世も末なんて大げさで爺むさいが、そう思わされることが重なった。医者というのは患者さんを選べないので、正直に言えば嫌な人だなうるさい人だな手のかかる人だなを顔色を変えずに診てきた。勿論、見た後でため息を付くことはある。楽しい患者さんホッとする患者さんばかりではない。
生活保護のNさんが市の指導で川向こうの遠方に引っ越すことになった。車もないし自転車もないしで、近くの医師に紹介することにした。そうしたら生活保護の患者さんは診ませんと断られてきた。何という医者だろうと腹が立ったが、仕方なくもう一つの医院に紹介しなおした。
交通事故の後遺症で十年寝たきりのKさんの奥さんが薬を取りに来られ、訪問看護師が来なくなった困るとひとしきり嘆かれた。えっどうしてと聞いたら人手が足りないからとか言われたが、本当はどうも嫌われたようだという。確かに気難しいところはあるし、すごく手がかかるので喜んで訪問するところではないかもしれないが、困っているのだから他のステーションを紹介するとかあるだろう。それはおかしい、自分はもう往診をしていないので院長に話しておこうと思った。
何だか、足元の日本の良さが失われてゆくのでは、大げさだが世も末に感じた。