ムカデとことこ

 ひとが幸福になること・意識の成りたち・物理と心理を繋ぐ道
       ・・そんなこと探りたい

分けること

2012-07-17 21:28:15 | 本を読んで
養老先生が「自分の手を見てるだけで不思議ですよ」と云っている。

虫も同じような分節した手を持っている。

生物の基本的な構築原理が分節というスタイル。

分節がなくて、滑らかな奴はあまりいないそう。

これはどうしてそうなったんだろう、というような生物学の基本的な謎だという。

あるところに注目するとその両側が際立つように処理してしまうのが分節化の作用で、

全体にのぺーっと滑らかなままだと、

択一を迫られたときに選べない、選択できないと働けない、

どちらに行けばいいのかわからないからストップしてしまう・・・

右利きと左利きというのでそれを養老先生はいつも感じていると言う。

それがないといざという時に困る。

例えば利き足がないと、いざという時に逃げるのにうさぎ跳びになってしまう。

とっさの時のためにどちらかを決めておかないと追いつかれてしまう。

社会生活でも同じで何を分担するかはともかく、

ダンナがこれをやって奥さんがこれをやってと決めておかないと

その都度議論する羽目になるから大変なことになる。

どっちがどれをやってもいいんだけど、

どちらが何をするか決めておかないと無駄な時間を喰うから効率が悪い。

生き物は進化の過程で何度もそういうことに遭遇してるはず。

・・・そういった文章が並んでいる。

分けるという作用はそんなふうに生まれてきたものなのかもしれない。

選択を可能にするために、分断できる節がある、左右がある、

凹凸がある、上下がある、高低がある、大小がある・・・

人間の意識が物事を捉えられるのは相対性がないと出来ないこと。

そういう意味で、意識も分節という方法をとっている・・?

B地点でない所に居なければ、B地点に“行こう”と思うことができないし、

あることを今、出来ないから、出来るようになりたいと思える。

けれど、意識が、相対的にしか物事を捉えられない状態から、

物事を絶対的に捉えられる状態にもなれるということが人間にはある。

意識という存在が身体という存在と、

その点では全く異なるシステムを持っているのが、凄いことだし、

何故そうなっているのかが究極の謎のように思う。



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退化と進化

2012-07-17 15:52:44 | 本を読んで
「せいめいのはなし」の145ページに、

洞窟の中に住むようになった両棲類が目が見えなくなる事について、

養老先生はダーウィン流の“要らなくなったので、目がなくなった”という退化説に疑問を呈している。

養老先生の解釈は暗い中で見ようとするのは、

疲れるから、見えなくなったんじゃないか・・というもの。

目が見えるという仕組みがなくなることがその生物に有利になる状態でないとなくならないはず。

洞窟内で使われないから勝手に消えるということはないわけで、

消えることが消えないことよりも有利にならないと選択されないはず

・・と福岡先生もそこで云っている。

この話についてのことをここにも書いたことがあるけど、

今日また読んでみて、こんなことが浮かんで来た。

この世に「法律」というものがあるけど、

それが人間に要らなくなった時になくなる、と考えて来たけど、

目がなくなった両棲類の進化についての養老説に則って考えると・・・

その時の人類にとって、

法律が消えることが消えないで在ることよりも、有利になったときに、

それが選択されることになる・・のではないかと思った。

法律がない方が楽チンだと、その時の人類の殆どが思うようになった時に無くなる・・・

「法律なんてない方がいいね~、あるとめんどくさいし疲れるね~」

・・ってなった時に消える・・・なるほど!じゃないかなぁ。

また、今現在この世に法律が在るというのも、

法律というものがこの世に現われて来た時点では、

法律が無いより在る方が人類全体にとって、

有利であると選択されたということであって、

やはりその事はその時点では、その前時代より進化したと云えるんじゃないのかな。

やはりどの生物の形質も人間界も歩んでいるのは進化の道なんじゃないだろうか。

退化、進化というのはそれをどう見るかという見方であって、事実そのものじゃない。

福岡先生も「退化というのはなかなか説明出来ないコンセプト(概念)です」とあった。

そうか、退化というのは説明できない概念か~、ふーん。

進化するしか道はないのじゃないかと思う私であった。


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