2020年を振り返ると、現役最強棋士である渡辺明三冠が念願の名人位を獲得したり、また藤井聡太八段が遂に棋聖・王位とタイトルを獲得して二冠になるなど、話題豊富な1年でありました。一方で、コロナ禍の大きな影響を受けたスポーツ界・演劇界と同じく、将棋界も感染防止の観点から、一部期間において、対局中止を決定せざるを得ませんでした。2021年は、コロナ禍による中断を避けながら、ぜひ、予定通りの開催を祈念したいもの。
さて、2021年の将棋界は、早速年初からビッグな対決で幕を明けます。王将戦七番勝負が、1月10日11日の第1局を皮切りにスタート、今年は現役最強の渡辺明王将に、現四強の中で最も勢いがある永瀬王座が挑みます。見所は、二日制のタイトル戦に初登場の永瀬王座の差し回し。出るか、必殺の千日手‼
そして、ほぼ同時並行で行われるのが棋王戦五番勝負。年末の挑戦者決定戦を制した糸谷八段が渡辺明棋王に挑みます。渡辺明棋王は、ダブルタイトル戦を並行で闘うほか、4月から始まる名人戦の準備もあるので、ここ数か月は全く余裕のない日程になります。
という訳で、3月までのA級順位戦も注目です。現在は斎藤慎太郎八段がトップを走っていますが、豊島竜王・広瀬九段もほぼ差がありませんので、挑戦者が誰になるかは、まだまだ不透明な状況。ただ、今回の名人戦挑戦者は、日程に余力のない渡辺明名人のスキを突けるアドバンテージがありますので、絶好のチャンスと言えます。
上記以外でも、藤井聡太二冠の防衛戦の動向も大変楽しみです。いずれにしても、2021年の将棋界は、渡辺明名人、豊島竜王、永瀬王座、藤井聡太二冠の四強を中心に回っていくと思います。その次の位置にいるのが、広瀬九段、糸谷八段、斎藤慎太郎八段に加えて、何と言っても将棋界のレジェンド、羽生永世七冠。
四強の中から誰かが飛び出して、将棋界の天下統一が実現されるのか? それとも戦国時代に逆戻りとなるのか? 2021年も、将棋界を注目致しましょう。