最近はこうした内容は微妙なのかもしれないが、爺さんの感覚と大目に見てほしい。家の手直しで職人が入ったので夕食は外で簡単にと和食の店に入り、私は並天丼家内は揚げ出し豆腐定食を頼んだ。客は我々だけで平日だから空いているのかなと待つ間お茶を飲んでいたら、ガラッと扉が開いてアラフォーの女性が入ってきた。あっお電話の方ですねとカウンターの奥に案内された。一人なのに予約したんだと余計なことが頭に浮かぶうち、我々より先にしずしずと鰻重が運ばれた。
女性は少し先に食べ終わり、そっと帰られた。鰻重だから当然だが、我々二人分よりもかなりのお値段だったようだ。自分で自分へのご褒美なのだろうかとまたまた余計なことが頭をよぎった。もう半世紀以上の昔になるが、帰省するとよく父が鰻屋に連れて行ってくれた。鰻が好きと言うこともあるが、何よりご馳走という感じがするのだ。お値段が張るようになった今だから尚更、何かないと簡単には注文しないご馳走の地位をうな重は獲得していると思う。軽四で走り去った女性に何か良いことがあったに違いない。