例年より二週間ほど早く、患者数が通常に戻った。高々十五、六人の違いであるが、殆どお待たせすることはなく、待合室で十分も待てば診察の順番が回ってくるようになった。中には「えっ休んでる間もない、早過ぎる」と言われる患者さんもいるくらいだ。午後などは誰も待っていない時間帯もあり、「あれ、今日は休みかと思った」と診察室に入ってこられる患者さんもいる。「患者さんには波がありますから」と答えることが多い。看護師のMさんは空いていると言われるのがあんまり好きでないようで「さっきまで大勢いらしたんですよ」とか、「もう少しすると混んできますよ」と答えている。
いずれにしても、高々二割程度の患者数の違いで診察のペースが全く違うから不思議だ。一時間に十五人を越える時間帯があるとしばしば渋滞する。渋滞というのは間が詰まって団子状態になる現象で、渋滞学という学問もあるようだ。渋滞すると回復しようと頑張る気持ちが出てくる。実は急いでも患者さん一人あたりで短縮できるのはたかだか十数秒だ。遅れた十五分を取り戻すのは容易ではない。せかされる感じがするのは、診察に手間取った理由が救急車を呼ぶような重症とか難しい病気というのではなく単に話がくどいというかしつこい時で、待たせた患者さんに悪いという気持ちとしつこい話に辟易したのが重なってイライラするからだ。
こうした滞りも一時間に七、八人の患者数であれば、直ぐに遅れが吸収分散されて、渋滞とはならない。患者渋滞は交通渋滞と同じようなメカニズムで起きているように思う。予約というのが一つの対策ではあるけれど、後期高齢者の多い外来では難しいと読んで導入していない。果たして、どんなものか?。