前回、将来を予想する世界である資産運用においては、AIの活用の仕方を間違えると大変なことになると申し上げました。
その最たるものが「すべてAIにお任せ運用」というタイプの運用商品。すなわち、世の中の神羅万象をAIに覚えさせて、その動きと、株式・金利・為替等の動きの関連性を把握して投資結果を得ようとするもの。最初は富裕層向けヘッジファンドに出現しましたし、今では個人向けの投信にもこのタイプが幾つか出ています。しかし、ご案内のとおり、あまり芳しい結果が得られていないため、投資家から多くの不満が噴出しています。
神羅万象と有価証券の関係を探す作業自体は、面白い試みです。むしろ、世の中のクオンツ系運用会社は、そうした分析を何十年も毎日毎日行いながら、様々な運用モデルを作ってきました。その活動を合理的に、かつ効率的に行う上では、AIは活用すべき大切な技術であります。しかし、AI技術の基礎ともいえる機械学習、そしてディープラーニングによって得られた、神羅万象と有価証券の関係式では、どの因子とどの因子が関係してどのような結果に結びついているのかという因果関係が、一切判明しません。したがって、クオンツ系ファンドマネージャーは、それらの因子・因果関係について「仮説」を立てて推測していくことに向き合っています。
立てた仮説が正しければ、かなり普遍的な法則を導き出せることになりますが、なかなか正しい仮説に到達することはできません。ここが人間の力の見せ所なのですが、この仮説を立てる力=仮説力、こそがAIでは不可能な領域であり、人間の存在意義を見せる分野なのです。
ところで、神羅万象と有価証券の関係自体は一定ではありません。パラダイムシフトにより法則性が激変するケースが多々あります。かつて「円高=株高」だった日本市場が、今や「円安=株高」が常識となっています。したがって、例え人間が高い仮説力で「真理」に迫ってみても、世の中では一定期間が経つと「真理」自体が変形していくのです。これを追いかけて、AIだけの力で将来を予測させることは、まず無理だと考えて良いと思います。
このように、すべてをAIに任せる運用商品、というものに出会ったら、これは「怪しい商品」だと思ってまず間違いありません。すでに投資信託などには、こうした商品も出回っていますので、個人投資家の方は是非お気をつけ下さい。
その最たるものが「すべてAIにお任せ運用」というタイプの運用商品。すなわち、世の中の神羅万象をAIに覚えさせて、その動きと、株式・金利・為替等の動きの関連性を把握して投資結果を得ようとするもの。最初は富裕層向けヘッジファンドに出現しましたし、今では個人向けの投信にもこのタイプが幾つか出ています。しかし、ご案内のとおり、あまり芳しい結果が得られていないため、投資家から多くの不満が噴出しています。
神羅万象と有価証券の関係を探す作業自体は、面白い試みです。むしろ、世の中のクオンツ系運用会社は、そうした分析を何十年も毎日毎日行いながら、様々な運用モデルを作ってきました。その活動を合理的に、かつ効率的に行う上では、AIは活用すべき大切な技術であります。しかし、AI技術の基礎ともいえる機械学習、そしてディープラーニングによって得られた、神羅万象と有価証券の関係式では、どの因子とどの因子が関係してどのような結果に結びついているのかという因果関係が、一切判明しません。したがって、クオンツ系ファンドマネージャーは、それらの因子・因果関係について「仮説」を立てて推測していくことに向き合っています。
立てた仮説が正しければ、かなり普遍的な法則を導き出せることになりますが、なかなか正しい仮説に到達することはできません。ここが人間の力の見せ所なのですが、この仮説を立てる力=仮説力、こそがAIでは不可能な領域であり、人間の存在意義を見せる分野なのです。
ところで、神羅万象と有価証券の関係自体は一定ではありません。パラダイムシフトにより法則性が激変するケースが多々あります。かつて「円高=株高」だった日本市場が、今や「円安=株高」が常識となっています。したがって、例え人間が高い仮説力で「真理」に迫ってみても、世の中では一定期間が経つと「真理」自体が変形していくのです。これを追いかけて、AIだけの力で将来を予測させることは、まず無理だと考えて良いと思います。
このように、すべてをAIに任せる運用商品、というものに出会ったら、これは「怪しい商品」だと思ってまず間違いありません。すでに投資信託などには、こうした商品も出回っていますので、個人投資家の方は是非お気をつけ下さい。