あぽいち

温泉とヨガ、たまに心臓外科医

勇気ある撤退

2022-01-28 19:13:00 | 術者、勉強になった症例
本日は金曜日ですのでステントグラフトの日であります。
弓部の瘤で1deb Zone2の予定でした。
アクセスがかなり細いため現行で最も細いTXアルファのデバイスを選択して、いろいろと準備して挑みました。
同径のダミーシースが通過したらデバイスを出すつもりでしたが、全く通らないため、ひたすらPTA、それでも通過せず。
一部石灰化が2/3周のところあり、割れたら何とかなるかなと思ってましたが、リコイルしてしまうようで。
VBX入れてPTAと言う準備もしてましたが今回は無理せず、ここで辞めて仕切り直すことにしました。
途中でダミーシースが削れて傷だらけなことに気がついてしまった。かなりの石灰化です。
それを見たら無理はやめようと。
ステントグラフトで無理すると泥沼にハマってしまい低侵襲ではなくなってしまいます。
トラブルを起こす前なら、撤退できることもカテーテル治療のメリットの一つであると言い聞かせて。
次回は計画的にお腹開けてコンディットを建てて行う予定です。

3例目

2022-01-27 19:51:00 | 術者、勉強になった症例
本日は3例目の3D MICS MVPとなりました。
今週も豊橋ハートセンターのホープ、後藤先生に来ていただき、ご指導いただきました。
今回は人工腱索で一発OKとはいかず、リングをつけた後に一度外して長さを2-3mm延長して、再度付け直して見事に逆流消失です。
3Dだとリングつけた後でも弁下組織の乳頭筋の操作も問題なく出来まして感動。
これなら取り敢えずある程度の形を整えてリング付けてから考えると言う方針で良いですね。これまでとは概念が変ります。
そんなこんなでも、オペ時間3時間半、前回2回より1時間早く終了で、たまたま毎週あるので、チームみんなが慣れてきたかな。
なんと言っても傷が4センチですのでポンプ降りてから10分ぐらいで傷が閉じれてしまうので楽です。

89歳と超高齢の方でしたが、2時間ほどで抜管できて、トラブルなければ、この方も4、5日で退院できそうです。

3D

2022-01-20 17:56:00 | 術者、勉強になった症例
今日も3D内視鏡での僧帽弁手術です。
ほんとにストレスなく、思い通りに手技ができます。
逆流もバッチリ止まってホッとしました。
ほんとによく見えて、一昔前と比べて、形成の難易度は下がりますね。

まだまだ時間がかかりますが、これから無駄を無くしてルーチン化していきます。


3D内視鏡の威力

2022-01-13 20:03:00 | 術者、勉強になった症例
本日から当院でも3D内視鏡による完全鏡視下による僧帽弁手術が開始になりました。
4cmの傷から弁形成できます。ついにウンドリトラクターXSサイズの登場です。

今日は豊橋ハートセンターの後藤先生に来ていただき、ご指導を受けました。
3Dかつ4Kハイビジョン本当にすごいです、なんの違和感もなく、普通に縫えます。
5、6年前は2Dでの鏡視下で指導を受けていたこともあり、視野が出てしまえば、もうドアップで、組織が見えますので、正中切開より操作性は抜群です。
この、セッティングを完成させたろ名古屋第一日赤のお師匠、大変な努力と試行錯誤があったと思いますが、丸ごとコピーさせていただきます。

ちなみに後藤先生、術後3日で退院もできるとのこと、目から鱗、圧巻であります。
これから毎週、弁形成入れてますので、いっきに習得していきたいと思います。

3年ぶりの豊橋ハートセンター

2022-01-06 16:40:00 | 術者、勉強になった症例
今日はG先生のMICS-AVRを見学です。
入室から30分で消毒開始、50分でオペスタートです。今のうちの施設では早くて90分はかかるので、おおよそ倍はかかってる。ほんとはコメディカルを連れて、オペスタートまでの段取りとか見て欲しかった。今回は急で無理でした。あと診療看護師NPが麻酔管理しているので、その働きっぷりとかもね。
そして、ポンプまで15分、心膜開けて、遮断まで32分でした。

