あぽいち

温泉とヨガ、たまに心臓外科医

脊髄障害

2009-11-25 18:43:41 | Weblog
先週担当させていただいた、下行大動脈瘤の解離の方が、脊髄障害を合併しました、術後両下肢の動きは確認できたので対麻痺は無いと喜んでいたのですが、いざ離床しようとしたら、左足に力が入らず不全麻痺、また、尿バルーンを抜いてみたら、尿意なく膀胱パンパン、そして、よくよく聞いてみれば排便も感覚無しとのこと。
神経因性膀胱には、とりあえず、ハルナールとウブレチドを処方して経過をみてみることに。
一瞬、車椅子に便尿垂れ流しになってしまうのかと、やや絶望的になりましたが、連日、リハビリを続けたところ、なんとか今日は歩行器でなんとか歩行できるまで、力が戻ってきました。
また、今日は排便感覚も少し戻ってきたようで、なんとかいけるかもしれません。
明日は膀胱訓練を試みてみようと思います。

日曜の夜中にやったAAAの破裂も、なんとか2日目に人工呼吸器を離脱できて、今日から氷片などはじめました。

double barrel

2009-11-25 18:22:34 | Weblog
今日はB型慢性化解離のAAAでした。
メタボでしたが12cmの切開でいけました。
偽腔開存型で左外腸骨は完全に偽腔からの血流となってましたので、中枢も末梢もいわゆるdouble barrelにして吻合しました。
もう解離の発症から数年が経っていましたので外膜はそれなりに安心して吻合することができました。
慢性解離の症例は私自身、数例しか経験したことありませんが、だいたいにして、隔壁があるせいなのでしょうか、中枢の遮断が遮断鉗子一本では止まらず、2本必要となることが多いです。
また、術前にCTを穴が開くほどみて、真腔と偽腔との位置関係、解剖を頭の中に叩き込んでおかないと、偽腔は開くけど真腔がどこかわからんという事がありますので。それに末梢まで解離している場合は、どういう再建をするか考えなくてはいけません。
今日は末梢もdouble barrelにして瘤壁で縫いこむようにして、無理やりストレートで終わらせました。
今日は外膜吻合という事でちょっとinclusionで縫うのは不安で、基本どおり全部、テーピングして離断してから吻合したので、その分、剥離面が多くなりますので、周囲からの出血も増え、時間がかかり3時間を越えてしましました。
破裂以外は、どんなAAAでも小切開で3時間以内で終わらせるのが目標です。

結果的には外膜は年代もので、かなりしっかりしていて、テーピングも離断も必要なかったと思いますが、まー、よしです。