金融商品の中でも、汎用商品と付加価値の高い商品で、デジタライゼーションで見える世界は異なると考えます。
まず分かりやすいので、資産運用の世界で。汎用商品と言えるパッシブ運用商品、例えばNIKKEI225-INDEXとか、SP500-INDEXとかですが、一般の個人投資家から見れば、どこの運用会社の商品でもほぼ同じ(ティッシュペーパーや紙マスクと同様)ですので、コンサルタントも不要であり、ネットで最も手数料の安い商品でかつ、運用会社が潰れそうもないところを選びます。しかし、品質の尖った商品、例えば新興国の成長株ファンドとか、グローバルのナノテクノロジーファンドなどになると、何が特長で、何を狙ったファンドなのか、また自分のポートフォリオに入れた場合に、どのような効果がありそうかなど、やはり専門家に聞いてから判断したい範疇になります。
また、投資金額も重要なファクターです。毎月積立で1万円ずつ買うのであれば、いちいちコンサルに相談不要ですが、退職金で得た何千万円もの資金を投入する場合は、パッシブ商品であっても、念のため専門家に各社の違いなどを確認してから購入したいと思うものです。すなわち、投資金額によっても、デジタライゼーションの見える世界は異なって参ります。
言い換えれば、汎用商品については、販売コストを極限まで削ることが求められるようになるため、ネット系での販売が主流となる一方、品質の尖った特殊な商品や、扱う金額が何千万・何億円と大きくなるにつれて、専門家による対面コンサルが必須となり、ここが差別化ポイントになるということ。
例えば、北米市場では、資産形成層の積立投資の世界はロボアドと呼ばれる廉価なサービスにより対応するマーケット、一方で数億円以上の資産を持つ富裕層に対しては専門のIFA(独立フィナンシャルアドバイザー)が対面でコンサルを、その中間層では、デジタルと対面のハイブリッドによる対応マーケットと、見事に棲み分けが成されています。
「汎用商品のマーケットでは、販売コストを極限まで削るため、店舗や営業員は介在しなくなる」。これが、金融市場におけるデジタライゼーションの結論その1です。