駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

精神科の印象

2011年06月27日 | 医療

 

 精神科の講演を聴くことは少ないのだが、最新の鬱病の話というので聞きに行った。精神科は裾野が広く、内科にも精神科領域の患者さんが結構来られる、そのためにある程度の精神科的な知識が必要になる。全般性不安障害や鬱傾向の患者さんを、最初から全て精神科に紹介することは現実には不可能で、対応可能の範囲はある程度内科で診ざるを得ない。

 精神科の講義というのは独特で、わかりやすいようでわかりにくい。わかったようでわからない。講師の先生の話を聞いていると、失礼ながら医学の講義とは思えない、文学的な表現というか、いらいら、不安、心配、自責の念、憂鬱な気分とかが出てきて、わかったような気になるのだが、家に帰って思い返すと曖昧模糊として、あれどういうことだったかなと心許ない理解になってしまうことが多い。

 わかったようでわかりにくいのは講義内容ばかりでなく、精神科医そのものも失礼ながらわかりにくい。講演会の後の懇親会も、いつもの内科の会とは雰囲気ががらりと変わり、芸術家のようなというか評論家ようなというか独特の雰囲気の方が多く、場違いなところに紛れ込んだ感じがして、つい顔なじみの内科医で片隅に集まって、「なんだか、よくわかんなかったねえ」。などと話すことになってしまう。

 診療科によって独特の雰囲気があるというのは本当で、別に精神科だけが内科と違うというわけではないのだが、ほとんどの医師に精神科はどうも医学として特別という感覚がつきまとう。それは勿論精神科医のせいではなく、精神などというだいそれたものを対象にしている診療科のせいだろうと思う。 

コメント (4)
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