咲き始めたかなと思ったら、三四日でもう満開に近くなった。桜は美しく風情があるが気ぜわしい。どうも桜にはただならぬ感じがあって、安穏と美しいと見とれてばかりはいられない怪しげなところがある。不吉と言っては言い過ぎだろうが、どこか儚い命を連想させるところもある。曇天だと余計にちょっと惛い感じも漂う。
桜というと平安鎌倉そして明治大正昭和が思い浮かぶ。勿論、江戸時代にも桜は全国で咲いていたはずだが、知識不足か江戸時代には桜の印象が薄い。花より団子というか、花は桜木人は武士の雰囲気が乏しいせいだろうか。尤もこれは、単に江戸時代のことをよく知らない私の偏見に過ぎないかも知れない。
平成ももう二十八年、平成に桜はどう映っているだろうか。今朝は朝から往診で、書きたいことが書けなかった。断りたい往診も馴染みだと断り切れない。