ぶっちゃけ内視鏡は右の心筋保護の時の使用といった感じでした。
胸壁をこうで前方にトランスロケートしてまして、ほぼ前方切開に近く、大動脈は近く感じました。
6年ぐらい前に少し前を切ってやってた時期がありましたが、傷が前に来るし大胸筋を切らないといけないので、また腋窩に戻してましたが、こうで引っ張ればいけるのね。アームがもう一つ必要になるけど。
今度やってみよう。

ルート針で裏を突くなど、やや出血などありましたが、それでも3時間で終了。うちなんかより遥かに、全てが早いです。
13時には終了して退室。
これなら2件いける。少し昔のペースを思い出しました。

オペ終わると、HSのS谷さんが、お土産持って会いにきてくれました。ありがとー。
2例目までの間にみんな昼食タイムです。
懐かしの黒田屋へ案内してくれました。10年ぶりの地獄ラーメン中辛ご馳走になりまして、私はここでお別れ、駅まで送ってもらいました。


来週はG先生に3D内視鏡の指導に来てもらいます。楽しみ。

院長、副院長、事務長、、秘書さん、内科の部長先生方、みんな元気そうで、昔と変わらず温かく迎いいれてくれて感謝です。
また、時々勉強しに行こう。
今度はスタッフ連れてね。

もくもく

2021-12-10 23:51:00 | 術者、勉強になった症例
今日はステントグラフト一件でしたが、途中ショックとなり心臓止まりかかりましたので、オペ中断、術中破裂を疑って手技を終えてしまおうかと思いましたが、破裂所見はなく造影剤アレルギーと判明。
無理は禁物です、押し切ることも考えましたが、まだデバイスも出していませんでしたので、ここは冷静に勇気ある撤退で仕切り直すことにしました。
ステントグラフト中の造影剤アレルギーは、これで3例目ぐらいでしょうか、忘れた頃にやってきますので、いつでも疑って対応できるように、頭の片隅にしまっておかなくてはいけません。

無事にその後は回復してくれましたので、
夜はオペスタッフとホルモン焼きで反省会、店内は煙でもくもくですので、すぐ洗濯できる汚れ着に着替えて燻されました。

美しい

2011-11-10 17:43:08 | 術者、勉強になった症例
いろいろと感染対策をこうじて、しばらくの間調子良かったのですが、一年半ぶりに縦隔洞炎が出てしまいました。
長らく感染がなかったという気の緩みもあるのでしょうが、この症例は緊急手術の方で術前の入院中から熱が出て、カテーテル先端の培養から菌が出ておりましたので、仕方がないといえば仕方がないのですが。
ちょうど院内で既製品のVACの説明会などを始めた時期でもありましたので、さっそく導入しましたが、かなり好印象ですね。
以前、5-6年前も自作VACで挑戦したこともありましたが、エアータイトにするのがなかなか難しかったり、離床ができなかったり、当時はVACという概念自体にスタッフの理解が得られなかったりと、色々問題があり、なかなか受け入れられませんでした。
やはり企業が介入すると、しっかりとした製品とデータとそろっておりますので、急速に浸透しますね。
私の印象としては、以前の自前のものと比べて、何よりも見た目が美しいということと、そして患者さんの負担がかなり軽減されるということですかね。
保険的には最大で4週間とのことですが、ただ、なかなかどの時点から開始して、どの時点で終了にすればよいのか、まだ、はっきりとした判断が難しそうです。
やってみると細かい問題は、ちょこちょこあるもので、振動音がうるさく夜間に迷惑になることや、スポンジの加減や皮膚のトラブルなどなど、これから色々と学んで生きたいと思います。
まー、感染を起こさないことが一番ですがね。

