金融マーケットと馬に関する説法話

普段は資産運用ビジネスに身を置きながら、週末は競馬に明け暮れる老紳士の説法話であります。

【雑感】ゆとり世代、けして舐めてはいけません。

2019-03-15 07:44:51 | 雑感
 私は資産運用会社と、同じグループ内の信託銀行のマネジメントを兼ねており、日々の仕事の中で所謂「ゆとり世代」の若者たちと時間を共にする機会があります。
 この「ゆとり世代」の方々に対して、非常に厳しい意見を持つ層がいることは私もよく認識しておりますが、私の意見を申し上げれば、実は「ゆとり世代」に対する印象はけして悪くはありません。理由は幾つかあります。

(1)一般論として、高齢者から若者に対する評価は、いつの時代も厳しい。
 いつの時代でも若者に対する見方はバイアスがかかるもの。そこは割り引く必要があります。ちなみに私の世代は「新人類」と呼ばれ、おじさん達からは感性が理解できないと言われました。「ゆとり世代」を特別に異質と評する主張に賛成する気にはなれません。

(2)ゆとり世代は、相手が誰だろうとおかしいと思ったら反論してくる。
 彼らは課外活動に時間を取った世代で、アメリカばりのディベートの時間もあったようです。その結果、相手が上司だろうが先輩だろうが、おかしいと思ったら堂々と反論するように教育を受けています。
 私たちの世代は、おかしい上司や先輩に対しては、その場ではヘイコラしますが、裏で悪口を言いまくるというやり方しかできませんでした。ここは圧倒的にゆとり世代が正しい。

(3)ゆとり世代はネット世代であり、「自らに発信力・発想力さえあれば、いつでも世界を変えられる」と信じている。
 ここは一番、目を見張るところです。彼らにとって世界を変える力は、自らの発信力・発想力だと確信があります。
 私たちの世代は、まず地位や財力を得ないと誰も自分の意見などは取り入れてくれないと諦めていました。そのため、世間の自分を見る目を変えさせようと、無理して外車(もちろん中古ですが)を買ったり、アキャスキュータムのコートを買ったりしたものです。
 ゆとり世代は親から引き継いだ財産や地盤に価値を見出しません。そんなものより、本源的な力は自分で育てないといけないことを知っているからです。ここも彼らの方が潔い。

 唯一、自分たちの世代の方が強いと感じているのが、「理不尽な扱い」に対するストレス耐性。あの頃は、部活でも仕事でも先輩から理不尽な行為を受けるのが当たり前でしたから、理不尽さをいかにうまく捌いて前に進むか、というテクニックは自然と身についたものです。
 ゆとり世代の若者たちは、そうした理不尽さに出会う機会があまりに少ないために、社会人になってからオヤジやオバはんたちから受ける理不尽へのストレス耐性が弱いのです。

 ここだけを取り上げて、彼らを下げずむのはもう止めましょう。
 我々が自慢している能力は、言うならば「牢屋の中で、牢名主と上手くコミュニケーションを取る能力」に過ぎないのですから。 

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