学校を卒業して
就職した僕は
序列でいくと
一番下っ端。
とにかく先輩たちに
可愛いがられる後輩で
いようと
素直さと先輩の太鼓持ち的な
要領の良さで
振る舞うようにした。
もともと要領が悪い僕だから
気前がいい奴だなぁと
思われるくらいが、
ちょうど良いと思い
先輩達に好かれようと
していた。
言うことを聞かないとか
素直じゃないとか
だと
孤立しちゃうし、
自分を、変えたい一心だった。
その思いが明確になったのは
やはり
トシくんとの付き合いで
学んだのだ
トシくんは年上の先輩や、年上の遊び仲間といい関係を築けるやつで
僕には羨ましく見えた。
高校の時もクラブの先輩は
いたけど
不良すぎて
クラブに顔出さない人たちだったし、
年上の先輩との繋がりが
なかなか
なかったわけだ
だから
上の人たちから
可愛がられる後輩でいたい
という思いが
強かった。
そして就職して
職場の先輩と仕事を通して
コミュニケーションを深め
ある時
バレー部で一緒だった隣の職場の
U田先輩から
誘われたことがあった
U田先輩と僕の直属の先輩のW辺先輩は
寮生で同室だった。
そのU田先輩から
休みの日
手伝って欲しいという要請があった。
ちょうど
あの日もこのくらいの季節だったか…
U田先輩の実家は米農家で
跡はついではなかったが
ちょうど田植えの時期に
人手が欲しいという事だった。
その前に畑の草刈りとか
の人手が欲しいという
こともあり、
急遽、W辺先輩と僕に
お声がかかった
「休みの前の夜から
出かけて実家で夜のうち泊まって
朝イチから
夕方まで農作業をお願いしたい。」という
ことだった
車は二台で
行く事に…
仕事が終わり僕は一旦
家に帰り着替えて
車で先輩の寮へ
向かい
行きはU田先輩の車に乗り込んだ
僕。
片道2時間半の帰郷。
♫走り出したら
何か答えが出るだろうなんて
俺も当てには
してないさ してないさ
カーステレオから
SHOGUNの
「男たちのメロディー」だ!
今でこそ
テレビ「鉄腕DASH」TOKIOの番組でよくBGMでかかる曲
だけど
当時は
クリエーション
と
SHOGUN
を好んで
聴く人は多かったかな?
面白いことに
僕の直接の上司で先輩の
W辺先輩は
以前ブログでも書いたけど
クリエーションの
「ロンリー・ハート」という
曲がお気に入りで
車に乗せてもらうと
その曲がオートリバースのカセットで永遠に
ループして
ずーっと
聞かされていた悪夢のような
拷問のような
経験をした僕に
今度は
U田先輩の車のカーステレオで
SHOGUNの「男たちのメロディー」
を無限にループで聴くハメになるなどとは
夢夢思わず…
寮の同室コンビの先輩の
似なくていい変な
趣味と悪癖に
後輩の僕は
「これ、もう飽きたから
違う音楽聞きませんか?」
などとは
言えなかった小心者だった。
可愛い後輩は
ただ先輩が気分よく
振る舞えることを
サポートすることと
我慢していた。
それは
U田先輩が
無限ループの
「男たちのメロディー」の歌に合わせて
ノリノリで歌いながら
夜の高速を
ぶっ飛ばしていたから…
この一曲を何度も何度も歌い、
2時間半。
僕は助手席で
ヘキヘキしていた。
後ろからはW辺先輩が
ピッタリと追走してきてた。
多分先輩のカーステレオからは
ロンリーハートが
無限ループしてるんだろうな
と思ったら
身震いしてきた。
あゝ帰りはW辺先輩の車に乗るわけだ…
良い後輩でいることは
ツライなぁ〜
そうしみじみ思った
ちょうどこんな季節での
出来事。
そして
男たちのメロディは
ループする