今週も充実

2011-11-09 10:45:28 | 術者、勉強になった症例
今週もバラエティにとんだ症例が7例入っています。うち3例は、これまた透析ということで、外科だけで透析入院が6人となりMEさんも大変です。私の担当は透析のCABGとDVT合併した腸骨動脈瘤となりそうです。今日は久しぶりにボスが執刀するとのことで、勉強させていただきます。先日のCABGは術前のCAGでもLADが心尖部までずーと石灰化してまして、ここしかないという隙間を見つけて、冠動脈を開けてみたはいいものの、壁厚が全周性に分厚くておそらく2mmぐらいでしょうか、切開してもなかなか血が出てこず、サイドを切ってしまったのかと、一瞬、あせりましたが、分厚いだけでした。左右の側面のどちら側かだけ分厚い症例というのはときどき遭遇しますが、全周にわたって分厚い方は、初めて遭遇しました。
前後は石灰化が強くてあまり大きく開けられませんので、余計、開かず、内腔は見にくかった。
分厚いぶん、かなりダイナミックに吻合することになったので、まるで膝下の末梢血管の吻合のようで、ある意味、楽ではありました。まー、ボスが麻酔側から見ててくれて、いろいろとアドバイスしてくれたので、助かりました。ほんとに一人だったら、どうしたかな。まー、やるしかないんだろうけど。
また、ダイヤモンド吻合について、あまり好きでないのでなるべくやらないようにしていたのだが、先日はやらざるを得ないので、やりましたが、一応、理論上はグラフトの直径ぐらいまでは切開してよいということになっていますので、思い切って大きく切って見たら、意外と難しくありませんでした。視野もいいし、8針の運針部位が決まっていますので、わかりやすかった。
これからも自信もってやれそうです。

2本バイパス

2011-11-04 06:37:16 | 術者、勉強になった症例
今週は前半にA型がきてオペとなり、6件の手術となりました。私は2枝のバイパスと傍腎動脈AAAの担当となりました。
CABGはボスも部長も忙しく、手術に入れないとのことで下々でやりましたが、吻合は12分、14分でトラブルなく3時間ぐらいで終了、術後の経過もよさそうです。上司に指導されながら胸を借りて手術するのも勉強になりますが、こういう状況も別の意味で勉強になります。何もトラブルなければ、かえって緊張せずにリラックスしてできるということもありますが、調子に乗ってはいけません。AAAは最近はEVAR症例が増えて、外科に回ってくるのは、こうした腎動脈がらみやASO、血管の正常の悪い症例に限られてきて、難易度は急激に上がってきています。なかなかレジデントに回せる症例も少なくなってきました。時代の流れですので仕方ありませんが、本当に何でもかんでもEVARがベストかどうかはわかりません。確かに侵襲は少ないので開腹術が不可能な症例には良い選択ですが、根治という点では疑問が残りますので。現在、開腹術の成績もけして悪くはありませんので、おそらく、いずれは冠動脈の領域と同じようなところに落ち着くのではないかと思います。

B型の恐ろしさ

2011-11-04 06:14:18 | 術者、勉強になった症例
先週末の足のバイパスをしたB型解離の方はイレウスとなり、AMIとなり、冠動脈のPCIと解離した腹腔動脈と上腸間膜動脈にステントを留置する羽目となり、大変な経過となりました。解離というのはホントに経過中に何が起こるかわからないもので、合併症の玉手箱のような疾患であります。
腸管の虚血に対しては外科的には、虚血に陥った腸管の切除、開窓術を行い、それでだめならバイパスというのが、現在のところやれる手段と考えますが、広範囲に腸管の壊死が始まっているケースでは、腸管切除しても厳しい成績のようです。また、私もB型は何があっても保存的に見ることが多く、開窓術やバイパス、腸管切除といった経験が少ないので、なかなか積極的に手術に踏み切れないこともあります。ただ、やはり、怪しいときは積極的に開腹することが必要だと今回思いました。

足もう一例

2011-10-29 05:50:37 | 術者、勉強になった症例
夜中に足の詰まったB型が来ました、下々がおりませんので、わたくし最初に呼ばれました。呼び出されたのは1時ぐらいでしたが、なかなか搬送されてこず、結局始まったの3時でした。発症から5時間近くたって、チアノーゼが強かったですが、MNMSには至らず、良かったです。今、ようやく指示も出し終わりましたが、もう2時間後には外来だー、今日はつらい外来になりそう。

