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夫婦というものは、恐らく人類誕生以来の歴史がある人間の生存形態で、子孫を残すために生物として要請された結びつきに人間が人間的な価値や重みを加えてきたと思われる。
夫婦の有り様は時代と共に変化はあるし人様々でくっついたり離れたり浮気の人もいるようだが、偕老同穴命終えるまで共に暮らし終えた後も共に眠るのが基本というか本流のようだ。
なぜかそれが本流か難しいが、それが美しい心落ち着くと多くの人が感じているような気がする。
そして夫婦を支えるのはどちらかというと女性のような気がしている。世に手の掛かる我が儘親父は多い。これが手の掛かる我が儘女房だといくらか夫婦は壊れやすいように見える。三十年以上の診療で何百組もの夫婦を診てきた。不思議というのは言い過ぎというか余計なお世話だろうが、味のあるというか黙々と働く立派な人だったなあと思う夫君でなく他人の目には我が儘亭主でも、一生延命尽くし見送ったあとに、もう長く生きたから早くお父さん迎えに来てと言われる奥さんが数多く居られる。
芝居や絵物語ではなく、現実目の前でそう言われる老婦人を何人も診てきた診ている。勿論、少数だが匙を投げられた感じのご亭主もいないわけではない。一方、妻を支える妻に仕える夫君も珍しくはない。