あぽいち

温泉とヨガ、たまに心臓外科医

しめ

2015-12-29 16:47:31 | Weblog
今年の締めはEVARでした、両側内腸骨のコイルもやりましたが、これはいつになっても難しいね。ただ、デバイスがどんどん良くなるので助かるけど。

今年は自分自身の異動もあり、激動の一年でした。
異動して3カ月余りで26例ぐらいなので、まだまだですがね。

いろいろあったけど、悪くない一年でした。たぶん。

破裂

2015-12-29 16:27:50 | Weblog
先日、大動脈の緊急が三軒続いた真っ只中、その翌朝に破裂きまして、なんと珍しい膝窩動脈瘤の破裂です。スクワットしてたらブチンっといったとのこと、しかも3日前の話、意識消失して救急搬送された病院で、何かが切れてるといわれたけど、お家に帰されて、だんだん腫れてきたとのことで、朝方救急車でやってまいりました。
同じところに行かなくて良かったね。とりあえず、破裂なしているものの、バイタルは落ち着いているし、一度、保存的に見て予定手術に組み込むということで、先日、やりました。
膝窩動脈瘤、私もさほど経験があるわけでないので、おさらい。
末梢動脈瘤の8割、半分は両側にある。3割で大動脈瘤合併、半分は下肢虚血で来院、破裂はわずか1-2%、破裂しても致命傷になりにくいが、塞栓症が多く3-7割、下肢切断の可能性もある。
手術適応は20-30mmともいわれるが、明確なものはなく、15mmでも下肢虚血の報告はある。経過観察中に半分は下肢虚血発症、しかも8割が2年以内ということで、見つかり次第、手術を考えてもよいかも。
アプローチは内側か後方かだが、内側は慣れた方法ね、でも視野が悪いかも。後方は視野はよさそうだけど、慣れないし、神経もいるしね。
まー、慣れた方法がよいかも。
グラフトはね関節を超えるのならば、当然良いSVGがあればSVGの方がよいでしょうが、8mm以上の人工血管なら変わりないという報告もね。ちなみに同側のSVGは、瘤によるDVTの可能性があって、取るのやめた方がいいという説もあり。
緊急などで致し方なく、瘤を空置した場合は、、、、私も昔あるけど。残存瘤の拡大率は3.6-30%と幅広い、、、、破裂は3%らしい。さらに破裂例では緊急避難的なendvascularも悪くないらしい、日本ではカバードステントね、ないけど。太さによってはEVARのLEGでもいけるかもね。

以上、勉強になりました。

まれ

2015-12-29 16:13:15 | Weblog
先日、心臓のprimary malignant tumorの症例を経験しました。あのメイヨークリニックからの報告でさえ、32年でわずか34例です。
迅速病理でRhabdomyosarcoma 疑いとのことで、中でもかなり稀です。完全切除しました。
中隔内に発生40mm程度ですがRA,LAに浸潤していて、IVCは離断されRA,LAごと切除、房室間孔まで行ってしまい、危うくコロナリーもかと思うぐらい。幸運なことにM弁、T弁、PV,冠動脈と無事でCSは、入り口は無くなったけど何とか残せて、最後は落ち着いて牛心膜を使って元の心房と中隔を一つ一つ再建しまして、何とかなりましたが、助手をしながら助言をくれた後輩たちに感謝です。正直、心房がなくなった光景は恐ろしかった。そしてこれでも普通に動く心臓ってすごい、と改めて感じた。
primary の予後は1年前後とあまり芳しくないようですが、多くがAngiosarcomaであって、Rhadbomyosarcomaは報告も少なすぎて、何とも言えません。
11年目に再発したという報告もあり、何とかなってほしいです。