良くなりますように

2011-10-28 18:38:28 | 術者、勉強になった症例
今日はFP一本で午前中で終了でしたので、現在フレックスになっているオペ室スタッフとランチに行きました。
いつも、午前様近くまで頑張っているのだから、たまにある、こういう日はお日様がまだ高いうちに外でランチしたって罰当たんないはず。
これで足の潰瘍も良いくなるはず。こういうのはバイパスするとみるみる良くなるので、うまくいくとうれしいものです。でも合併症怖いけど。
来週もなんか血管手術が多めでわれわれ下々の出番であるが、ひざ下のFPも2件あります、静脈とって、血管出して、吻合してとやっていると、結構時間かかります。ひざ上なら1時間で終わりますが、ひざ下になると2-3倍かかるわな。でも、まー、心臓と比べると気は楽だな。たまにはいいもんです。


モロー

2011-10-27 20:07:16 | 術者、勉強になった症例
今週は6例となり、また少し忙しくなってきました。
先日、AVR+モローを担当させていただきましたが、左室中隔を削るのはやはり恐ろしいものです。
穴が開くのを恐れて、10*5*5mm程度と、ちょっとしか切除できませんでした。
術後のTEEでは少し平坦になっていましたが、どうでしょう、退院前のエコーで圧格差がどれぐらい減少しているか気になるところであります。
明日は末梢血管のバイパスがあります。下々がセミナーでいませんので、担当させていただきますが、透析のガチガチで、すでに潰瘍ができている方ですので、きれいに流れれば傷も治ると思いますが、ちょっと大変かもしれませんし、術後の感染には注意しなければいけません。

CTO

2011-10-19 19:09:33 | 術者、勉強になった症例
今日のCABGは2枝CTOで4枝バイパスの方でしたが、やはりCTOの血管は普通とすこし攻め方が変わるものです。今日はボスに前立ちに入ってもらいました。ボスに前に立たれると、プレッシャーがかかり、やや平常心を保てなくなりますが、やはりいろいろと勉強になります。CTOの吻合についていろいろと教えていただきましたので、メモ代わりに。
1、まず、ほとんどの場合がCAGでひょろひょろとしか造影されず、もともとはそんなに細くなかったはずで、実際に心表面を走行している血管を露出してみると、それなりに太いのですが、開けてみると血管壁は肥厚していて、内腔は造影の通りということです。
2、内腔が狭いのでメスも尖刃で開けようとすると、うまい具合に内腔に刺さらず血が出て来なくて焦ることもあり、できれば円刃でこすって広い範囲を開けたほうが無難。
3、CTOの血管壁は太いくせに弱く裂けやすいという特徴がありますので、運針にはかなり注意が必要、ちょっと乱暴にするとすぐ避けてしますし、内膜も厚いのでバイトもいつも以上に取らざるを得ない。針はそっと置いてくるように運ぶ、まー、どんな血管でもそうすべきなのだが。
4、冠動脈の切開する位置についても、当然、術前にCAGでどこが開いているか確認して、狙っていくのだが、切開した後にバックフローがあったとしても、末梢側に1mmを入れて末梢まで行くことを、確認することが必要。
5、コラテがかなり発達していて、バックフローも多いので、スネアは吻合口のぎりぎりにかけないと、出血が多くて困る。シャントを入れれば出血のコントロールはできるが、血管は開かないし、狭いし、厚い内膜をしっかりと取らないといけないので、運針の難易度が一気に上がります。


ツンツンはいかんね。

2011-10-19 18:28:47 | 術者、勉強になった症例
先週、今週と学会やライブなどで、週3-4例のみで、暇です。おのずと執刀もあるかないかのであります。本日は自分でMTしたCABGでしたので、担当させていただきましたが、思えばちょうど一カ月ぶりで、今朝、ビート君で4本程度練習しておいたのだが、やはりしばらくやっていないと、針のキャッチボールがへたくそになりますね。4本繋いで、時間的にはいつもとあんまり変わらんが、絶好調ではなかった。SVGがいまいちでしたので、LITAを欲張って#14-#15と繋ごうとして、#14にツンツンで吻合したら、引っ張られて糸が緩んでしまいまして、一針追加してみましたが、じゃじゃ漏れでしたので、潔くすぐに縫い直ししました。ぎりぎりで吻合するときは糸の緩みや、吻合後も不用意に扱うと裂ける可能性があるので注意ですね。たまには練習しないといけませんね。そろそろ来年の学会の演題締め切りが、いくつか迫ってきていますので、この暇な時期にデータを集めますか。あ、でも専門医の勉強のほうが優先かな。