もう二年になるのに、新型コロナ対策の多面的客観的な評価は殆どされていない。終息していないのに早過ぎるということはない。歩きながら考えることが大きな間違いを避ける良い方法だからだ。
経済が専門の原田泰氏の書かれた「コロナ対策の費用対効果」ちくま新書、は幅広い視点から書かれた途中経過での得がたいコロナ対策総括になっている。総括は私の年代には懐かしい言葉だ。総括と言いながら十分な包括をしなかったので学生運動は花を咲かせず実を結ばなかった側面があるとほろ苦く思い出す。
それはさておき、責めるために責め守るために守ることになりがちな政治的な評価から離れて新型コロナ対策を評価分析しているこの本は貴重で重要だ。与野党マスコミの人は熟読し反省再検討軌道修正をしていただきたい。
PCR検査のスンナ派とシーヤ派はセンスのある表現で的確にその意味結果を分析してある。スンナ派の頭隠して尻隠さずは日本のお家芸のようで、頭を隠すと問題が見えにくくなるので問題が解決したような気になってしまう危うさ、安心でなく安心感のために過大な費用を使ってしまう不合理が表や図を駆使してわかりやすく論理的に示されている。断定的でなく偏りも少なく新型コロナを考えるに必須の本と思った。