グループでは,愛知学院大の学生は質問を一つも発することができなかった。決勝でも,愛知学院大の学生の質問は不活発。数少なく発したものは,知識の確認や補足説明を求めるといったたぐい。発表における論理のおかしさを突くようなものはなかった。
 うちのゼミに目を向けてみれば,発表内容やプレゼンテーションで,最低レベル。実際,評価は最低。指導教員のレベルを反映しているだろうから,偉そうにここで書くと,お前が言うなとゼミ生が反発するだろうが,あえて書く。
 何がダメだったかというと,主張を根拠つけるための,インタビューやアンケート調査を本大会の1週間前から前日にかけてやっと行ったこと。あわててやった調査では,十分に練った質問ができず,穴だらけの不十分なデータしか取れなかった。仕方なく,不十分なデータに合わせて,主張の方を変更して,発表内容を構築。説得力があり,論理的で,面白みのある発表になるはずはなかった。
 このような結末になった理由は,堂々巡りの同じ議論をだらだら続け,研究目的を狭く明瞭にする決断が遅くなったことだ。5月と同じ議論を11月にもしていた。半年間全然進歩しなかったのだ。本大会2週間前にようやく見切りをつけて,無理にテーマを絞ったが,2か月遅かった。
 専門的文献をたくさん読み,理論を検討し,それを取り上げろと指示していたが,ゼミ生の能力を超えていたかもしれないと反省する。戦略提案型の発表ならば,テーマを自分たちで理解しやすいものにできたのかもしれない。思いつきの戦略提案を私が嫌ったため,ゼミ生はそれを回避した。中間発表会では,戦略に言及しないので,マーケティング発表としてふさわしくないと指摘されていた。その指摘に反論するだけの論理を持たないため,思考が揺らいでいた。結局,自分たちが理解できるテーマがなかなか思いつかず,本大会前に無理やりに設定。この状況では,ゼミ生は私の指導を恨んでいるだろう。戦略提案型の発表を勧めるべきだったのか。それでも同じ結果だったかもしれない。

5.成長
 いつもゼミでは,私は勝ち負けにはこだわらないと述べている。それよりも,ゼミ生には堂々とした発表を心がけて欲しいと繰り返し諭している。独自の明瞭な主張と,それを支える根拠を自分たちなりに示した,論理的な発表に向けて努力せよと。そのために頭を使い,体を動かし,自信を深めよと。なぜそういうかといえば,大学教育の場で行われている行事なので,大事なのは学生の成長だからだ。たとえ勝ったとしても,学生に成長が見られなければ,教育的意義は見いだせないのだ。今回も,負け惜しみで,勝ち負けにこだわっていないと述べているわけではない。
 今回ゼミ生の成長(知的発達)はあったのか。4月から始め,半年間は全然成長が見られなかった。厄介なことから逃げているような印象さえ持った。知的発達は見込めないと感じていた。11月に入り,自分たちの問題点を自分の言葉で語ることができるようになってきたので,少し成長したように感じた。しかし,私が指摘した10ある問題点を,せいぜい1から2程度(ぼんやり)理解しているレベル。自分たちで論理的に発表内容を組み上げることは相変わらずできず。本大会2週間前になって,無理やりテーマを絞った。私の問題点指摘を半分以上理解し,何とか発表内容の論理性を自分たちで顧みることができるようになったのは,本大会2日前。ここでようやく知的発達を確認。
 本大会後,ゼミ生の成長を考え,インカレの研究発表の検討を継続してもらう予定。人は失敗から多くのことを学ぶ。今回の失敗をきちんと把握し,その挽回策を考えてもらう。そして,今度は文章化してもらう。文章で論理的に説明してもらうのだ。


4月から始まり11月末に終了した今年度の名古屋マーケティング・インカレは大成功でした。本大会は今まででもっとも多くの発表者と参観者を集めた大きな会になりました。その幹事を務めていただいた名古屋学院大学濱ゼミの皆さんには感謝いたします。来年度も同様の催しが実現できることを願っております。

参加した学生に皆さんは,この経験を今一度振り返って,今後の能力向上につなげてください。就職活動に資するところ大だと思います。そして,卒業後の活躍にも何らかの役立ちはあるはずです。

うちのゼミは来年度参加できるかどうか不明ですが,参加できるように,現2年生の能力の養成やモチベーションの向上を図っていきたいと思います。
 

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