金融業界のデジタライゼーションは、すでに我々の目に見える現象として起きています。
分かりやすいのが、ネット証券とFX業者のマーケット奪取。かつて。一般消費者にとって株を売り買いするのは四大証券の店頭マーケットでした。また、為替取引のメインは東京銀行や三菱銀行の都銀窓口でした。しかし、今、一般投資家が自らの意思で株の取引、為替の取引を行おうとすれば、楽天証券やSBI証券、あるいは数あるFX業者に口座を作りますので、かつての店頭市場はほぼ消えかけています。
これは、インターネットの発展と、それを見越した起業家の努力で、市場のパラダイム変革が起きたからですが、この現象は「金融市場のデジタライゼーション」の一部と定義して良いと思います。すなわち、デジタライゼーションとは、既存のマーケットを破壊して、新たなマーケットの創造と、一般消費者に対して既存の手数料水準の破壊をもたらす事象(価格破壊が起こるという意味)であると定義できると思います。
そして現象面として見逃せないのが、かつての既得権益者であった四大証券や都銀が、その既得権益分野を捨てられなかったばかりに、新たなマーケットの主導権を握れなかったという事実です。これと同様のことが今後も次々と発生してくると思います。
ここまでお話すると、金融業界の「デジタライゼーション」として、まず著しい変化をもたらすのは、不特定多数の個人や法人のお客様との「接点」部分だということがお分かりになると思います。お客様との「接点」とは、すなわち店舗であり、営業窓口の有り様です。
そして、この先は「提供する商品の希少性」や、「お客様属性によるサービス要求レベル」によって、その対応方法が枝分かれしていく世界になっていきます。