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駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

夫婦げんかは見苦しい

2017年07月12日 | 人生

         

 当院は予約制を取っていない。診察券を置きに来た順番で診ている。そのため、医院の入り口を開けると同時に数人の人が診察券だけ置いて帰って行かれる。自分のではなく配偶者、多くは妻、の診察券を置いて行かれる人も多い。診察までの一時間じっと待合室に座っておられる患者さんも時々はおられる。尤も、診察三十分ほど前になると待つ人も徐々に増え、話に花が咲いて騒がしくなる。

 お喋りをする患者さんは、時にうるさいなあと感じることもあるが概ね診察しやすい。屈託のない人が多いので、話が通じやすいのだ。精神科ではないが、話がしやすいように診察室を完全な個室にしている。その効果?か、静かに座って待っていた患者さんが、以外と多弁に色々訴えられることも多い。大人しそうな女性には要注意と言っては申し訳ないが、病気のこと家庭のことなどの屈託をしんねりと語られる人がおられる。女性が強くなったと言っても、それは強くなれる女性が強くなったという側面もあり、まだまだ負担を強いられている女性、特に高齢者、は多い。勿論、六十年の不作ということもあるからお互い様ではあるが、暴君の夫が結構いるようだ。ご夫婦で通院されている場合には、私に色々注意をさせようとされる。先生がおっしゃったでしょと言うわけだ。確かに聞いていると我が儘旦那なのだが、以外にお子さんの援護が少ないらしい。娘は私が甘やかしたからだと私を責めるんですよと言われることもある。

 この辺りまで来ると、内科医の守備範囲を超えている感じもするが、話を聞いてあげることが一種の治療になっていることは確かだ。尤も毎回愚痴のような訴えを聞かされる私はちっとも楽しくない。

 何百組ものご夫婦を診ているが、本当に色々なご夫婦がいる。概ね、破れ鍋に綴じ蓋でそれなりに上手くいっているご夫婦が多い。マスコミの夫婦げんかショーにはうんざりだが、100%片方が悪いということは殆どないと思う。九割方どちらかが悪いということは珍しくないかもしれない。それでも壊れない夫婦は多いと観察している。

コメント (4)
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